第四十二話 巨大獣アーゴン 平和を取り戻せ 5
大型宇宙船マグネコンドルと機動要塞ドグローンは、長距離ワープを成功させ、ダバール星の近くの宇宙空間に到着した。
ダバール星は地球に似た惑星だが、地球が青く見えるのに対し、宇宙空間から見たダバール星はエメラルドのような綺麗な緑色だった。
その近くには地球の月に相当する衛星ネオが存在し、周囲を回っている。
そして、ダバール星の象徴とも言えるのが人工太陽だ。
この人工太陽、いつ作られたのかは不明だが、本来の恒星を失い、極寒の世界になった古代ダバール星に存在した文明が作ったと言われている。
この人工太陽、衛星のように一日に一周するようにダバール星を回転し、自然環境を保っている。
言うならば、天動説を自力で実現しているようなものだ。
だが、この人工太陽が暴走してしまい、今はいつ爆発してもおかしくないのだ。
もし、この人工太陽が爆発してしまうと、衛星ネオも巻き込み、その破片は数キロ大の流星として燃え尽きる事なくダバール星に降り注ぎ、あの緑の美しい星は赤茶けた死の星となり最後は爆発してしまうのだ。
俺はこのダバール星が滅びる姿を最終回で見ている。
最終回、デスカンダル皇帝を倒したガッダインチームとマグネコンドルのクルー達は、宇宙ロケットでどうにか脱出した少数のダバール星人を見送り、救いきれなかったダバール星が滅びる姿を見てから長距離ワープで地球に戻った。
これは無責任というよりも、最大限努力しても助けられたダバール星人はごく少数だけだったというべきなのだろう。
宇宙ロケットに乗れたダバール星人は、貴族も平民もなく、ごく少数の子供と大人達だった。
その後、母星無く彷徨う事になったダバール星人達がどうなったのかまでは、本編では語られる事は無かった。
ガッダイン5大百科にも彼等彼女等のその後は書いていなかったので、新たなる新天地を見つけたのか、それとも宇宙船の中で誰も星を見つける事が出来ずに全員滅んでしまったのか……それは誰も知らなかった。
——だが! 今のこの時間軸ならまだ間に合う!
このマグネコンドルとドグローンにいるのは、地球最高の科学者とスタッフ達だ。
全員の力を合わせれば、あの人工太陽の暴走を止める事ができるはず。
その為にも一日も早くデスカンダル皇帝と三島のブキミーダを倒さなくては!
「みんな、ついにダバール星に到着したぞい。これから儂等はダバール星に降り立つ。みんな、シートベルトをきちんと絞めるんじゃぞい。これより、大気圏に突入する!」
代々木博士の号令でクルー全員がシートベルトをつけ、マグネコンドルとドグローンはダバール星の大気圏に突入した。
炎に包まれたマグネコンドルとドグローンは大気圏を突破し、ついにダバール星上空に到着した。
「皇帝宮殿には我が案内するのだ、ヨヨギ博士。我のいう方向に進んで欲しいのだ」
「わかったぞい、アクラデスさん」
アクラデスはマグネコンドルをダバール星の皇帝宮殿のある帝都インペリアルへ案内した。
シャールケンはドグローンの方に乗っている形だ。
なお、俺は参謀役としてマグネコンドルの方に搭乗している。
「見えたのだ! アレが帝都インペリアルなのだ……なんだアレは!? 皇帝宮殿が燃えているのだ」
アクラデスが見たのは、革命によって燃える帝都インペリアルの姿だった。
「うーむ、アレでは宮殿の近くに着陸出来んぞい。仕方ない、近くに見える水辺にこのマグネコンドルを着水させるぞい」
代々木博士は帝都から数キロ離れた水辺にマグネコンドルを着水させた。
そして、あたりの様子を探る為にガッダイン5、エルベΩ1、鉄巨人イチナナ、鉄巨人イチハチ、巨大獣ジャガジャガ、巨大獣バゲゲゾが出撃した。
「ブルーマフラー隊、住民の救出に向かうぞ!」
「了解です! 隊長」
「ワシも同行させてもらう、頼むぞ剣崎隊長」
ブルーマフラー隊とケン坊の姿の三島長官は住民の救援の為に別ルートで帝都に向かった。




