番外編 宇宙漂流記ルミナス 11 銀河新風ザンシンガー 3
どうやら治安警察のような連中が街のあちこちを占拠しているようだな。
運の悪い事にルミナス号の子供達とケイト、それにG9のオクニの乗った車がその治安警察のような連中に囲まれていた。
あのロボットの名前はゴーシとハタモッドというらしい。
ゴーシは軽装で足元の装甲が薄く、見た感じ裸足のように見える。
それに対してハタモッドは羽織袴のようなアーマーに足元には草鞋のような装備がされていてどう見てもゴーシより強そうだ。
そのゴーシが10機以上、そして、ハタモッドが3機、さらに金色のハタモッドはさらにカスタマイズされそうなやつだ。
「出てこないとこの人質を一揆に加担したお上への叛逆とみなし、このスペースバスごと処す!
「マジかよ!」
「私こんなとこで死にたくないー」
「ママー、パパー! たすけてー」
くっそ、オレにはどうすることも出来ない。
だがこのままあの子供達を殺させたらオレはもし元の世界に戻れても後悔しそうだ。
だがオレはただのエンジニア、ロボのパイロットでもなんでもない。
そんなオレがあのゴーシやハタモッド相手ならどう立ち向かえば良いんだ。
「くっ、オクニはオレたちの仲間だ、助けに行くぜ!」
「待てっ! チュージ!!」
チュージはスペースバギーにマシンガンとレーザードスを構え、一人で飛び出した。
「オラオラオラ、チュージ・クニサーダ様のお通りだー! オレが相手になってやるぜ!」
チュージはマシンガンでゴーシの目を狙い、確実にヒットさせた。
目を攻撃されたゴーシはそこから誘爆、爆発した。
「お上に立てつくキョーカクめ、今日こそ神妙にお縄を頂戴しろ! その上で打首獄門にしてやる!!」
アイツ、なんであんな無茶なことやるんだ。
あのスペースバギーだけであんなロボットに戦おうなんて……。
「どうして、って顔をしてるな。俺達キョーカクはな、弱きを助け強きを挫く。牙持たぬ者の牙として生きるのが掟なのさ」
クソっ、カッコいいじゃねえかよ。
今までの自己保身のオレはそれに比べれば無様すぎる。
そういえば大河内先輩が——子供向けロボアニメや特撮は情操教育、道徳番組だ。—–って言っていたが、オレはそれを馬鹿にしていた。
オレのこんな姿、もし子供に見られてたら笑われるか憎まれるだけだ。
オレの出来る事、何かやらないと。
「オレにも手伝わせてくれ!」
「そうか、お前、名前は何という」
「オレは……か……レイジ、レイジだ!」
「そうか、レイジ。それではあのオクニのスペースバギーを彼女に届けてくれ。危険な事だが、やってくれるか? ゲンナイ、援護射撃は任せたぞ」
どうやらオレはオクニのスペースバギーを運転して彼女に届ける事になりそうだ。
「了解したぞ。オイ、小僧、そのロボのタキオンキャノンでお前も援護するんだぞ」
「へっ!? おれ? わ、わかったよ。じいさん」
「誰がじいさんだぞ!? ワガハイはまだ50前だぞ」
「へへっ、悪かったよ。それで、おれはあの敵をこの遠距離キャノンで撃てばいいんだよな」
作戦が決まった。
オレとイシマッツ、ジローチョの三人でスペースバギーに乗り揺動。その後でオクニにこれを届ける。
衛星にあるルミナス号からはジャッキーが魔改造ガンセルのタキオンキャノンでゴーシとハタモッドを狙撃。
チャンスは一度きり、さあ、作戦開始だ。
オレはスペースバギーをアクセル全開でブッ飛ばし、ゴーシを跳ね飛ばした。
イシマッツとジローチョが翻弄し、遠距離からはガンセルのタキオンキャノンでゴーシを狙い撃ち。
トクガーの包囲網に穴が空いたとこでオレはスペースバギーを人質のあるスペースバスに隣接させた。
「オクニさん、乗ってください!」
「ありがとうね、お兄さん」
スペースバスから飛び降りたオクニがスペースバギーに乗り、オレは助手席に移った。
流石にこんなとこで降りたら自殺行為だ。
「みんな、待たせたね。それじゃあ行くよ!」
「了解だ、みんな……ザン・シンクロン・マキシマムだ!」
「おうっ、ザン・新九郎ましきまむなっ!」
「違う! ザン・シンクロン・マキシマムだ! しのごの言っている場合ではないぞ!」
どうやらこの四機のスペースバギーが合体して巨大ロボになるようだ。
「行くぞ!」
「「「「ザン・シンクロン……マキシマム!!!!」」」」




