第四十四話 巨大獣デズガズ デスカンダル皇帝の最後 17
ついに最終回です。
皆さまここまでご覧いただき誠にありがとうございました。
次回作もよろしくお願いします。
「大河内さん!! 大河内さんっ!! 目を覚ましてください!」
「ん? アレ、ここは?? 俺は自爆してカルシウムになったのでは……?」
「もう、何寝ぼけてるんですか!? ずっと意識戻らないから心配してたんですよ」
アレ? ここは病院?
それにしてはずいぶんとリアルで元いた世界そっくりだな。
それに俺が大河内と呼ばれている……。
——まさか、ここは元の世界!? あのガッダイン5の話は俺の夢の中の話だったのか!?——
「おい、ガンボーグの開眼式はどうなったんだ!? 亀木がやったのか?」
「落ち着いてください、事故があったからと延期になってますよ!」
どうやら見舞いに来てくれた会社の人に聞くと、俺の転落事故のせいで等身大ガンボーグの開眼式は延期になったらしい。
そしてどうやら俺は18メートル下に落ちたのではなく、作動テストしていて開いた手の上に顔面から落ちて鼻の骨を折っていたそうだ。
そういえば確かに顔のあちこちが痛い……。
「亀木さんは防犯カメラの映像が証拠になって、刑事事件にしない代わりに壬生工場に転勤させられましたよ」
「壬生工場だって!?」
壬生工場はかつて日本で玩具を生産していた時の一大拠点だった場所だ。
だが海外生産がメインの今は、不良在庫や欠陥品回収の倉庫になっている。通称玩具の墓場だ……。
亀木はそこで倉庫管理の仕事に回されたようだ。
後日、噂では不良在庫の無断転売をして懲戒解雇されたとも言われている……。
俺は亀木の父親から口止めと示談金、入院費として結構な金額を受け取った。
俺は会社でしばらくの間休暇になっているらしい……。
少し歩けるようになった俺は、ガンボーグのある公園に向かった。
どうやら今日もフリーマーケットをやっているようだ。
そこに前回ガッダイン5のDX超電磁ガッダイン合体ボックスを売っていたおじさんがいた。
その手前にはガッダイン5大百科が置かれていたが、前回よりテープでの補修箇所が増えていた。
俺はその本が気になっておじさんに立ち読みさせてもらった。
——すると、記載内容が俺の暗記している本と全く違った!!——
——ブキミーダ参謀長——
最低最悪の性格だったが死にかけた時に他人に助けてもらい改心する。
その後は地球人とダバール星人の間で暗躍しながら双方に犠牲者が出ないように立ち回り、最後は人工太陽を再動させる為に最愛のメイドロイドマーヤと自爆した。
どうなっているんだ!? コレって俺の事だよな!
——メイドロイド・マーヤ——
元戦闘用アンドロイドだが、その後ブキミーダに引き取られる。
ブキミーダを愛し、彼の為に様々な命令を実行する。
最後はブキミーダと共に人工太陽を再動させる為に彼の命令で自爆した。
やはり何かが変わっている……。
——三島防衛長官——
特攻隊の生き残りで軍人の鑑と呼ばれた人物だったが、飛行機事故の後豹変。
デスカンダル皇帝の操り人形として地球を裏切りダバール星に味方するが、最後にはデスカンダル皇帝も裏切り、宇宙の悪魔に取り込まれた。
やはり違う! この大百科、内容が俺の経験してきた話になっている!!
俺は監督インタビューを見てみた、すると……やはり監督インタビューも内容が大きく変わっていた。
——最初はね、結構死者が出る予定の話だったんだよ。でも、何だかみんな殺すには惜しいキャラに感じて、最後はほとんどのキャラが生き残ってしまったんだ。
一番生き残らせてほしいってキャラだけ、最後にどうしても物語の演出で殺してしまったけど、何だかまるでシナリオを書いた時に誰かに操られていたような気がするんだよね……。
俺は思わず手に持っていた財布から3万円を取り出し、この大百科を買ってしまった。
今なら亀木の父親から受け取った金であのDX超電磁ガッダイン合体ボックスも買えるっ!!
「それもください! 現金でっ!!」
「毎度あり、お金はいいよ、お兄さん、前もこれ見てたでしょ。この金額は転売する奴に売りたく無いから付けていた金額だから。お兄さんみたいに本当に作品が好きな人なら大事にしてくれるでしょ」
そう言っておじさんは俺にDX超電磁ガッダイン合体ボックスを譲ってくれた。
「さあ、もう店じまいだよ、これでようやくワシの仕事も終わる。ケカカカカカカカッ!」
俺が気がつくとそこには店も何も無かった。
だが、俺の手元にはガッダイン5のDX超電磁ガッダイン合体ボックスとガッダイン5大百科が残っていた。
俺は家に帰り、休暇を使ってロボットシミュレーションゲームの最新作をプレイした。
サイドボードの上には当時もののガッダイン5の玩具が飾られている。
少し不恰好なプロポーション、腹にプリントされた番組ロゴ、そして極め付けは、本編には出てこない玩具用の合体補助ベルトだ。
この補助ベルトが子供のサスペンダーに見えてマジでカッコ悪い。でも、この補助ベルトが無いと合体を維持できないのだ。
このガッダイン5の玩具を見ながら俺はゲームを進めた。
シナリオは、四十四話、巨大獣デズガズ デスカンダル皇帝の最後だ。
当然ガッダイン系はフル改造。
おや、増援!? いや、皇帝が倒された!
この敵は……ラグ・ラゲンツォだと!? よし、それなら合体技で倒してやる!
さて、俺のターン、次の攻撃は…………。(おわり)
遂に完結しました。
ロボアニメや70年代のあるあるネタを詰め込むとこまで詰め込んだ作品、自身でも書いていて楽しかったです。
面白いと思ってくれた方は★★★★★を入れてくれるととてもテンションが上がってやる気が出ます!
この後、各キャラの後日談や巨大獣図鑑、イラスト等を今後アップできるならやっていきたいかと考えていますので、そちらもよろしくお願いします。
新作はダンジョン配信もののお仕置きミミックの話です、こちらもよろしくお願いします。
https://ncode.syosetu.com/n0313ik/
SFやロボ特撮ネタは好きなので、それ以外にもウンコ漏らしの後引き籠ってしまった男の小学生に戻った人生やり直し90年代合体ロボットヒーロー作品や、特撮風のヒーローの孫娘の痛快アクションを書きたいとも思っていますので、今後もよろしくお願いします。




