番外編 宇宙漂流記ルミナス 8 ワープ装置の故障!?
とりあえず、ティコとケイトがルミナス号に合流した。
ここまでは想定内の話だ。
オレ達はゼクトニアン、メルジュールの二つの斥候部隊の脅威を逃れ、どうにかワープ軌道に乗せる事が出来た。
ふう、原作では物凄い辺境の惑星宙域に包囲網を抜ける為に行き先を未定のまま恒星間ワープをした事で本来の移住惑星テラニアから遠く離れた場所に飛んでしまった。
その為、そこからテラニアに戻る為のワープ用エネルギーが尽きてしまい、そのエネルギーを探す為に色々な惑星を航行しながら辿る事になったのがこの物語が長期化した理由だった。
――まあ、本来は半年打ち切りになるところだったが、視聴者からの署名でお化け番組の裏の時間から別の時間に変更した事で一年間の物語になったんだけどな。
「へへ、お姉さん。ケイトさんっていうんだ。よろしく」
「ええ、よろしく。カッコいいナイトさん。貴方でしょ、さっきあのMVで私達を助けてくれたの。声で分かるわよ」
「は、はいっ! ぼ、僕はセドリック・アルバートといいます!!」
「ははっ、セドリックが僕だってよ、普段オレってカッコつけてるのに」
「なんだと!? このマルコ!」
この二人、仲が良いのか悪いのかよくわからん。
「……」
一方このケイトの隣にいる無口な少女はティコ。
彼女はなかなか誰にも接しようとしない。
「ねえ、あなた。お名前は何ていうの?」
「……ティコ……です」
「ティコさんね、よろしく。わたしはペリーヌ・チェイミーと言います、よろしくお願い致します」
ペリーヌとティコはこの作品でも男の子の視聴者の人気の高かった二人だ。
マニアックなファンはエリザベスが好きってのも多かった、ロリコンはアンなんだろうが。
「おねえちゃん、ぼく……ネロです」
「……よろしく……」
子供達がお互い自己紹介している。
そんな中、ギターを用意しているのがジャッキーだ、まあコイツはいつもブレないんだよな。
「新人の皆さんを歓迎して、おれが歌を歌いマース、さあ、レッツミュージック!」
だがBGMにはなっているかも知れないが、誰も彼の歌を聞いてはいない。
むしろケイトやティコの方が話題の中心になっているくらいだ。
「おれの歌を聞けー!!」
まあ、コイツは放っておいていいだろう。
何だ言ってもこいつらとの宇宙旅行もそう長くなる物では無い。
恒星間ワープで移住惑星テラニアにつけばこのお子様達との旅もそれまでだ。
まあ三泊四日の宇宙旅行を体験したと考えればいいかな。
この経験はオレの今後に生かせるかもしれないしな。
「オイ、MAYA。移住惑星テラニアにはどれくらいで着くんだ?」
――そうですね、大体恒星間ワープを使って後一日半といったところでしょうか。――
「わかった、それじゃあよろしく頼む」
「こらー、この船の操縦をしているのは僕なんだぞ、僕を差し置いて偉そうにしないでくれよ」
スターリングがオレに怒鳴ってきた。
コイツ前半ではマジで嫌な奴だからな……。
「MAYA、僕が宙域の航路図を入力するから、それが完了したら恒星間ワープを開始してくれ」
――了解です。スターリングさん。――
MAYAはワープ用のエネルギーを溜め、恒星間ワープの為のタキオンエンジンを始動させた。
――恒星間ワープ開始まで……20秒……10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0!! ワープ開始――
そして宇宙船ルミナス号は恒星間ワープに入った!
――しかし、メルジェールの斥候の攻撃はワープ装置に異常を与えていたのだ!!――
オレ達はワープを完了させた。
だが、本来ワープ完了後に見えるはずの宙域図に映っているはずの移住惑星テラニアがどこにも見当たらない……。
いや、もっと言えば見覚えの無い星が近くにあったのだ!
「そこの未確認宇宙船、止まりなさい。止まらないと一揆の一員と見なし、迎撃する!」
マジかよ!? ってアレ見覚えあるんだけど……!
オレ達が見ている前で異星人のパトロール機が何者かに撃ち落とされた。
「よお、そこの宇宙船。危なかったな。こんなとこにいるとトクガーのサムライにやられるぜ!」
「お、お前は誰だよ……」
「おう、名乗って無かったな、オレはG9のチュージ、泣く子も黙る銀河新風ザンシンガーのパイロットだ!」
――銀河新風ザンシンガー――って……ここまったく別の世界だー!!




