番外編 宇宙漂流記ルミナス 25 クラッシャーペア1
オレ達の乗るルミナス号に衝突した宇宙船は……アフロディテ号だった……。
という事は! 間違いなくこれに乗っていたのは!?
「エリ、アンタ謝りなさいよ。アンタが宇宙船ぶつけたんでしょ!」
「メイ、アンタだってこの宙域はアステロイドベルトも無いショートカットコースだってスペースコンパス見ながら言ってたじゃないの!」
あのー、接触型通信でアンタらの会話、ルミナス号にダダ漏れなんですけど。
「バカモーン! お前達は、謹慎明けの任務でいきなり始末書増やすつもりかー!? だからクラッシャーペアなんて言われるんじゃい!」
「げっ、マチナカ部長! そんなこと言ったってー、いきなり宇宙船がワープしてきたのよ」
「そうそう、車は急に止まれない、宇宙船も急に止まれないってね」
この二人の言い訳はマチナカ部長の怒りにさらに火を注ぐ事になった。
「バカモーン! お前達は衝突した宇宙船に謝罪して来い!」
その直後、外部回線を使いこのお騒がせ二人組の上司のマチナカ部長がルミナス号にテレビ通話で謝罪をしてきた。
「ワシはWWWFのマチナカ部長と申します。この度はワシのバカ……もとい、部下が大変なご迷惑をおかけしました。つきましては最寄りのコロニーか惑星でそちらの宇宙船を修理させていただきたいと考えております。もちろん修理代はこちら持ちでやらせていただきますので、何卒ご勘弁下さい……」
彼女らの上司、マチナカ部長が平謝りしている。
その少し後にエリとメイの二人が大きなネコ科の動物と小さなロボを連れてオレ達のいるルミナス号のブリッジにやってきた。
「 WWWF、キューティーエンジェルのエリよ。今回はゴメンね」
「同じくWWWF、キューティーエンジェルのメイです。この度はご迷惑をおかけしました」
エリはそのままな性格だがメイはお嬢様っぽく猫をかぶっている。
だがむしろ危険なのはメイの方だとオレは直感的に感じた!
「よろしく、エリさん。メイさん。私はセーラ・ルルーです」
ルミナス号の女の子達を代表してセーラが彼女達と握手をした。
しかしこの格好、年頃の男の子が多いこのルミナス号では目に毒だな……。
「あ、いいオトコいるじゃない。アタシ、エリ。よろしくねお兄さん」
「お兄さんってオレの事か!?」
エリはオレの首に手を回してきてオレの正面に立った。
「ねえお兄さん。アタシと宇宙恋愛しない? 銀河の果てまで宇宙船でさ」
「エリっ! アンタ何考えとるっちゃ!? 何宇宙船の兄ちゃん逆ナンパしとるっちゃね?」
「あら、そんなこと言ってるメイだって、さっきからこの宇宙船の男の子ばっかり目で追ってるのバレバレじゃない、このショタコン」
図星を突かれたのかメイの顔が真っ赤になっていた。
「しぇからしか! オメこそ何イケメン見つけたらすぐに逆ナンしようとしてるんだ!?」
「お前達、ワシは謝罪しに行けとは言ったが……誰も男漁りをしにいっていいとは一言も言っておらんぞ! さっさとその人達をWWWFの最寄りの惑星キリバス支部に連れてこい!!」
マチナカ部長のカミナリが落ちた。
「クーン……」
「アナタ、コメちゃんっていうのね。わたしはティコ……よろしくね」
「クーン……」
どうやらバンデル星の大型ネコ科生物のコメはティコに懐いたようだな……。
そして、クラッシャーペアの二人は、改めて挨拶をやり直し、オレ達は彼女達に連れられてWWWFの惑星キリバス支部に到着した。
「よくお越しくださいました。ワシはWWWF惑星キリバス支部部長のマチナカです。この度は本当にご迷惑をおかけしました。それで、責任者の方は……?」
オレ達はマチナカ部長にオレ達は子供達だけでこのルミナス号で惑星テラニアを目指して移動中にワープ装置の事故で意図しない世界や星に到着している事を伝えた。
「なんと、それはまた何とも大変な目にあったのですね。わかりました。我々WWWFは福祉財団の関連組織ですので出来るだけの事をさせていただきます」
オレ達はマチナカ部長の計らいでWWWFの所有するゴルディアスタワーの客室に宿泊する事になった。




