第四十三話 巨大獣バミンゴ 勝利を呼ぶ5人の力! 9
マグネコンドルのマグナブラスターでラゲンツォは宇宙まで吹き飛ばされた。
これで一難去ったわけだ。
流石のラゲンツォも機体の周りを包んでいたバリアフィールドを分子分解されてしまった事でもう大気圏には突入不可能だ。
あのデスカンダルの乗っていた大型飛行艇は大気圏突破能力があるが、もうデスカンダルの軍勢は存在せず、大気圏突入出来る兵器はあの大型飛行艇だけという事になる。
つまり、デスカンダルの戦力は完全壊滅、今や彼に残る勢力は衛星ネオの要塞だけという事になる。
だが衛星ネオは自給自足出来るだけの環境ではなく、ダバール星からの定期的な補給が無ければ生きていく事は出来ない。
つまり、放っておいてももうデスカンダルの運命は破滅しか存在しないのだ。
だが、彼はまだ勝ち目があり、自身にはついてくる兵士がいると思い込んでいる。
本編でも、——ええい! 補給はまだ届かんのか!? 我は早く温かい食事がしたいのだッ!——といった迷台詞を残している。
この台詞こそが彼の人となりをよく説明しているといえよう。
他者を利用するだけ利用して、自身は常にもてなされる存在だと思い込んでいた裸の王様、それがデスカンダルである。
また、デスカンダルは最後にブキミーダを処刑してしまう事で、彼の周りにはもう誰一人としていなくなり、部下を失い最後は破滅する。
まあ今の時間軸ではデスカンダルと共に破滅するのはあの三島のブキミーダであって、俺では無いのが確実だ。
ようやく俺は自身の死亡フラグを全て乗り越えてきたわけだ。
デスカンダルとラゲンツォが宇宙に追いやられ、避難していた民衆が再び戴冠式の続きを見る為に集まってきた。
今度は敵の脅威も存在しない為、シャールケン、アクラデス、ダンダル、代々木博士、みどりさんといった千草に関係のある全員がダバール星の栄誉ある騎士として任命された。
なお、シャールケンとアクラデスの地球侵略の任は女帝千草の命により、解任された。
ついにここにダバール星の本当の平和が訪れたのだ。
——だが、何か忘れている気がする……。
そうだ! 三島のブキミーダに連れ去られたエリーザ様だ!!
彼女を助け出さないと、本当の平和が来たとは言えない。
そうか、先程からシャールケンが千草のことを祝福しつつも、複雑な表情をしていた理由がそれだったか。
「シャールケン、やはり心配事は妹さんのことか?」
「おお、クニヒロ殿か、そうだな。まあ生きているとは思うが、無事でいてほしい……オレが、必ず助け出す!」
「シャールケン、オレも手伝うぜ。エリさんを助け出すんだ」
「タツヤか、不思議なものだな、お前とは殺し合う仲だったのに」
龍也とシャールケンが話し合っている。
そして、シャールケンが空高くを指差した。
「あの空の向こうにあるのが衛星ネオ、エリーザはおそらくそこに囚われているだろう。オレは、エリーザを助け出す! どんな事があってもだ!」
「オレも必ずエリさんを助け出す!」
二人の男達は同じ空を指差し、エリーザ様を助けると誓った。
そして、戴冠式は厳かに行われ、大観衆の中、盛大にフィナーレを迎えた。
本編とは違い、千草の戴冠式は大勢の人達に祝福された素晴らしいものとしてダバール星の歴史に残るものになった。
その夜、皇帝宮殿では盛大なパーティーが催された。
俺も一応正装し、キレーダに連れられてパーティー会場に向かう事になってしまった。
「あら、貴方は……」
しまった! ウルワシアと顔を合わせてしまった。
この気まずさ、一体どうしようか……。
だが、ウルワシアはそんな挙動不審な俺を見てクスクスと笑っていた。
「下手な演技をしなくても良いですわ。貴方があのブキミーダでない事くらい、あたくしもわかっておりますから」
そう言ってウルワシアは俺を見てニッコリと笑った。




