第四十二話 巨大獣アーゴン 平和を取り戻せ 1
三島のブキミーダにラゲンツォ(仮)を奪われてしまった。
まあ正式にはラゲンツォの設計図を奪われて作られてしまったというべきなんだが……。
そしてあの三島のブキミーダは、俺の考えたラゲンツォを再生巨大獣数体分の材料を使って作り上げた。
まさかここで本編とは関係のない最悪の敵が出て来るなんてのは誰も想定しない結果だ……。
当然ながらあのラゲンツォについて知っている者なんてこの中には誰一人いない。
アレは俺の空想の産物、それが実現してしまった怪物だ。
「ア、アレハ……ラゲンゾ……ウチュウノアクマ!」
――え!? 何で戦士ボボンガがラゲンツォの事を??――
「知っているのか!? ボボンガ」
「ラゲンゾ、ウチュウノアクマ。ホシヲクラウマジンノナマエ。オレ、ゴセンゾサマカラズットツタワルイイツタエ」
――まるでわけが分からない! 何で俺の厨二病最強最悪ロボがボボンガの一族の言い伝えの魔神の名前なんだよ!? どういう偶然だ??――
まあ少し思い出してみよう。
俺がラゲンツォを考えたのはそれこそ【ロボットシミュレーションゲーム】を学生の頃に楽しんでいた時だ。
何となく頭に思いついたデザインだったが、その後は設定がすんなりと頭の中に思い浮かんだ。
とにかく強そうな剣を持ち、左手に巨大な盾を、そして最強兵器クェーサーカノンと重粒子ブラスターを持つってのは簡単に思いついた。
だがそれがまさか本当にこの世界の破壊神の名前だとしたら、俺の頭に思い浮かんだラゲンツォってのは一体何者なんだ?
「ボボンガ、お前はあのラゲンツォという物を知っておったのか!」
「シャールケンサマ、ボボンガ、ゼンブハシラナイ。タダ、ラゲンゾヲユウシャアーゴンガタオストダケ」
アーゴンだって? ここでまた更にその名前が出てきたって。
アーゴンって名前、確かあの水曜ダイナミックに出てきた原住民の伝説の名前じゃなかったか?
確か、とてつもなく巨大な姿で、原住民には神と敬われている。
そして……銀色に光り、目から怒りの炎を吹き出して悪を滅ぼす……って。
――どう考えても巨大ロボットです! これ本当に!!――
マジで戦士ボボンガの一族って何者なのよ?
アーゴンといいボボンガといいワケが分からん。
確か……ガッダイン5の四十二話に出てきた巨大獣の名前もアーゴンだったはず。
俺の覚えているガッダイン5大百科の四十二話の話を思い出すと……。
ガッダインチームとマグネコンドルはダバール星に到着。
そこで貴族と民衆が共にデスカンダル皇帝に反旗を翻したことを知り、共に戦う事を告げた。
そして革命軍が到着したダバール星皇帝宮殿に到着すると、そこに居たのは巨大獣アーゴン。
アーゴンは地球から連れて来た原住民を改造した巨大獣で、ダバール星の宮殿前に現れ、革命軍を次々と血祭りにあげていった。
最後にはガッダイン5によって倒され、ついにダバール星の宮殿はデスカンダル皇帝から民衆の手に取り戻された。
その後、千草が今は亡きハリール王子の忘れ形見だと分かり、彼女の持っていたペンダントの中にしまわれていた玉璽、これを見た民衆と貴族が彼女を真のダバール星の女帝だと認め、全ての民は彼女の前にひれ伏した。
その後、千草の女帝戴冠式を行い、ダバール星はつかの間の平和を取り戻した。
だが、宮殿を逃亡したブキミーダとデスカンダル皇帝は暴走した人工太陽を使い、ダバール星を滅ぼそうとする。
戴冠式の途中で千草は王錫を放り投げ、ガッダイン5のあるマグネコンドルに向かって走った。
ガッダインチームはそんな千草を迎え入れ、全員で人工太陽目指してマグネコンドルでダバール星の空へと飛び立った。
――という話だ。
まさに話もクライマックス、ついに最終決戦手前といったところだった。




