第四十四話 巨大獣デズガズ デスカンダル皇帝の最後 15
マーヤちゃんは本来マーダーロイドと呼ばれる最強の戦闘用アンドロイドだった。
あまりに強い一騎当千のパワーは味方にまで大損害を巻き起こす為、その能力を使えないようにして足ユニットを取り外したメイドロイドとして再設計されたのだ。
だが、今の彼女はレイザムが調整した為、足ユニットをつけたまま自在に力を出したり抑えたり出来るパーフェクトロイドになっている。
そのマーヤちゃんがラグ・ラゲンツォの表面を走り、時空崩壊砲を無限ユニットで発動させようとしていたブキミーダの元に走って駆けつけた。
「まーやぁ、かぁ、わちぃの。めいりぇいを……」
「ワタシ、あなたなんてっ! 大っ嫌いですううううう!!」
「ぐげゃぁあっ!!」
バギィィッ!!
マーヤちゃんの全身全霊をかけた全力の飛び蹴りはブキミーダを宇宙の果てまで蹴り飛ばしたっ!!
その速度はマッハを超え、空気の無い宇宙にブキミーダを吹き飛ばした。
ブキミーダは食べ物も水も無く、死んでも何かにぶつかるまで永久に宇宙を飛び続ける事になってしまったのだ。
時空崩壊砲を発動し損なったラグ・ラゲンツォはエネルギーの暴走で内部崩壊を始めた。
さあ、早くガッダイン5や他のロボット達、それにマーヤちゃんを回収しなくては!
俺達はラグ・ラゲンツォが大爆発を起こす前に全員撤収し、その場を離れた。
そして……ついに、アカシックレコードの怪物、ラグ・ラゲンツォは宇宙の塵となったのだ。
「こちらマグネコンドル、全員、作戦完了じゃぞい!」
代々木博士が全員に勝利を宣言した。
だが、まだ終わっていない!!
「待ってくれ、代々木博士。まだやる事が残っているんだ!」
「なんじゃと!? まだ敵がいるのか??」
「そうじゃない、人工太陽を止めないと。もうアレは爆発寸前なんだ!!」
俺は代々木博士に千草の玉璽が人工太陽の制御室の鍵だと伝えた。
あの制御室に入れるのは千草だけだと伝え、ガッダイン5は燃え盛る人工太陽に超電磁バリアを張り、突っ込んだ。
「アレが制御室ねっ! 龍也、降ろしてくれるっ?」
「わかったぜ、千草」
制御室の鍵を玉璽で開き、中に入った千草に俺は電源を切る事を伝えた。
「千草さん、その人工太陽を止めてくれ。出力を落とすだけじゃダメなんだ!」
「わ、わかったわっ!」
千草は俺の言うように人工太陽を完全停止してくれた。
これで、もう今すぐに爆発する事はない。
「止めたわっ。でも、このままじゃダバール星の人達は太陽が無くて生きていけるのかしらっ……」
彼女の懸念は当然の事だ。
太陽無しに生きれるほど人類や生命は強くない。
だから俺はある事を考えていた。
「みんな、ダバール星に戻ろう、俺に考えている事があるんだ!!」
俺は全員にダバール星に戻るように指示した。
人工太陽を失ったダバール星には真っ暗な冬が訪れ、人々の混乱が始まっていた。
「一体どうするというのじゃぞい!? 儂は未来人のあんたの言うようにしたが、このままではダバール星は滅びてしまうぞい!!」
「分かっています、だからみんなで地球に一旦避難してもらうんです!!」
「地球に避難って……本気か!? 何億人もおるんじゃぞい!!」
「お願い……します。代々木博士」
俺は涙を流しながら代々木博士に頼んだ。
「わかった、儂から荒川長官に聞いてみるぞい」
代々木博士は超亜空間通信で荒川長官に話してくれた。
「あー、わっしが荒川ですー。代々木博士、どうしましたかな?」
「荒川長官、誠に頼みにくいお願いなんですが、ダバール星の避難民を受け入れてもらえませんでしょうか?」
「うー、良いですよー、3万人? 五万人? ひょっとしてそれ以上?」
「数億人ですぞい……」
想定を遥かに上回る数に流石の荒川長官もひっくり返った。
「あー、お、億って……、本当ですかい!?」
「やはり無理ですわな……」
「うー、受け入れましょう! あー、わっしの大学の卒論はこの地球の人口増加と食料問題でしたから。うー、この星はまだあと数十億人は余裕で受け入れれるはずですから、わっしが引き受けましょう!!」
助かった! 荒川長官のおかげでこのダバール星は救われる事になりそうだ。
新作始めました。
今度の作品は世直しミミックのダンジョン配信です。
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