第四十三話 巨大獣バミンゴ 勝利を呼ぶ5人の力! 3
ブレンがワープ装置に入って五分程経った。
そして、ワープ装置の円の中心が光り、何かが姿を現した!
何だアレは!?
眩しい光が収まった時、そこに居たのは……ハエとエビフライを混ぜたような怪人だった!
「何じゃこれはーっ!!」
ハエフライとでもいう怪人はそのままそこに立ったままだった。
――まさか転送装置にハエが混ざったとかってネタかよ!?
全員が驚愕していると、そこに何事も無かったかのようにブレンが姿を現した。
「フフフ、わたしのジョーク、楽しんでもらえたかな?」
心臓に悪いわ!!
「実験失敗っぽく人間が埋まった壁を作って転送して来ても良かったのだが、それには少し時間がかかるので流石にやめておいたよ。どうかな? ワタシのギャグセンスは」
コイツ、壊滅的にギャグセンスが無い事が分かった……。
「ハエとフライ、合わせてハエフライだったのだがな、ウルフ君は大笑いしていたんだがね」
いや。それ間違いなく単に合わせてあげていただけだと思う……。
肝心のブレンはどうやら特に問題も無く転送に成功したようだ。
「それで、悪趣味なジョークはいいとして、転送装置の実験結果はどうだったんだ?」
「つれない態度だな。実験は成功だよ、有機体を試しに向こうから送ってみた。それが即興で作った怪人ハエフライだったんだがね。コレは向うで製造済みなので、転送中に何かが混ざるという物では無かったよ」
この怪人ハエフライ、特に問題無くここに転送できたと言いたいのだろうか?
何も言わず単にその場にぼーっと立ったままだ。
「さて、もう用済みなのでこの怪人は一旦消去する事にしよう」
ブレンが目から何かの光線を放つと、その場には一匹のハエとエビフライが残った。
なんともシュールな光景だ。
「まあ、考えてみてもくれたまえ。もし古代地球人がこの転送装置でダバール星を攻めるとして、転送装置に何人もの兵士を乗せて全部が混ざってしまっては戦争どころではないのではないのかね?」
まあそれもそうだ。
「どうやらそれぞれの個体は個体として認識された上で転送物を指定した座標点に送るタイプのワープ装置のようなので混ざるという事は無いらしい。まあ、有機物を送っても何の問題も無いという事だ」
それを聞いて少し安心できた。
もし、最悪このダバール星が壊滅するとしたら、その前にこのワープ装置から地球に避難させる事も可能だといえる。
また、三島のブキミーダが悔しがっていたように、地球側の方のワープ装置を不能にしてしまえば、万が一マグマや濁流がワープ装置から向こう側に出る事は無い。
これで少しは動きやすくなったといえるか。
「ところでブレン、アーゴンについて何かわかったのか?」
「残念ながら複製品の首飾りではアーゴンを制御できなそうだ、本物でなければ姿を見せないだろう」
「オレガイク、オレ、チキュウデアーゴンミツケル」
そう言ってボボンガはワープ装置の円の中心に入ってしまった。
まあ、向こう側にはブレイン総統がいるから連絡は可能か……。
俺達はボボンガの帰りを待ち、少し待つ事にした。
すると、ブレンを通し、ブレイン総統から連絡が有った。
「クニヒロ君、どうやらボボンガがアーゴンを見つけたようだ。今からそちらに送る」
「え? 今から送るって……!」
ドゴォオオオオン!!
凄まじい音を立て、ワープ装置の円のギリギリのサイズにアーゴンが姿を見せた。
本物のアーゴンは、オレがガッダイン5の四十二話で見た姿とほとんど変わらなかった。
ただ、少し違うとすれば……巨大獣のような機械的なパーツが外側についていない岩石で出来た巨人といった姿だった。
「これが、本物のアーゴン……」
「アーゴン、オレ、ユウシャトミトメタ、オレ、アーゴントタタカウ!」
アーゴンの中から戦士ボボンガの声が聞こえた。
どうやらボボンガの一族は古代ダバール人の末裔で、アーゴンを作った古代文明を使いこなしたのだろう。
そして、あの首飾りはアーゴンの主人を意味するものだったのだ。




