番外編 宇宙漂流記ルミナス 26 クラッシャーペア2
ゴルディアスタワーに案内されたオレ達は全員客室に通され、何不自由ない待遇を受ける事になった。
まあ宇宙船を衝突させたあの二人組の尻拭いとは言え、WWWFも飛んだとばっちりだな……。
だがそのおかげでオレ達はコンピューター完全制御の快適なスペシャルロイヤルスイートルームに泊まれているんだがな。
オレ達のルミナス号のワープ装置はWWWFが責任をもって修理してくれる事になった。
まあこれが不幸中の幸いってとこか。
快適な環境でルミナス号の子供達もかなり楽しそうなのでまあ良しとしておこう。
子供達はテレビゲームに夢中だ。
食事も完全オートメーション、食べたいものを言えば自動で出てくるし、女の子達は風呂の設備の万全さに満足していたようだ。
「どう? コレがゴルディアスタワーご自慢の大型制御コンピューター・ガリクソンよ」
「って、アンタが自慢するようなもんでも無いでしょ」
オレ達の前にやって来たのは、キューティーエンジェルと自称する二人組だった。
だが、この二人の事は別名……いや、悪名の方が有名だ。
――クラッシャーペア――
解決率の高いトラブルエージェントである二人だが、その二次被害のデカさが始末書レベルで済まない二人組。
だから通称クラッシャーペア。
左の赤い髪の方がエリ、右の青い髪のロングの方がメイ、それにでっかいネコ科の生き物がコメ、小型フロートタイプのロボットがドンモだ。
「アンタ達の面倒を見ろってマチナカ部長に言われてるからね、まあここでゆっくりしていきなよ、その間にあの宇宙船はきちんと修理するから」
まあゴルディアスタワーのこのオートメーションシステムのおかげでオレ達は快適に過ごしているが……。
え!? ゴルディアスタワー!?
オイオイオイ、それって間違いなくコンピューターが暴走してこの後トラブル確定の場所じゃないか!
ここのメインシステムコンピューターのガリクソンが暴走してそれをこのクラッシャーペアが解決? する話が確かクラッシャーペアの一話だったぞ!
「オイ、頼む! 別のタワーに部屋を移してくれ!」
「え? 何何、そんなにアタシと二人きりになりたいの? お兄さんも大胆よね」
「そんなワケないだろ! この後このタワーが酷い事になるんだよ!!」
「えー、ガリクソンはメガロポリス制御のスーパーコンピューターよ、彼が暴走するなんてあるわけないじゃない」
ダメだ、コイツらまるで効く耳持ちそうにない。
オレは外に買い物に行くふりをしながら修理中のルミナス号に向かった。
修理途中のルミナス号はコンピューターによる修理でアフロディテ号の衝突した部分を補修中だった。
――あら、レイジ。どうかしましたか?――
「MAYA! ここは危険だ、今すぐに外部コンピューターとの接続を遮断しろ! この後このコンピューターは暴走確定だ!」
オレの鬼気迫る態度に、MAYAもこれはただ事ではないと気が付いたようだ。
――了解です、レイジ。一旦外部コンピューターとの接続を遮断し、バリアモードに移行します。――
これでどうにかルミナス号は安全だな、それじゃあ今度はあのタワーの中の子供達をどうにか外に脱出させないと。
オレがそう思っていたら、ルミナス号に緊急のSOS通信が入ってきた。
「MAYA、大変だ! ゴルディアスタワーのコンピューターがおかしくなっちゃった、今ボク達はタワーの中で洪水に巻き込まれてみんなで避難中なんだよ!!」
あーあ、本当に大型コンピューター・ガリクソンが暴走を始めてしまった。
あのタワーの中にはクラッシャーペアの二人もいるはずだが、彼女達に子供を任せていいのだろうか。
オレはどうにかウィンセルを動かせるように整備した。
さて、誰か脱出してくれればこれを動かす事も出来るんだが……。




