第四十四話 巨大獣デズガズ デスカンダル皇帝の最後 1
「そうなのね、貴女が今ここにいるのは地球人のおかげなのね……」
「はい、お母さま。そして、あちらにおられるのがゲンタローさんとそのお母さまのトモエさんです」
キレーダが指を刺した方向にはパーティーの食事を山盛りで平らげている玄太郎とそれを呆れて見ている巴の姿があった。
キレーダとウルワシアが二人の元に近寄り、うやうやしく礼をとった。
「貴方様があたくしの娘の旦那様になられる方ですね、あたくしはキレーダの母親のウルワシアと申します」
「えっ! キレーダ……さんのかーちゃ、お母さんですか!? オ、オイは大岩玄太郎と! 申しますたい! ンッンガッングッ!!」
あーあ、焦って話したもんだから食べた物を喉に詰まらせてしまったようだ。
まあら命に別条はなさそうで巴さんが玄太郎の背中を強く叩いてどうにか詰まったものは出せたらしい。
玄太郎の行動を見ていたキレーダやウルワシアが笑っている。
どうやらもう地球人、ダバール星人の垣根は完全に取っ払われたようだ。
そして、楽しいパーティーは終わり、マグネコンドルと機動要塞ドグローンに俺達は戻り、ついに最終決戦に向かう事になった
目的はエリーザ様の奪還、そしてデスカンダルを倒す事だ。
だが、今や本編の本来のラスボスであるデスカンダルより、三島のブキミーダが乗るラゲンツォの方がよほど脅威と言える。
いくらバリアフィールドを分子分解し、もう大気圏突入が不可能になったとはいえ、あのラゲンツォにはクェーサーカノン、時空崩壊砲といった究極兵器が残っている。
あのアカシックレコードの怪物を阻止しない事には地球にもダバール星にも真の平和が訪れたとはいえないのだ。
しかしあのラゲンツォ、まさか俺が考えたと思っていたら実は宇宙のアカシックレコードの産物だったとは……偶然が重なりすぎにしても程があるとは思ったが、それが俺がアカシックレコードに触れた物だったとすると、奇妙な話だ。
だがそんな事を言ってはいられない。
あの怪物を三島のブキミーダが手に入れてしまったのがこの星だけではなく宇宙の脅威だということだ。
もし今のうちにアイツを倒さなければ、ラゲンツォは更なる進化を遂げ、ラグ・ラゲンツォとして宇宙を崩壊させかねない!
明日の夜には俺達はあの星空にいる。
この戦い、絶対に勝たなくては!
もうあの人工太陽も爆発寸前の臨界点に達している。
何が何でもデスカンダルを倒し、三島のブキミーダが乗るラゲンツォを倒し、人工太陽の暴走を止めなくてはいけない。
もう時間は無いのだ。
——だが、ここに来て最高の仲間が加わる事になる!——
「クニヒロ様、少しよろしいでしょうか?」
「はい、ウルワシア様、どう致しましたか?」
「実は、貴方がたの戦いに同行したいという者がおりまして、クニヒロ様から責任者のヨヨギ様にお繋ぎ頂ければと……」
まさか! 同行したいと言う人物は!?
「はい、大丈夫です。その方はどちらに?」
「彼ならそこにおられますわ。さあ、ご挨拶してくださいませ」
俺の前に姿を現したダバール星人は、痩せ型で長身の男だった。
間違いない! 彼はっ!!
「ご紹介頂きありがとうございます。ボクの名前は元ダバール星宇宙軍技術主任、レイザムと申します」
キターーーッ!!
彼がいれば暴走する人工太陽の修復が可能だ!
そうか、この時間軸では食中毒で入院した事で過労死せずに済んだので、病み上がりとはいえ五体満足で戦線に参戦できるわけか。
俺だけでなく、彼と代々木博士やベルクシュタイン博士といった地球人の科学者、それに巨大頭脳ブレイン総統が力を合わせれば、人工太陽の修理は可能だ。
これは絶望の中に希望が見えてきたのかもしれない!
さあ、早く宇宙に向かい、衛星ネオのデスカンダルを倒さなければ。




