番外編 宇宙漂流記ルミナス 24 ペンタゴン・ドリーマーズ4
レイ・モンシャンの乗るノージェは巨大な鎌を一閃し、盗賊の女ボスレーレンの乗るB級HMグラローンをあっという間に両断してしまった。
「何でこのアタイがぁー!?」
それが女ボスレーレンの最後の台詞だった。
その後、ポルテラス軍がレーレン一味の残党を取り囲んだ。
すると、ラセツテンプルに乗ったまま、ギムレットが土下座を始めた。
いや、流石はムーバブルシステム、膝を折り曲げて破綻の無いこのメカニックは見事としか言えない……。
「助けてください。ワタシはポルテラス13傑衆末席のギムレーの息子、ギムレットです。盗賊に脅されて手下にさせられていたのです。どうか、13傑衆のレイ様の元でこき使い下さいませ!」
コイツマジでプライド無いな……。
ラセツテンプルは隣のグラローンのガッチャ・モッチャの頭も抑えつけながら二人で土下座をしていたようだ。
なんとも無様な光景だが、これ本編でもあったシーンだから笑うしかない……。
おや、確かレーレン一味にはもう一人女の子がいたはずだが、確か……。
「お願いですぅ、助てくださぁい! わたし、あの女盗賊のオバハンに脅されて手下にさせられていたのぉ。わ、わたしはファンタリア・ラムといいます。お兄さん、助けてくださいぃ」
あ、そうだそうだ。ファンタリア・ラムだったな。
この泣き落としも本編そのままだ、ラバに抱きついて涙目で訴えるシーンなんてそのまんまだな。
確か……この作品はダブルヒロイン(リリルを除いて)だったので、もう一人女の子がいたはずなんだが、元ポルテラス軍の下士官で……、反乱軍の船に入り込んで占拠しようとして返り討ちに遭ったのが……。
「おい、怪しい奴をこの中で見たぞ!」
「え、そんな。今セドリック達がいないのに……スターリングだけじゃ頼りないわよ」
「さがせ、あやしいヤツをとっつかまえるんだ!」
オイオイ、本編では反乱軍の船に入った彼女がよりによってルミナス号に潜入ですか。
「MAYA、侵入者がいるみたいだ、全体の防衛システムを強化してくれ!」
――了解です、レイジ。ルミナス号……ガードシステム始動。――
あーあ、これでもう侵入者が酷い目に遭うこと確定だな。
確か……侵入者の名前は……。
「な、何をするか!? 私はポルテラス軍治安維持部隊士官、ラウ・ラ・キッシィだぞ!!」
あ、そういえばそんな名前だったっけ。
今彼女は投網の中でジタバタしながら子供達に取り押さえられている。
「キャッ! どこ触ってるのよ!? このエロガキ!!」
「うるさい、侵入者め、とっつかまえてやる!」
抵抗空しく、キッシィはルミナス号の子供達に取り押さえられ、ロープでグルグル巻きにされた。
「フロートトレーラーを回収したらすぐにこの場を離脱した方が良い、MAYA、操縦は頼む!」
――了解です、レイジ。――
ラバとキャロ、それにファンタリアとリルルにルミナス号の子供達を回収したMAYAは、ルミナス号を浮上させ、レイ・モンシャンのノージェやポルテラス軍を振り切って目的地の反乱軍の居る港町ミズンに到着した。
そこでオレ達は武器商人のナンタラー・カンダラーに会う事が出来た。
「おお、間違いない。これは私宛の小切手、100万ゴルーン、確かに受け取りました」
この胡散臭いサングラスに髭の男、彼が武器商人のナンタラー・カンダラーだ。
「ところでその船と見たことも無いHM、非常に興味がありますな。是非私に見せていただきたい」
「わかりました、それでもしよろしければ……タキオンエンジンとワープシステムの修理をしていただければ嬉しいのですが……」
「良いでしょう、この100万ゴルーンを届けてもらった手数料として無料でお引き受けしましょう」
しかしよく見ると、この武器庫、反乱軍用とポルテラス正規軍用のどちらもが置かれてある。
「ナンタラーさん。貴方は武器商人と聞きますが、何故反乱軍とポルテラス軍のどちらもの兵器があるのですか?」
これは本編でもラバが言っていた事だ。
「私は武器商人、戦争が長引けばそれだけ儲ける事が出来る。それだけの事だが」
「嫌な答えですね……」
ナンタラーが笑っていた。
「君のHM、アレはどうやら頭部が壊れているようだね。ここに丁度骨董品のブラッディ・ミラージュの頭部があるのだが、それとアレを合わせてみてはどうかね?」
「そんな事が可能なのですか!?」
「勿論だ。少し待っていたまえ」
そう言うとナンタラーはラガイムの頭部をブラッディ・ミラージュの物と取り換えて接続した。
「完成だ。そうだな……これはラガイムではなく。新しい機体、アルガイムと名付けよう!」
「ナンタラーさん、ありがとうございます!」
そしてナンタラーはオレ達のタキオンエンジンとワープシステムも修理してくれた。
今度こそワープ成功してくれ!
オレ達はラバやナンタラーと別れ、再びワープを開始した。
――10.9.8.7.6.5.4.3.2.1.0!ワープ開始!!――
今度こそ成功してくれ!
だが、ワープ完了後のルミナス号にいきなり女二人組の乗った宇宙船が衝突!
「エリ! 何でこんなとこに宇宙船があるのよ!?」
「メイ! アンタこそ、スペースコンパス調整ミスってるんじゃないの!???」
オイオイ、このきわどい服装の二人組って……まさか!?




