番外編 宇宙漂流記ルミナス 19 太陽の戦士3
オレ達は太陽の戦士達の隠れ家のある町に到着した。
ここにはすでにカマリン博士が到着していて、太陽の戦士の副リーダーであるベスタンもそこにいた。
オレはこのベスタンを見て直感で感じた!
——コイツは絶対に裏切るヤツだ!!——
コイツ、言っていることは立派だが、先程から全く泥を被るような仕事をしようとしていない。
本来門外漢で歴史学者、社会学の博士であるカマリン博士はザグザムの整備を手伝ったりしている。
しかしこのベスタン、さぞ立派な事を言ってルミナス号やオレ達を歓迎していると言っているが本音は空戦特化の戦力を手に入れたいだけだと見え見えだ。
「我々は地球からの搾取に耐え、生活をしてきた。今こそこの植民惑星デロリアは地球という母体から離れて独り立ちした子供となるべき時が来たのだ!」
彼の主張に座って拍手しているのはスターリングくらいだ。
セドリックやアルフレッド、それにマルコはそんな話どころか太陽の戦士のバギーやザグザムの整備を手伝っている。
「お前達のコンバットメカ、すごいな。空を飛べる機体なんて初めて見たぜ。落下傘を背負って輸送機から空中に降下するコンバットメカには苦戦させられたことあったけどな」
「ありがとう、でもこれはコンバットメカではないんだ。ボクのこれはMV、ウィンセルって言うんだ」
「メタルバーニアン? 初めて聞く名前だな。ウィンセルってのがあの白い機体なのか、すまないがあのウィンセルでぼく達に協力してくれないか?」
いきなりの申し出にセドリックが戸惑っていた。
「でも、ボク達はここに長居するつもりはないんだ。ワープシステムが修理できたらここを離れるつもりなんだ。ごめん」
「そうか、ぼく、無理なお願いをしたのかもしれないね」
そこにゲリラの女の子が口を突っ込んできた。
「ちょっと、アンタそれ冷たいんじゃないの? このカリンはね、お父さんと離れてあたし達の独立運動に参加したのよ。でも、そのお父さんとカマリン博士が和平会談するのよ、それにデロリア独立の話し合いをするから、お父さんに会って話したいって言ってるのよ!」
父親の話を持ち出されたらルミナス号のみんなが協力しないわけがないよな……。
「わかったよ。でも、カリンさんのお父さんって……?」
「カリンのお父さんはね、このデロリア州の州知事なのよ。元は地球連合のデロリア星議員だったけど、デロリアが地球の州に組み込まれてるからね……」
なんとも複雑な政治事情だな。
この作品がロボットアニメの姿をした政治ドラマと言われるわけだ。
「それにここよりもデロリア州都ならアンタ達のあの宇宙船のエネルギーとか修理とかの材料も見つかるんじゃないの?」
確かにそれを言われるとそうだ。
ここは素直に太陽の戦士に協力した方が正解かもしれないな。
「わかったよ、ボクも協力する。デロリアの州都ってここからどれくらい離れてるの?」
「ありがとう、州都は電車で一週間、このバギーやザグザムで移動する予定なんだ。
それじゃあ時間がかかりすぎだ! 少しでも早くここを離れたいのに……。
そう考えたオレは太陽の戦士達に提案をしてみた。
「そうだ、どうせなら太陽の戦士の皆さんにこのルミナス号に乗ってもらってはどうでしょうか? これなら空中ルートから州都に向かえるので安全に博士達をお送りできますから」
「素晴らしい! それならあのガルシア隊による博士の襲撃も免れれますし州都に先に着く事で地球連合を出し抜く事も出来る!」
なんとオレの提案に一番賛同してきたのはベスタンだった。
「わかりました、その申し出、ありがたくお受けさせていただきます」
カマリン博士もオレの提案には特に反対は無かったようなのでオレ達はルミナス号に太陽の戦士、バギー、ザグザムを積み込み、デロリアの州都目指して空路で向かう事になった。




