番外編 宇宙漂流記ルミナス 13 バリアン・ワールド 1
オレ達は知らない間に下半身が馬のような騎士型のロボットと、翼のついた騎士型ロボットの集団に囲まれていた!
「何なんだよ、オレ達は敵じゃないぞ」
「そこの浮遊城郭の中にいる者達に告ぐ、おとなしく武装解除をして出てこい。我々はラーダル軍だ。お前達は白い谷の関係者か? もしそうなら大人しく投降せよ」
今度は何のロボアニメの世界だよ!?
ラーダル? 聞き覚えがある名前なんだが、何だったっけ??
確か、剣が鞭のようにジャラジャラなって、敵に下半身が蛇のようなジャラジャラしたやつがいて……この作品=ジャラジャラって覚えてたような……。
「私はラーダル様の親衛隊長、ハイルタットだ! お前達は白い谷の反乱軍の者か!?」
白い谷? オレは名前しか知らないぞそんなもん。
確か、機人界バリアンの主人公、ジョルジュ・ジョーダーのいた反乱軍の本拠地の名前だったか。
——機人界バリアン——
舞台は惑星ラース。征服王ラーダルに父を殺され、母を生きたまま魔法で石像にされてしまったジョルジュ王子は、父の忠臣であった元王国騎士団のランベル将軍に落城の際に連れられて逃れ、白い谷で育ち、王国の伝説に伝わる邪神兵ダウエルを倒した赤い機人バリアンを手に入れる。
バリアンに乗ったジョルジュ王子はバリアンを駆り、父の仇である征服王ラーダルを倒す為、そして母を取り戻す為に戦う。
って話だったよな。
うん、ゲームの設定そのまま言ったけど、これもマイナーで本編ほとんど見た事ないんだよな。
言ってもロボが赤いガンボーグの偽物にしか見えなかったし……。
まあバリアンで一番有名なのはバリアンソードと呼ばれるジャラジャラした剣だよな。
それと飛行バリアン、銃砲バリアンの二形態に変形可能なメカニック。
敵のプロタウルスやフライガルもデザイン的にはカッコよくてリアル系デザインにファンタジーという意味では聖騎士ダンザインとはかなり区別化されていた。
ダンザインが鳥と昆虫を合わせたデザインだとすると、バリアンは西洋甲冑とロボの組み合わせだ。
「答えろ、貴様等は白い谷の者なのか! その浮遊城郭はどこで手に入れたのだ、わたしの問いに答えろ!」
「浮遊城郭って、ルミナス号の事? みんな、投降しようよ、僕こんなとこで死にたく無いよ」
「何よアイツ、偉そうにしてさ。ああいうやつって絶対モテないわよ」
おどおどしたスターリングに好き勝手なこと言っているエリザベス。
ルミナス号の中も混乱している。
そんな空気を切り裂いたのは……鳥? いや、あれは赤いロボットだ!
あれが飛空バリアンか、プラモでは見たことあるが本物を見る事になるとは……。
空を飛ぶ赤い翼のロボットは一瞬でフライガルを吹き飛ばした!
「ラーダル軍め! 抵抗もできない相手に攻撃を仕掛けるなんて、騎士道すら持たぬ外道! 覚悟しろ!」
飛空バリアンから銃砲が撃たれた。
プロタウルスの一体が飛空バリアンの砲撃で粉微塵に砕けた。
「くっ! あれが白い谷の赤い機人か! 退くぞ」
「ハイルタット様、ラーダル様からご伝言です。赤い機人に封印されし邪神兵ダウエルを発掘した、早急に帰還せよ。とのお達しで御座います!」
「何! ついに伝説の邪神兵が見つかったのか。これで白い谷も終わりだ! ジョルジュ王子よ、首を洗って待っているが良い! さらばだ!!」
そう言うとハイルタットと呼ばれた隊長の乗った色違いのプロタウルスはラーダル軍もろともその場から姿を消した。
「そこの者達。怪我は無いか! ボクはジョルジュ・ジョーダー。白い谷のリーダーだ。君達は一体誰なんだ?」
——ワタシはMAYA。このルミナス号のメインシステムコンピューターです。——
「マヤ様ですね。一度お姿をお見せいただけますでしょうか。ボクがそちらに伺いますので」
——それが、ワタシはそこに行く事が出来ないのです。——
「そうですか。マヤ様は遠方からボクとお話をしている魔女様なのでしょうか?」
どうやらジョルジュ王子は何か勘違いをしているようだ。




