第四十四話 巨大獣デズガズ デスカンダル皇帝の最後 10
「その声は、フジ子さん?」
「そうです、エリーザさん。ボクが助けに来ました。イチナナ、みんなを手の上に乗せて!」
「ラージャー」
どうやら作戦は大成功のようだ。
エリーザ様は鉄巨人イチナナが助け出し、大型飛行艇にいたクルー達は全員デスカンダルと三島のブキミーダによる洗脳から解かれ、投降した。
衛星ネオの兵士は着地したマグネコンドルが全員を回収。
大型飛行艇のクルーは全員俺のいる機動要塞ドグローンに回収した。
今や残っている敵勢力はデスカンダルと三島のブキミーダ、その命令に従うアンドロイドくらいだ。
だがそのアンドロイドも先程のマーヤとダンダルの地獄の歌謡ショーでバグを起こし、まともに起動していないようだ。
「いやはや、凄まじい威力だったね。わたしの演算すらバグを起こすあの特殊音波をまさか切り札にするとは。彼がわたしの敵でなくて本当に良かったよ……」
ブレンがそう言うくらいだ、あのレイザムの切れ者っぷりは宇宙一と言えるかもしれない。
彼のおかげで、ほぼ無血で全人質を取り返せたわけだから。
「ええい! どうなっておるのだッ! 我の兵士が全員裏切ったと言うのかッ!?」
「デスカンダル様、あんな有象無象がおらずとも、ワシの作ったそのデズガズがあれば逆らう者全てをぶち殺せますよ。さあ、今こそ貴方様の強さを見せつける時です!」
俺の残したスパイドローンはデスカンダルと三島のブキミーダの会話を拾った。
どうやら打つ手の無くなったデスカンダルは原作最終回と同じように巨大獣デズガズで出撃するみたいだ。
衛星ネオの要塞が崩れ、その中から二体の超巨大ロボが姿を見せた。
三島のブキミーダが乗るラゲンツォと、デスカンダルの乗る巨大獣デズガズだ。
どちらもガッダイン5やグレートシャールケンの二倍以上だが、それでもラゲンツォとデズガズを比べると大人と子供のような大きさの差がある。
「フン! 皇帝である我、デスカンダルに逆らう愚か者どもに正義の鉄槌を喰らわせてやるのだッ!」
そう言ってデスカンダルは巨大獣デズガズを歩かせようとした、——だが!!
ドガァアアアンッ!!
「何じゃ!? 一体何が起きたのだァァァア!?」
どうやらタイタン部隊の仕掛けた破壊工作用の爆弾が、原作でブキミーダの仕込んであったデズガズの膝の時限爆弾に誘爆し、右足の膝から下が吹き飛んでしまったようだ。
なんという壮絶な出オチ……。
デスカンダルの乗った巨大獣デズガズは戦う前から衛星ネオの要塞に倒れてしまった。
さらにタイタン部隊の爆弾はバックパックにも仕掛けられていたので、空中に飛んで戦う事すらできず、右足と背中パーツを失った巨大獣デズガズはその場から立ち上がる事すら出来なかった。
「た、助けてくれ、ブキミーダッ。我を助けるのだッ!!」
「バカがっ! もう貴様は用済みだ」
「な、何をするのだッ!? ブキミーダッ??」
なんと、ブキミーダはラゲンツォの左足で動けない巨大獣デズガズのコクピットがある頭部を踏みつけた。
「ブキミーダだと? このクズの皇帝モドキが! ワシがいなければ何もできなかったくせに……。キサマはもう用済みだ、このクズが! デスカンダル、キサマ、ワシの名前を言ってみろ!」
「ヒ、ヒイイイイ、助けろッ、いや、助けてくれッッ。助けてくださいブキミーダッ!!」
「ブキミーダだとっ!?」
ラゲンツォの踏みつけがさらに全重量を乗せたものになり、グリグリと巨大獣デズガズの頭部を踏み躙った。
「ブッ、ブキミーダ様ッ! ブキミーダさまぁぁあッ! 助けてください、わたしはあなたに忠誠を誓いますッ!! ブキミーダさまあぁぁぁぁぁああっ!!」
「だが断るっ! 死ねっ!!」
ブシャッ!
三島のブキミーダが乗るラゲンツォは、デスカンダルの乗っていた巨大獣デズガズの頭部を踏み潰し、ついに皇帝だったデスカンダルは、その中で踏み砕かれて死んだ……。




