番外編 宇宙漂流記ルミナス 2 アルバトロス・パロ・レイジ・イカルガ
オレは子供達に取り押さえられていた。
「覚悟しろ変態野郎!!」
「捕まえたぞ、このゼクトニアンのスパイめ!」
「パパママを返してよぉー!」
コイツら、子供と舐めたら痛い目にあう。
実際彼らは宇宙船を子供達だけで操縦し、無事に移住星テラニアに帰った大人顔負けの行動力だ。
——宇宙漂流記ルミナス——
昔のロボアニメで、宇宙を子供達だけで漂流する事になってしまったルミナス号とその中で生活、戦闘をする子供達の物語だ。
この中に出て来たロボはMVと呼ばれていた。
そのMVは主役機の白い機体、ウィンセル。コレは主人公のセドリックの乗る機体だ。
後半になると弟のアルフレッドも乗る事になる。
他にも緑色の機体ランセルと青い機体のガンセルがあった。
ランセルはマルコが乗っている。
マルコは軍隊マニアでマルコ軍曹と自ら名乗って軍帽をかぶるイタリア系の少年だ。
ガンセルは黒人の少年、ジャッキーが乗っていた。
彼は楽器が弾けるのでよく作中でもギターを弾いていたな……。
なんて事考えてる間にオレは子供達のほーてーさいばんにかけられることになった。
さて、どこに連れて行かれるやら……。
オレが子供達に縛られて連れてこられたのは、ルミナス号のメインシステムのある場所だった。
「MAYA、ボクたちは今からコイツのほーてーさいばんをやるんだ、ばいしーんになってよ!」
子供達の声を聞いたルミナス号のメインシステムが光り出し、オレに話しかけて来た。
——アナタは誰ですか? 子供達の法廷裁判にかけられるような事をアナタは本当に行ったのですか?——
メインシステムから女性の声が聞こえてきた。
どうやらこのMAYAは昔のロボアニメの女性キャラから名前を持って来たとオーディオコメンタリ話で見た覚えがある。
「誤解だ! オレは知らない間にここにいたんだ!」
——そうですか。それではアナタの名前を教えてください。——
オレの名前だって? アレ? オレの名前??
ダメだ。何かの大きな事故の際に名前を忘れてしまったようだ。
ダメだ、何か、何かを思い出さないと……。
——名前を言えないとは、アナタは本当にゼクトニアンのスパイなのですか?——
「オ、オレの名前は……レイジ。そう、アルバトロス・パロ・レイジ・イカルガ! 地球人、いや日本人だ!!」
オレは咄嗟に頭に思いついた名前を叫んだ。
アレ? コレ確か……青い彗星STRブレイザーの主人公の名前じゃなかったか??
——アルバトロス・パロ・レイジ・イカルガですね。それではアナタの事はレイジと呼びましょう。レイジ、アナタはなぜこのルミナス号に潜入したのですか?——
まさか、工場の不良在庫の雪崩に巻き込まれて気がついたらここにいたなんて話が通じるわけが無い。
ここは、それっぽい話にしよう。
「実は、オレはロボ系のエンジニアなんだが、退去命令の際にトイレにいたまま外に出れず、気がついたらここにいたんだ。この船はどこに向かっているんだ?」
——そうでしたか。レイジ、それは不運でしたね。この船はまだ航路設定がなされていません。今は惑星脱出の際のニュートラルで次の航路入力を待っているところです。——
「なんだよ、おじさん! エンジニアなのかよ、それじゃああの白い機体動かせるようにしてくれよ」
「白い機体……? ああ、ウィンセルの事か」
「おじさん、アレ知ってるんだ! カッコいいなあ」
「あたしはイヤよ、そんな変態!」
あらあら、嫌われたもんだ。
まあ、ファーストコンタクトが最悪だったからな。それは仕方ない。
「大変だ! ゼクトニアンのロボが攻めて来たぞ!!」
「何だって!?」
ここには今子供しかいない。
今ここにいるのは、セドリック、アルフレッド、セーラ、ペリーヌ、マルコ、ネロ、スターリング、ジャッキー、アン、エリザベスだ。
他にもレギュラーメンバーはいるのだが、そのキャラ達とは後々会う事になる。
さて。オレは大人としてこの子達に何かしてやらなきゃいけないのか……。




