番外編 宇宙漂流記ルミナス 17 太陽の戦士1
ここはどこだ??
どう見てもあの二重太陽は太陽系では無い。
そして、移住惑星テラニアでも無さそうだ。
——しかし暑い!!——
MAYAがクーラーを使ってくれているからどうにかルミナス号の中は涼しいが、ここはどう考えても夏のような感覚だ。
「暑いー、どうなってんだよー」
「あついです。いったいどうなってるのでしょうか?」
「おれは問題ないけどな。でもジュース飲みたくなってきたな」
みんななんだ言って暑いという意見は全員一致のようだ。
外を小型ドローンで確認しようとありあわせの材料で作ったのだが、外に飛ばした瞬間、ドローンが落ちた。
コレは強烈な磁気嵐だ!!
「MAYA! 今すぐにここを離れろ。ここに強烈な磁気嵐が襲ってくるぞ!!」
——レイジ。了解です、ルミナス号浮上します。——
ルミナス号は磁気嵐を避ける為、浮上してこの荒野の惑星を移動した。
オレ達の先程居た場所は強烈な磁気嵐が吹き荒れ、砂嵐と共に消えていった。
「MAYA、気をつけたほうがいい。この星は磁気嵐だけでなく砂漠の砂に大量の磁気が含まれている。もし、磁気バリアがあるなら常時張り続けないと機械に異常が出るぞ」
——了解です、レイジ。磁気バリア発生。——
MAYAは磁気バリア発生装置を発動させ、そのおかげでルミナス号は磁気の砂の砂漠を問題なく航行できた。
そんなオレ達の遠方で戦闘が行われていた。
どうやらロボットと戦車の対決のようだ。
いや、アレは普通の戦車ではない、多脚歩行型戦車だ。
確かアレは見覚えがある。ウォーカーガンナーだ!
ウォーカーガンナーの前にいたロボットはヘリの頭部のような形をしている。
アレは、確か……太陽の戦士ザクザム!!
——太陽の戦士ザグザム——
高畑修輔監督の作品で装甲鉄機メタルズの前番組だ。
植民惑星デロリアを舞台に地球からの独立を目的に戦うゲリラとそのゲリラに参加する事を決めた地球側の統治官の息子カリン・ハシムがX磁気嵐の中でも戦えるコンバットメカ・ザグザムに乗って戦うロボットアニメの姿をした政治ドラマだ。
この作品を説明すると、とにかく地味!
リアリティにこだわったのだろうがロボットはヘリのような頭部で攻撃もほぼ銃撃戦。
むしろゲリラの戦い方の方がメインで、ロボットがいなくても話が成り立つような作品だった。
けれどもこのミリタリー色強いロボのデザインやウォーカーガンナーはプラモデルとしてはかなり人気が高く、子供よりも大人をターゲットにしたのは正解だったと言える。
オレ達の目の前で戦っているのはそのコンバットメカ・ザグザムとウォーカーガンナーだ。
ウォーカーガンナーの足元には独立ゲリラの太陽の戦士達がいる。
だがこのままでは敵の増援のコンバットメカ、バッシュマンやゴルティックにやられてしまう。
「MAYA! 磁気バリアがあればMVでもこの磁気砂漠で戦えるのか?」
——一応は、でも長くは持たないので、もって数分です。それ以上になると磁気に耐えきれないかと……。——
「わかった、それでは手短に終わらせる!」
オレはウィンセルの整備を済ませ、セドリックに鍵を手渡した。
「セドリック・アルバート。ウィンセル、出ます!」
ルミナス号からウィンセルが発進した。
間違っても地面に落下してはいけない。
もし落ちたら磁気砂漠でウィンセルはオシャカだ。
「おい。あの空飛ぶコンバットメカは何だ?」
「カリン、どうやら敵ではないみたいだぜ。アイツ、ウォーカーガンナーに攻撃してるからな」
「通信は出来そうか? チャンネルを合わせてみてくれ」
「了解。アルファ357で問いかけてみる」
オレ達のいるルミナス号の中に無線通信が届いた。
「聞こえるか。オレはデロリア独立の為に戦っているゲリラ、太陽の戦士のロッド・アンデルだ。聞こえたら応答してくれ!」
どうやらオレ達に通信してきたのは、独立ゲリラの太陽の戦士だったようだ。




