第四十二話 巨大獣アーゴン 平和を取り戻せ 2
俺達はデラヤ・ヴァイデスのブリーフィングルームに集まり、長距離ワープ前に作戦会議を行った。
「とにかくあの三島のブキミーダをどうにかしないことには、ダバール星も無事ではあるまい」
「おっちゃんよー、前から気になってたんだけどさ、ブキミーダのオッサンってここににいるダバール星人の事だろ。それじゃなんであの三島長官を三島のブキミーダって言ってんだ?」
——ついにこの説明をする時が来たか!——
「オレは一応話を聞いたが、ここにいる者達にはまだ状況が理解出来ていない者も何名かいる。ここで全員の共通認識にしておく必要があるかと思われるが」
「そうじゃのう。一度全員を集めて状況を伝える必要がありそうじゃぞい」
シャールケンが口火を切った事で、この話を全員が聞く事になった。
そして、俺とケン坊の姿の三島長官は二人で全員の前に立つ事になった。
マグネコンドルの地球人のスタッフと、ドグローンにいたダバール星人のスタッフがデラヤ・ヴァイデスの造船デッキに集められ、俺とケン坊の姿の三島長官は全員への発表をする事になった。
「みんな、落ち着いて聞いて欲しい。これから話す話は嘘でもなんでも無い、代々木博士やシャールケン提督もご存知の話だ」
地球人とダバール星人のどちらもがざわざわしている。
言うならば両軍のトップとも言える人物の共通認識で今まで自分達が知らなかったことを伝えられようとしているのだから当然と言えば当然か。
俺は、ついにこの事実を伝える事にした!
「実は、あの地球人の裏切り者だと思われている三島元防衛長官は、ブキミーダなのです!」
全員がざわめきと怒号に包まれた。
まあ、そりゃあそうだろう。
これだけ決戦前のピリピリした状態で冗談としか言えない事をブキミーダ本人が言うんだから。
「ちょっと、落ち着くんじゃぞい! 彼の言っている事は本当なんじゃぞい。この方は、本当に地球人なんじゃぞい」
代々木博士が言った事で地球人側は落ち着いて話を聞く流れになった。
だが、ダバール星人側はまだ混乱している。
「落ち着け! ヨヨギハカセの言っている事は嘘では無い。このオレが保証する!」
シャールケンが声を発した事で、ダバール星人側も一旦落ち着いた。
さて、どこから話すべきだろうか……。
まずは三島長官の姿のブキミーダの話からにしよう。
「皆さん、俺が今いるのはブキミーダの身体だが、俺はブキミーダではない。彼は、人格抽出マシーンで自身の人格を三島防衛長官に移してしまったのだ。俺はその実験台にされた地球人のエンジニアだ!」
この荒唐無稽な説明、ある程度のダバール星人が納得したようだ。
どうやらブキミーダならそれくらいは出来る技術力があるという彼らの共通認識なのだろう。
「そして、地球最強の軍人である三島長官の身体を手に入れたブキミーダは、彼の元々の立場を利用して地球侵略を企んだのです! さらにブキミーダは三島長官の人格を無力な子供に移してしまう事で自己保身を図ろうとしたのです!」
「彼の言う事は本当だ。ワシが本物の三島防人防衛長官だ! あのブキミーダというダバール星人に身体と地位を奪われたワシは、代々木博士の弟子になる事で身体を取り返す機会を伺っていたのだ!」
この事で一番驚いていたのは、やはりブルーマフラー隊の剣崎隊長だった。
「まさか、ケン坊隊員が三島長官殿だったとは! これは、今までの無礼をお許し下さい!」
剣崎隊長はケン坊の姿の三島長官にその場ですぐ土下座した。
「剣崎隊長、顔を上げてくれ。ワシもいままでこの事を伝えられんかった、ワシの偽物のせいで苦労をかけたな」
「そんな! 三島長官殿。俺は、いや、自分はこれからも長官殿の為に命を賭けて戦います!」
剣崎隊長以外のブルーマフラー隊も全員が揃ってケン坊の姿の三島長官に最敬礼をした。




