第四十四話 巨大獣デズガズ デスカンダル皇帝の最後 7
レイザムはガッダインチームとシャールケンに対し作戦を説明した。
「君達にはシャールケンと本気の殺し合いをやってもらいたい」
「どういう事だよ! 説明してくれよ!?」
「今は理由は説明できない、実は、何故ならそれを言ってしまうと作戦が上手くいかなくなるからだ」
これは流石に本編にも五十話分の話にもなかった展開だ。
正直言って俺もこの理由がわからない。
「レイザム。お前の事だ、意味のない事をやらせるとは思っていないが、どういう事か少しは説明してくれ」
「わかった。ガッダインチームは少し席を外してくれ。他のメンバーは残って欲しい」
ガッダインチームだけが蚊帳の外にされ、レイザムはなかった面々に作戦や今後の流れを説明した。
「レイザム君、敵を騙すにはまずは味方から、と言ったところかね?」
「流石だな、目玉オバケ。実はこの作戦、ブキミーダの性格を見抜いた上でのものなんだ」
ブレンを目玉オバケ呼ばわりって……まあ見た目バックベアードとかみたいだけど。
「アイツは狡猾で冷酷残忍なヤツだ。実はアイツの好きなやり方は、同士討ち、つまり仲間割れを強引に起こして仲間同士に殺し合いをやらせるやり方だ。だから間違いなくアイツはシャールケンに妹を助けたければガッダイン5を倒せというだろう。だから実際にシャールケンとガッダイン5には戦ってもらう必要があるんだ」
なるほど、確かにあのブキミーダの性格を考えれば確実にやってくる事だ。
むしろそれ以外の手で今のアイツが勝てる方法が無い。
そうなると人質を使ってシャールケンをガッダイン5の敵にさせるしか思いつかないだろう。
「成程な、それでワシらは別働隊としてそのガッダイン5とシャールケンが戦っている間にあの衛星ネオの要塞に入り込んでエリーザさんを助け出すというわけじゃな」
「この少年は? どう見ても普通の子供では無い事がわかるが、実はあの身体の本来の持ち主なのか?」
「ほう、それを一発で見抜くとは、恐れ入る眼力じゃな。そう、ワシが本物の三島防人防衛長官、あのブキミーダに奪われた身体の本来の持ち主じゃ」
レイザムはケン坊の姿を見てその話し方で瞬時に三島長官の正体を見抜いた。
流石はリアルチートキャラだと言える。
「そうか、貴方がリーダーなら信頼できそうだ。そうです。実はボクの考えていた作戦は、ガッダイン5とグレートシャールケンが戦っている間にマーヤとダンダルの歌から分析した波動発生装置を宇宙に響かせ、デスカンダルとブキミーダの洗脳を受けている兵士の洗脳を解く。その後一気に別働隊が衛星ネオの中に入り込み、エリーザ様を助け出すって作戦なんです」
「その救出隊、俺達ブルーマフラー隊が引き受けよう!」
剣崎隊長が作戦に名乗り出てくれた。
彼が行くならある意味安心だ。
「では撹乱と内部の破壊工作はオレ達タイタン部隊が引き受ける。あのデスカンダルには返してやる借りがあるんだ!」
「トニー、気をつけてね」
「ああ、姉さん。必ずやり遂げて生きて帰ってくるよ!」
これで作戦の実行部隊が決まった。
エリーザ様救出部隊は剣崎隊長のブルーマフラー隊を中心としたメンバー。
陽動部隊はトニーのタイタン部隊を中心としたメンバー。
マーヤちゃんとダンダルを中心とした別部隊は洗脳された人達を元に戻す特殊隊。
そして、ガッダイン5とグレートシャールケンはエリーザ様を助け出すまでの時間稼ぎでの対決をする。
これなら確実にエリーザ様を助け出す事が可能だ。
まあ確かにブキミーダの性格ならシャールケンにガッダイン5と戦えと言いかねない。
だがその性格を見抜いた上で、いきなり裏切れと言われる事を想定して作戦を立案したレイザムの底知れない恐ろしさを俺はつくづく実感した。
——マジで彼が敵でなくて本当に良かったと思う。
もし本編で彼が最後まで生きていたらガッダイン5はレイザムの作戦相手に負けていた可能性もあるくらいだ。




