第四十四話 巨大獣デズガズ デスカンダル皇帝の最後 4
最終話のラストは何とも言えない感じの少しモヤモヤの残るものだった。
――マグネコンドルはダバール星人を助けようとしたが、敵であった地球人の手を取ろうという者は誰もおらず、龍也達は黙ってダバール星を後にした。
長距離ワープの準備に入ったマグネコンドルの後方で一つの星が死んだ。
――ダバール星は宇宙の塵となったのだ……。
ダバール星の脅威から地球を救ったガッダイン5は地球人達に歓迎され、マグネコンドルとガッダイン5は平和の象徴として穏やかな相模湾を眺め続けるのだった……。(おわり)
――まあ、いくら五十話の話を四十四話にまとめる為とは言え、尻切れトンボといえるようなラストは今見ると結構なんじゃこりゃーと言いたくなるレベルだ。
本来の五十話までの話のルートはガッダイン5大百科に載っていた。
【ロボットシミュレーションゲーム】ではそのバージョンの最終回を再現したシナリオもあったくらいだ。
本来は打ち切りが決まったのが三十二話の時点だった。
まあ打ち切りの理由は玩具の売り上げや視聴率低下ではなく、後番組の戦隊ヒーロー、——バトルディーラーJ——の開始が二ヶ月早まってしまった為だったのだが……。
このバトルディーラーJ、世界中のトランプの模様を持った凄腕の5人のギャンブラーが集められ、正義の味方として悪の宗教団体ネゴスと戦う話だった。
まあそれはさておき、打ち切りの後の話に戻すと、三十二話では千草がダバール星の王子ハリールの娘だとバレる。
その時に彼女が持っていたペンダントの中の玉璽が人工太陽制御室の鍵だという設定はこの話で既に決まっていたらしい。
本来の全五十話では、シャールケンとアクラデスは死ぬ予定になく、シャールケンは三十七話の決闘の後、姿を消し、最終決戦の四十七話で復活してガッダイン5と共闘するはずだった。
また、アクラデスはクローン生成工場を見るがそれを竹千代に僕も貴方と同じ作られた命だ、と説得され、反デスカンダルのリーダーになるはずだった。
——なるほど、ガッダイン5大百科の竹千代の項目に日本初の体外受精(試験管ベビー)と書かれていたのはそのなごりなのか。
そして、革命軍のリーダーになったウルワシアの立場は、本来アクラデスが行う予定だったのだ。
このダバール星編が四十話から四十四話まで続く。
本編で名前も知らない数体の巨大獣が皇帝宮殿の守りに就いていたのはこの話に出る予定だった奴らなんだな。
そして四十五話でデスカンダルのいる衛星ネオに攻撃を仕掛け、四十七話で倒し、四十八話のラストでガッダイン5が燃え盛る人工太陽に突撃し、制御室に千草が入る。
彼女がダバール星の皇帝として人工太陽の制御パネルを出力最小にする事で、人工太陽の爆発は食い止められ、ダバール星は危機を回避する。
だが本来の人工太陽の性能の十分の一以下になったダバール星は食糧に事欠く貧しい星となってしまった。
千草はこの星の運命を変えてしまった責任を取るため、龍也達と別れ、ダバール星を復興させる事を決意した。
女帝千草の元、ダバール星は地球の植民地として細々と慎ましく生きる星として歩み始めたのだ……(完)
まあ、本編の四十四話がバッドエンドだとすると、この全五十話の話はトゥルーエンドというべきか。
この五十話の話では革命軍のリーダーになったとはいえアクラデスは今までの自身のやってきた事が許されざる事だと言い、最後には自ら命を断ち、シャールケンはデズガズとの対決の中でガッダイン5のチャンスを作る為にデズガズを羽交締めにし、超電磁ファイナルストライクで貫かれて今までの罪を自ら断罪した。
どちらも今のこの時間軸では助けられるはず。
彼等彼女等はこの時間軸では取り返せないような過ちを行ってはいないのだ。
俺が目指すべきは、四十四話のバッドエンドでも無ければ、五十話のトゥルーエンドでも無い、この四十四話の最高のハッピーエンドなんだ!!




