第四十四話 巨大獣デズガズ デスカンダル皇帝の最後 8
そしてついに作戦が開始された。
いくつかの部隊に分かれたブルーマフラー隊やタイタン部隊、それにマーヤちゃんダンダルの特殊部隊は、マグネコンドルと機動要塞ドグローンから発進し、衛星ネオの基地を目指した。
先行したのはガッダイン5とグレートシャールケンだ。
この二体にはあえて目立つように先行させた。
三島のブキミーダの目に止まりやすくする為だ。
俺はタイタン部隊とブルーマフラー隊に昆虫型スパイドローンを潜入させ、辺りの様子を確認した。
このスパイドローン、存在がバレてしまったがこれを俺はあえて三島のブキミーダの使っていたものを逆利用したと説明した。
レイザムはニヤニヤ笑い、ブレンは無反応だったが、多分あの二人には本当の事が分かっているのだろう。
だがあえて分かった上で黙っているのはこの作戦にはスパイドローンが必須だと分かっているからなのだろう。
マジであの二人を敵に回した三島のブキミーダに同情するレベルだ。
確かにブキミーダは悪の天才だ。
だがアイツには致命的な欠点がある。
それは、プライドの高さと他人を信用しない、他人とのコミュニケーションが取れない事だ。
それが生まれつきなのかそれとも育つ中で誰にも指摘されないままそうなってしまったのかはわからないが、彼には一切仲間がいなかった。
それに対し今の俺は彼と同じ姿でいながら、地球人、ダバール星人、それに機械生命体の人工知能ブレインまでもが協力してくれている。
これだけの仲間がいてあのブキミーダに負けるとは思えない。
だが、懸念点はあのラゲンツォだ。
まさかのアカシックレコードの古代の魔神、それが本当のラゲンツォの正体だった。
名前は少し違ったがどうやらレイザムも古代の文献であのラゲンツォの事を知っていたらしい。
彼の聞いていた名前はダゲンゾだったらしいが。
あのラゲンツォを三島のブキミーダが使いこなせているとはとても思えないが、巨大獣デズガズに加え、あのラゲンツォがいるとなると苦戦は必至だろう。
さて、最後の巨大獣になるデズガズだが、ガッダイン5大百科の巨大獣図鑑によると……。
——巨大獣デズガズ——
全長120メートル、重量5500トン
デスカンダルの為に作られた最強最後の巨大獣。
デスカンダルのイメージした王冠のついた頭部が特徴的で頭部にコクピットがある。
ブキミーダにデスカンダルが用意させ、頭部に乗ったデスカンダルは今までの失態を全てブキミーダのせいに押しつけ、命乞いをする彼を足で踏み潰して処刑した。
ブキミーダを処刑した後、ガッダイン5をその巨体で苦しめるが、最後にブキミーダが自己保身の為に仕掛けていた時限爆弾で右足を失い、辛くも宇宙に逃げる。
だが、マグネブラスターの攻撃を受け、装甲を剥がれた後、ガッダイン5の全力を乗せた超電磁ファイナルストライクで機体を貫かれ、頭部から外れた巨大な冠が廃墟と化した基地に落下した。
その後、死に損ないのデスカンダルにより、ダバール星を滅ぼす為に人工太陽に特攻し、砕け散って人工太陽にトドメを刺した。
——死してなお他者を苦しめようというブキミーダに足を砕かれ、また、死してなおダバール星を滅ぼそうとするデスカンダルの怨念に満ちた機体で、まさに呪われたロボットというべきだろう。
俺がそんな事を考えている間にガッダイン5とグレートシャールケンが衛星ネオに近づいた。
「ケカカカカカカカッ! よくここまで来たもんだな、褒めてやるぞ」
「ブキミーダ! 今度こそ年貢の納め時だ!!」
「おっと、そんな事を言っていいのかな? エリーザの命はワシが握っておるのだぞ」
「くっ! ……卑怯者め!」
上機嫌の三島のブキミーダはシャールケンにコンタクトを取ってきた。
「シャールケン、妹が可愛くは無いのか? もし、エリーザを返して欲しければ、その地球人達を裏切れ。お前の手でそいつらを殺すんだ!」
流石! レイザムの読み通り、三島のブキミーダはシャールケンに裏切りを勧告してきた。




