番外編 宇宙漂流記ルミナス
昨日あるロボアニメの40周年再放送見ていたら書きたくなったのでもう少し先にするつもりだった話を先に書きました。
ここは壬生にある玩具工場。
だが工場と言っても機械は作動していない。
むしろ、不良在庫の工場と言った方が正解だろう……。
——何でこうなったんだよ!?——
本来ならオレは港町にある公園の等身大ガンボーグの責任者になっているはずだった。
だがオレの蹴落としたはずの目の上のたんこぶは、機動テストをしていた手の上に落ち、鼻の骨と足や腕の骨折だけで、命に別状はなかった。
しかも防犯カメラにオレの犯行が映っていたらしく、オレは責任者どころか、犯罪者にならない代わりに賠償金を払う事で示談にしてもらい、秘密裏にこの壬生工場に左遷されられた……。
まあ、示談金はオレの親父が払ったんだがな。
「クソッ! こんな仕事やってられっか!」
ここは通称玩具の墓場、不良在庫の山だ。
オレは腹いせに山積みにされた玩具の倉庫のパレットを蹴っ飛ばした。
すると、倉庫の柱は錆びていたらしく、ゆっくりと音を立てて折れてしまった。
そこからはドミノ倒しだ、負担がバランスで保たれていた柱が一本折れた事で他の柱も全部が倒れ、玩具の山が雪崩を起こした。
「うわあああぁぁぁぁぁあっっ!!??」
それがオレの最後の叫びだった。
オレは不良在庫の玩具の山に押しつぶされてしまった……。
「あれ? オレ、生きているのか?」
オレが気がつくとそこは、玩具工場の不良在庫の山の中ではなかった。
ここにあるのは何だ?
オレは何かのガラクタの中に埋もれていた。
ふう、顔が汚れた。
オレは思わずそのガラクタの山の中にあった布で顔を拭いた。
だが何かの違和感を感じた……これは、女の子用のパンティーじゃないかよ!?
おかしい、何故玩具工場に女の子用のパンティーがあるんだ? オレは違和感を感じていた。
オレは他にあったガラクタを見たが、他に見つかったのはエッチ本、何かのメーター、そして銃の玩具などと生活雑貨みたいだった。
これは一体何なんなんだ??
オレは玩具の銃の引き金を引いた。
ピシュンッ!
銃からはレーザーが発射され、壁の一部に焼け焦げが出来た。
何だよコレ、本物じゃねぇかよ!? 一体マジでどうなってんだ??
オレはどうにか倉庫のガラクタの中から立ち上がって辺りを見渡した。
——おかしい、コレはどこかで見覚えがあるぞ。——
オレは立ち上がり、倉庫の中から辺りを見渡してみる事にした。
ん? 子供の声が聞こえる……。
「どうすんだよ、にいちゃん。ボクたちどうなるの?」
「知るかよ、泣きたいのはこっちの方だぜ」
「セディ、わたしたちどうなるの?」
どうやら子供達が話をしているようだが、保護者はいないのか。
「うわーん、おかーたんにあいたいのらー……」
「ネロ……泣かないでよ、あたちもかなしくなって……うわぁわん」
何だ何だ、子供の遠足か? それにしては引率が見当たらないな。
「クソッ! ゼクトニアンめ! おれがロボに乗れたらボコボコにしてやるのに!!」
——ゼクトニアンだって!?——
信じられない、あの子供達が言っていたゼクトニアンとは、オレが昔見ていたロボアニメの敵軍団の宇宙人の名前だ!
確か……名前は——宇宙漂流記ルミナス——そう、星を脱出の際に生き残った子供達だけで宇宙船ルミナス号に乗って母星の移住星テラニアに帰るまでの話だ。
確かガンボーグとは別のタイプのリアルなロボにこだわった作品で、出て来たロボットはMVと呼ばれていた。
「もう捕虜でも何でもいいよ。ボク達子供なら殺されないだろ。だから白旗でも掲げれば相手も許してくれるよ。ボク、小型MV免許持ってるから、ここにMVがあるなら外に出て白旗を掲げてくるよ」
白旗だって!?
アイツら、ゼクトニアンでは白旗は徹底抗戦の合図、その旗のせいで自分達が長い間宇宙を流離う事になるのを知らないのか!?
オレは咄嗟に飛び出してしまった!
「やめとけ! 白旗は相手を怒らせる事になるだけだぞっ!」
「うわっ! 誰か飛び出して来た!」
「キャー!? ヘンタイィー!!」
「オジサンだれだよー?」
オレはいきなり変態扱いされた。
何でいきなり見ず知らずの女の子に変態呼ばわりされるんだ??
「オッサン何持ってんだよ。それ?」
「えっ?」
オレが手に持っていたのは女の子用のパンティーだった。
そりゃ変態呼ばわりされるわな……。
それが、オレとこの子供達の奇妙な宇宙漂流の始まりだった。




