番外編 宇宙漂流記ルミナス 5 ティコとケイト
ウィンセルのリニアレールガンが発射された。
ズガァァン!!
「な、何だよ……コレ」
バゴォオン!
派手な音を立ててルグが爆発した。
更に誘爆したルグは、先程のレーザードライフルで装甲の脆くなった箇所から爆発の連鎖を起こし、一気に三体のルグが破壊された。
「す、すげえや……おじさん」
オレは驚いていた。
いくらこの世界のMV系のロボットが紙装甲とはいえ、あのリニアレールガンの一撃で一気に三体が倒せるとは思わなかったからだ。
――でもやはりオレは凄い!――
子供達では到底作れなかったリニアレールガンとレーザードライフル切り替え可能なデュアルレーザードライフルをありあわせの材料で作れたわけだから。
「オッサン、本当にエンジニアだったんだな」
「当たり前だ、オレに作れないものは無い」
「すげえな、それじゃあおれの考えた武器とかも作れるのか?」
このマルコ、軍事マニアの武器マニアだ。
作中ではチェーンソーだのパイルバンカーだのチェーンハンマーやドリルといった近接系武器を色々と考えては作ろうとして失敗していた。
それに彼の乗る事になるランセルは索敵、移動特化型で、彼の好むような武器とは正反対のミスマッチな組み合わせが大半だった。
――クリア星宙域、敵残影無し。これから別航路を使いべリック星に向かいます――
どうやらMAYAがここから一番近い航路を見つけ出したようだ。
べリック星では不時着した際に二人の人物と出会う事になる。
それが――ティコ――と――ケイト・アーデルハイド――の二人だ。
ティコはネタバレをすると、ゼクトニアンとメルジェールのハーフだ。
男だけの種族であるゼクトニアンと女だけの種族であるメルジェールの男女がお互い戦闘中に不時着、その後恋に落ち生まれた奇跡の子供……それがティコだ。
この宇宙漂流記ルミナスのメインヒロインとも言える存在、それがティコだといえる。
この話はあくまでも二つの巨大宇宙勢力に巻き込まれた子供達が生き延びる為に戦争を回避しながら移住惑星テラニアに到着するまでの話だ。
その際にこの二つの宇宙勢力の戦争を止める事になる少女、それがティコなのだ。
だから何が何でもティコが彼等の仲間入りをしないとオレ達はテラニアに向かえない。
いや、テラニアに行くのが目的というよりは、オレが元の世界に戻る方法を見つける為だ。
どう考えてもこのルミナス号からオレが元の世界に戻るのは無理だ。だが移住惑星テラニアに行けば何かが分かるはず。
まずはその為にワープユニット用のエネルギーを確保しなくてはいけない。
その宇宙船用エネルギーがある星がベリック星というわけだ。
「ふー、ようやくこれで固形食以外が食べれそうだ」
「あたち、パイがたべたい」
「とにかく大人を探して救援要請を出さないと……」
子供達はそれぞれが別の事を考えている。
そして、宇宙船ルミナス号がベリック星の大気圏に突入し、無事着陸を完了させた。
この星でケイトとティコは避難センターの唯一の生き残りとして出てくる。
避難センターは本来ベリック星古代遺跡探索センターと呼ばれ、ケイトはここの研究主任だった。
ここで見つかったモノリスのようなオーパーツはこの物語の根幹に関わる物体なのだが、今はまだ誰もその話を知らない。
唯一このオーパーツについて知っているのはケイトただ一人なのだが、彼女は物語中盤で行方不明になり、再び子供達の前に姿を見せるのは最終回手前だ。
「オレ、ウィンセルで辺りを調べてくるよ」
「あー、ずるいぞー、おれも外に出たいのに。おっさん、おれのロボットも外に出れるようにしてくれよ!」
マルコがオレにランセルの整備を頼んできた。
仕方ないな、それじゃあランセルを外に出れるように整備してやるか。
「そうだ。オレもカッコいい武器をつけてくれよ! 頼んだぜおっさん!!」
オイオイ。カッコいい武器って何をつけろってんだ?




