第四十三話 巨大獣バミンゴ 勝利を呼ぶ5人の力! 4
アーゴンの謎が解けた今、この場にはこれ以上用はなさそうだ。
「転送装置のスイッチは一旦切っておこう、万が一何かが入って誤作動しても困るのでね」
ブレンはそう言うと何個かのパーツをワープ装置から外した。
もし誰かが組み込んでしまえばワープ装置が作動するからだ。
最悪あの三島のブキミーダにこのワープ装置の事を知られたら、破壊されるかもしれないし、もし作動する事がわかればここから再度地球に侵攻されるかもわからない。
それならばここをただの何も無い古代の遺跡にしておいた方がアイツにも気づかれないだろう。
さあ、そろそろ千草の戴冠式の準備が終わるので帝都インペリアルに戻ろう。
そういえば、本編の四十三話も千草の戴冠式の話だったな……。
ガッダイン5大百科の四十三話の話を思い出すと……。
——寝たきりになってしまったウルワシア公爵令嬢によってダバール星の皇帝と認められた千草の戴冠式が行われる事になった。
式は豪華なもので、民衆は地球人のはずの千草を誰もが祝福していた。
それは、千草の父がこの国で誰もに愛されたハリール王子だったからだ。
若い頃のハリール王子そっくりの千草はパレードの中で民衆に歓迎され、皇帝宮殿に向かった。
そして、ダロア大僧正によってウルワシアの正式なサイン入りの書状と王笏を受け取り、民衆に笑顔で手を振った。
歓喜の声の中、ここに新たなダバール星皇帝、それも初の女帝が誕生したのだ。
……だが、歓喜の声はそのすぐ後に阿鼻叫喚の悲鳴に変わった。
戴冠式の上空に現れたデスカンダルの大型飛行艇、そこから降りてきたのはブキミーダの作った巨大獣バミンゴだった。
バミンゴはパレードを見ようと集まった民衆をまとめて砲撃で吹き飛ばし、バミンゴを操っていたブキミーダは5人いなければ戦えないガッダイン5を嘲笑った。
戴冠式を途中でやめるなんて事はダバール星始まって以来一度も無かった、それ故にガッダインチームの元に向かおうとする千草だったが、側近達に止められる。
それでも千草はガウンの袖を引きちぎり、王笏を投げ捨ててガッダインチームの元に向かい、達也達と共にバミンゴを倒した。
ついに打つ手の無くなったデスカンダルとブキミーダはダバール星を捨て、要塞化した衛星ネオに逃亡した。
バミンゴを倒し、千草は誰もいなくなった戴冠式会場に戻って来た。
そこに居たのはマグネコンドルに避難させられたダロア大僧正とベッドの上のウルワシアの二人だけで、千草は王笏と冠を受け取った。
だがそれは既にダバール星人が誰一人いなくなった、祝福する者の無き戴冠式だった。
そんな千草を拍手で迎え入れたのは、マグネコンドルのクルー達だった。
千草は涙を拭き、この不幸な戦いの元凶となったデスカンダルとブキミーダを倒す決意を固めた。
そして、皇帝宮殿を後にしたガッダイン5とマグネコンドルは、最終決戦の舞台……要塞衛星ネオに向かう。
ここに来てまたまたまたまたブキミーダの悪行、あの戴冠式で間違いなく数万人は死んでいた。
アイツ、最終回でもやらかすんだよな。
まあその後悲惨な末路になるんだが……。
今の俺の状況からしたらどう考えても俺があの悲惨な末路になる事はあり得ないだろうけどな。
だが本編と大きく異なるとはいえ、あの三島のブキミーダが千草の戴冠式に現れてロクでもない事をやるのはほぼ確定済みだろう。
そうなるとパレードの見物をやめさせれば民衆に犠牲者は出ないかもしれないが、そんな事提案したら確実に顰蹙もの確定だ。
さて、どうやってあの三島のブキミーダや巨大獣バミンゴの襲撃を回避しつつ、千草の戴冠式を成功させるか……。
もうあまり時間は残っていない。
早くこの問題を解決する方法を考えなくては!




