第四十四話 巨大獣デズガズ デスカンダル皇帝の最後 11
あっけない最後だ。
本編ではまだラスボスとして君臨し、最後は主人公達のガッダイン5と戦う事で戦死したデスカンダルが、三島のブキミーダによって踏み殺された。
まあ、正式には本編では敗れた後に自ら人工太陽に突っ込んで死亡したのだが……。
優秀で人に慕われる兄、ハリールと違い、誰も信用できず孤独で裸の王様だった彼には仕方がない結末だったのかもしれないが、この時間軸ではまさかのブキミーダによる裏切りで踏み潰されるとは。
あの三島のブキミーダ、間違いなく最終回の踏み潰しによる処刑を経験していたのだろう。
だから反対にその恨みをデスカンダルを踏み潰す事で晴らしたのかもしれない。
まあ、原作が四十四話でも五十話でも最後にブキミーダが踏み潰されて殺される流れは確定だったらしい。
それは、——他者を平気で踏み躙る者は自らも踏み躙られる結末になる。——という浜野監督のメッセージだったようだ。
浜野監督といえば、——天空のイカロス——でイカロス族とガルダ族の、憎い敵と思っていたガルダ族がイカロス族による人身御供から逃れて穏やかに暮らしたかったと言う善悪逆転の物語や、ダンボット3の戦いがあるからそれを止めるためのコンピュータ生命体による主人公達の母星を滅ぼした話などの重くてメッセージ性の強い話を書く監督だ。
ブキミーダはそういうメッセージ性でいえば、他者を踏み躙る強者の代弁者と言える存在だったのだろう。
だから最後には自らも踏み躙られたと言うべきか。
だが! 今の三島のブキミーダは、自らの力を遥かに上回るアカシックレコードの魔神の力を持っている。
あの持て余す力を好き放題に使われると、本当に世界の終わりどころか宇宙すら滅びかねない!
本来の物語のラスボスが、このイレギュラーの存在であるラゲンツォの前にあっという間に踏み潰された。
今やデスカンダルだった肉片はラゲンツォの足の裏に汚らしい液体と個体や流動物としてこびりついているだけだ。
ラゲンツォはデズガズの頭部にあった王冠のようなパーツを蹴飛ばし、その王冠は何も無い衛星ネオの荒野に転がった。
そして、頭部を失った巨大獣デズガズを持ち上げたラゲンツォはその頭部のない巨体をおもむろに全力を込めて人工太陽の方に投げ飛ばした!
このままでは原作と同じように人工太陽に衝突した巨大獣デズガズのせいであの人工太陽が爆発して崩壊してしまう!
だが、それも俺とレイザムの作戦で防止策を考えていた。
巨大獣バルバル、巨大獣ジャガジャガ、そして鉄巨人イチハチにエルベΩ1とゴライアスとコッペリア、グレートジャスティス。
今回の突入救出作戦に参加しなかった巨大ロボを総動員し、人工太陽を守る守備隊を結成しておいたのだ。
あの三島のブキミーダが本編経験者だとするなら、あの人工太陽がもう臨界事故寸前だという事には気が付いているだろう。
だから間違いなく彼の目的が世界征服等ではなく、この世界の破滅だとするなら確実にこの人工太陽を破壊するだろうと俺はレイザムと話していた。
それなのでこのロボットチームがあればあのぶん投げられた巨大獣デズガズを破壊出来る!
バルガル将軍をリーダーにした人工太陽守備隊は、それぞれの最強武器を使い、巨大獣デズガズを攻撃した。
セイレーン・シュルスリートで外装を分子分解され、バルソードで全身をバラバラにされ、ローリングアタックで胴体を引き裂かれ、グラビトン・ブラストで動力炉を砕かれ、残ったパーツはゴライアスとコッペリア、さらにグレートジャスティスが粉々になるまで砕いた。
そして。全員の総力戦により巨大獣デズガズは人工太陽に衝突する事なく宇宙のチリとなったのだ。
「キサマら……絶対に、絶対に許さんぞ!! このラゲンツォでキサマらを……全員鏖にしてやる!! グオオオオァァァォォアッッ!!!!」
激怒した三島のブキミーダの様子がおかしい!!
まるで、宇宙の邪悪なエネルギーが全てあのラゲンツォに吸収されているようだ!!
そして、最悪の結末が待っていた……!




