番外編 宇宙漂流記ルミナス 23 ペンタゴン・ドリーマーズ3
オレ達はポルテラスへの反乱軍がいる港町に向かった。
本来はルミナス号で空路から移動するところだったのだが、どうやら何かエネルギーがかなり減っている。
どうもワープ装置で機体に負担を与えすぎた事でタキオンエンジン自体が悲鳴を上げているようだ。
仕方なく不時着の危険性などを考え、ルミナス号は低空飛行での移動を余儀なくされてしまった……。
しかし運の悪い時は運の悪い事が重なるものだ。
どうやらルミナス号がフロート状態で動いていると、並走するラガイムを乗せていたフロートトレーラーを狙い、何者かが襲撃をしてきた。
「何だ!? いきなり銃撃されたぞ!」
「ゲッ、アイツ、悪名高いレーレン一家の女ボスレーレンだぞ!」
何だよそれ? ひょっとしてラバの持っていた100万ゴルーンのクレジットを狙ってやってきたのか?
「お前達、身ぐるみとそのHM、それと宇宙船とトレーラを置いていきな。そうすれば命だけは助けてやってもいいんだよ!」
絶対ウソだ。
こういうタイプのヤツは命は助けてやると言いながら、最後は身柄も拘束して奴隷商人に売るヤツだ。
「お断りだ! 誰があんなヤツに」
「そうよ、オバハン!」
あーあ、わざわざ通信で聞こえるように言わなくても……。
「このクソガキども、死にたいようだね。オイ、新入り。アタシの機嫌を損ねたこのガキどもを痛めつけてやりな!」
「ハイ、レーレン様」
オイオイ、アレってギムレットじゃないか。
盗賊の手下なんてせっかくのラセツテンプルが泣くぞ。
まあポンコツで整備していなければA級HMのラセツテンプルもB級のグラローン程度に負けるからな。
そのポンコツのラセツテンプルが襲ってきた!
こちら側からからはウィンセルと頭部が壊れかけのラガイムが出撃、迎撃する形になった。
「お前達に恨みはないがワタシの今後のために痛い目にあってもらうぞ!」
「この声、あの食い逃げ男よー!」
「リリル、うるさい。集中させてくれ!」
ラガイムがセイバーを抜き、ラセツテンプルの四本の腕の一本に斬りかかった!
「ぬおおおー!?」
ラセツテンプルの腕の一つが切り飛ばされた!
畳み掛けるようにスローマインを投げたラガイムの後ろから銃撃が頭部後方に直撃!
「なっ!?」
「よう。新入り。レーレン姐さんのためにオレさまがてをかしてやるぜ!」
「貴様はガッチャ・モッチャ。すまぬ。助かった」
レーレン一味はラバ達に攻撃を仕掛け、フロートトレーラーとラガイム、それにこのルミナス号を横取りしようとしている。
オレはガンセルにザグザムの予備パーツだったリニアレールガンを突貫作業で取り付け、ジャッキーに手渡した。
「ジャッキー、上空からアイツらを狙い撃ってくれ!」
「ヘイ、わかったぜ! おれに任せな!!」
ガンセルから放たれたリニアレールガンがレーレンのグラローンの肩を吹き飛ばした。
「な、何だい!? あのHMは? くそっ、アンタら、ずらかるよ!」
だが運の悪い時は運の悪いものが重なるものだ……。
走りながらレーレン一味から逃げていたオレ達だったが、その前にポルテラスの正規軍が姿を現した!
「止まれ! お前達は反乱軍か? 治安維持の為お前達を全員拘束する。抵抗する者は全て反乱軍とみなし、処刑する!」
オレ達の前に姿を見せたのは、全身金色で肩の大きなA級HM、ノージェだった。
——って、アレがノージェだとすると、レイ・モンシャンじゃねえかよ!?——
一難去ってまた一難! オレ達はこのペンタゴンワールドで一番敵にしてはいけない軍を敵にしてしまったのだ!!
さて。この難局…どうやって乗り切ればいいのやら。
あの金色のノージェはオリジナルノージェには劣るもののこの世界でも最強レベルのHMだ!
まだアルガイムにもなっていない素体のこのラガイムでどうやってここを切り抜ければいいのやら。




