番外編 宇宙漂流記ルミナス 10 銀河新風ザンシンガー 2
「バテレン星雲??」
「おや、バテレン星雲を知らないのか」
「その、バテレン星雲って何だ?」
オレはこの銀河新風ザンシンガーの話、まるで知らないんだよ。
何なんだよそのバテレン星雲ってのは。
「それについてはワガハイが説明しましょうぞ」
「おお、ゲンナイ。良い所に来てくれたな」
どうやらメカニック担当といった風貌の眼鏡をかけた初老の男がオレ達の前に現れた。
「バテレン星雲とは、トクガー五十三星のあるこの銀河とは別の星系、つまり星雲の事を言うのだぞ」
「その前にトクガー五十三星って何だよ、オレ達は別の世界からやって来たんだよ!!」
子供達は話についてこれないらしく、オクニに連れられて街にショッピングに行っている。
どうやらここはエンシュー星Gエリア9地区というらしい。
だから彼らのチーム名がG9だそうだ。
「トクガー五十三星はセキガッハラを境に西と東に分かれた五十三個の星の事で、トクガーの太祖とも言えるショーグン・イーエス・トクガーの子孫が治めているのだぞ。だがモチイーエの悪政に加え、キョウホー、テンポーとテンメーの大彗星のせいで大半の星が壊滅的被害を受けたのだぞ。だからG9が立ち上がってダイカーンからネングを取り返し、貧しい人達のエネルギーを分け与えているというわけなのだぞ」
なるほど、イマイチわからんが……とりあえずこの銀河新風ザンシンガーの奴らは義賊というわけか。
「わかったよ、ゲンナイさん。それで、オレ達はワープシステムの故障でこの世界に来てしまったんだが、アンタならあのワープ装置直せるか?」
流石に俺はロボエンジニアではあっても宇宙船エンジニアではない。
だからワープ装置の故障を直す方法は知らないんだ。
しかしこのゲンナイってオッサンなら直してくれるかもしれない。
「いいぞ。だがこちらも条件があるぞ」
「条件? 何だ、何をすればいい」
「そうだな。あの宇宙船の中を見させてほしいぞ」
「そりゃあ修理してもらうんだから自由に見てくれ。こちらこそ願ったりかなったりだ」
ゲンナイはルミナス号に入り、ワープ装置やタキオンエンジンの状況を確認していた。
だがゲンナイが興味を持ったのはどうやらそれだけではなくMVだったようだ。
「おお、あのロボットは何だぞ。あれはゴーシでもハタモッドでもないロボではないか。後であれも調べさせてほしいぞ」
――了解しました。ゲンナイ様――
ゲンナイはMAYAがいきなり話し出した事に驚いた。
「なな、何だぞ!? これはひょっとして宇宙船に意志があるというのか、大発見だぞ!」
――私はルミナス号メインシステムMAYA。よろしくお願い致しますわ。――
ゲンナイはルミナス号の事をMAYAに聞きながら修理をし、MVのランセルに重武装を搭載してくれた。
「どうじゃ、コレがワガハイの作った武器、タキオンキャノンだぞ。これは星から星に向かって撃てば届くくらいの遠距離攻撃が可能なんだぞ」
何やってんのこのオッサン! そんなチート兵器よく作ったもんだな。
「うわ! すげえや。何ともメチャマクってるじゃねーかよ!」
みんなと買い物に行かずにランセルの様子を見ると言っていたジャッキーはゲンナイの作ったトンデモ兵器に興奮していた。
「さて、そろそろ買い物に出たみんなが帰ってくる頃かな」
――だが、事件はその時すでに起きていた。
「大変だー! ブギョーの取り締まりだ! ショッピングエリアがゴーシとハタモッドに占拠された!」
「何だって!?」
オレ達がテレビをつけると、そこに映っていたのは……トクガーのサムライと呼ばれた連中達に包囲されているルミナス号のクルー達とオクニだった。
「出てこいG9! 隠れているのは分かっている! もし出て来なければここにいる奴らを一揆の加担者として一人ずつ処す!」
くそっ! どうしてこうトラブルに巻き込まれてしまうんだよ!!




