番外編 宇宙漂流記ルミナス 28 クラッシャーペア4
あの二人、マジでやることメチャクチャだな……。
クラッシャーペアのエリとメイは、アフロディテ号にバリアを貼ったままゴルディアスタワーに突っ込んだ。
突っ込んだとは揶揄や比喩ではない、本当に小型宇宙船でタワーをぶち壊しながら地下深くのメインコンピューターシステム・ガリクソンに突撃しようとしているのだ。
猛スピードでビルの上部から突っ込んだアフロディテ号はただひたすらに下に突き進む。
一体被害額はどれほどになるのだろうか……。
アフロディテ号は次々とタワーを破壊しながら下を目指した。
オレ達はコメとドンモのおかげでルミナス号の子供達を助け出す事が出来たので、各自が力を合わせてガリクソンの暴走から人々を助け出そうとしている。
ランセルは暴走した自衛システムの小型ロボを上空からジャミング攻撃して動きを止める事で避難する住民のサポートをしていた。
ガンセルはハイドロポンプを使い、遠距離から火災を消化中。
ウィンセルは空中を飛びながら避難民の乗った車等を安全な場所に移動させていた。
まあルミナス号の子供達は彼等自身も避難した経験があるから率先して人助けしているのだろうな……。
自分達がゼクトニアンの襲撃という惨事を経験していたからこそ、今回のゴルディアスタワーの大惨事を少しでも被害を減らそうと活躍してるのだろう。
オレ達も空中から避難民を乗せれるだけこのルミナス号に乗せているところだ。
すし詰めになってきた船内はなかなか身動きがとれなくなっている状態だ。
コレは本当に早くあのクラッシャーペアにガリクソンを修理なり説得なり、もしくはリセットをしてもらわないと……。
だが一番可能性の高いのは……破壊なんだろうな。
「MAYA、ちょっとごめんね。あなたのメインシステムに外部アクセスさせてもらったわ」
——エリさん、メイさん、一体何をしようと??——
「コンピューターってバグ、つまり異物に弱いのよね。だから外部の装甲が頑丈でも中に入られたら一瞬でオシャカになるのよっ」
まさか、この二人がやろうとしているのは……!?
「ワープシステム作動開始。目標座標、ガリクソン中心部!」
——えっ? ま、待ってくれません……か!?——
マジでこの二人のやる事はハチャメチャすぎる!!
なんと彼女達は大型コンピューターガリクソンの中心部にルミナス号をワープさせてしまったのだ!
ルミナス号の質量は元からあったガリクソンを押し除けて大破させた。
このおかげで、確かに大型コンピューターシステムガリクソンの暴走は止まった……しかし、ゴルディアスタワーは修復不可能なくらいに瓦礫の山になっている……流石はクラッシャーペア。
「バッカモーン! タワーの修繕費及び撤去代がどれだけの天文学的数字か想像がつくか!? 当分休暇は取り消しじゃい!」
「そんなこと言ってもさ、ガリクソンが暴走してたらもっと被害大きくて犠牲者出てたでしょ、アタシ達が頑張ったから死者0で済んだんだしさ……」
「やかましい! お前達のせいでガリクソンの統制していた航宙旅客機の364人の乗客リストが消失してしまったんだ、さっさと救援に行って来い!!」
そしてクラッシャーペアの二人はアフロディテ号で惑星キリバスを出発、オレ達はWWWFが全額持つ形でルミナス号の修理をしてもらい、ワープシステムでこの惑星キリバスを離れた。
——ワープ開始 5.4.3.2.1.0!——
どうにかワープを完了させたオレ達の前に見えたのは、地球だった!
そこに真っ白な大型戦艦が荘厳なクラシックを流しながら出現!!
もう知らん、今度はどこの世界なんだよ。
◆
「フンダクル局長! 前方に未確認の宇宙船があります!」
「フッ、どうせグッドサイガーの連中であろう。美しくない……。そうだな、華麗にビームで出迎えてやるのだな。我らドクージャに楯突く愚かさを思い知らせてやるのだ……」
オレ達はワープ直後に謎の白い大型戦艦に攻撃されてしまった!!




