第四十一話 巨大獣ベミミ ミザーリン愛に死す 10
ラゲンツォ(仮)は鉄巨人イチナナとイチハチのダブルグラビトン・ブラストで右腕を吹き飛ばされ、高周波ブレードが使えなくなった。
また、ヒートレーザーは乱発してしまった事でオーバーヒートを起こし、今は使えないようだ。
今がチャンスだ!
鉄巨人イチナナとイチハチはラゲンツォの前に対峙している。
時間稼ぎができたおかげでエルベΩ1は手薄なデラヤ・ヴァイデスの中に入り、ミザーリンはセキュリティを解除しながら内部を進んでいた。
「ここが立ち入り禁止のDブロック、でも今ならセキュリティが止まってるので中に入れるわ!」
「ミザーリン、大丈夫か?」
「ええ、問題無いわ」
ミザーリンに渡しているタブレット型通信機、これは俺の作ったものでアンテナを必要としない伝送システムを使っている。
それなので少しぐらいの悪環境でも通信は可能だ。
「Dブロックに入ったわ、この中のどこに行けば?」
「エレベーターで下に降りてくれ、そこにシャールケンの置いている物がある」
これは本編でミザーリンがシャールケンの手紙を元に無人になったDブロックを探索して見つけ出したものだ。
俺はその映像を見ていたのでこの先に何があるのかもわかっている。
「これは!?」
「それは巨大獣ベミミ、シャールケンがミザーリン専用に作った特注の機体だ。貴女ならこれを乗りこなせるはず」
ミザーリンはコクピットに入り、起動スイッチを入れた。
——パスコードを入力してください。——
「え!? パスコード?? わからないわ……」
あーあ、シャールケンの話を聞く前に飛び出しちゃったから……パスコード聞き忘れてるよ。
「ミザーリン、パスコードは……14106だ!」
「え? 1-410-6?? とにかく入れてみるわ! 14……10……6!」
俺が伝えたパスコードを入力した巨大獣ベミミの目が光った。
どうやら起動には成功したようだ。
「ミザーリン、無事起動できたみたいだな、その機体ですぐにデラヤ・ヴァイデスのメイン動力炉に向かってくれ!」
「承知致しましたわ! すぐにメイン動力炉に向かいますわ」
ミザーリンは巨大獣ベミミに乗り込むと素早く四本脚を器用に操縦し、メイン動力炉ルームに辿り着いた。
「これがデラヤ・ヴァイデスのメイン動力炉、これを止めれば良いのよね」
ミザーリンは巨大獣ベミミのおっぱいドリルミサイルをメイン動力炉目掛けて放った。
だが、ミサイルは動力炉到達前に溶けてしまった。
「な、何てことなの!?」
まあ本編ではミザーリンはメイン動力炉の中に飛び込んで自爆していた、だからある意味エネルギーの塊になっていたので爆発させる事が出来たのだが、外部からおっぱいドリルミサイルで攻撃をしても、メイン動力炉の熱量であっという間に溶かされてしまう。
「こうなったら、直接切りつけるしかないみたいね!」
「待って下さい! そんな事をしたら貴女が機体ごと溶けてしまいます!」
ミザーリンを制止したのはコーネリアだった。
「あのメイン動力炉は遠距離攻撃で無ければ攻撃できません。ですが、わたしには今それだけのエネルギーが残っていないのです。ここに来るのに本来の数倍のスピードを出した事で、エネルギーを大量に消費してしまったようです……」
コーネリアのエルベΩ1はエネルギー切れで、どうにか外部パイプをつなぐ事でエネルギーを補給していた。
だが、このままではエネルギー回復にはあと数時間はかかりそうだ。
あのラゲンツォがそこまでガッダインチームや俺達をそのままにしておくとはとても思えない。
「コーネリアさん、わたくしのエネルギーを使ってくださいませ」
「え? ミザーリンさん? それは……」
ミザーリンはエルベΩ1のエネルギーパイプを自身の巨大獣ベミミの胸部につなぎ、エネルギーの受け渡しを始めた。
「これならそんなに時間をかけずにエネルギーを分け与えられますわね」
「そ、そんな……ありがとうございます!」
二体の女性型ロボットはまるで百合シーンのように(なんつー表現だ……)お互いの機体を寄せ合いながらエネルギーの受け渡しを始めた。