第四十一話 巨大獣ベミミ ミザーリン愛に死す 7
「シャールケン様、切り札とは?」
ミザーリンは先ほどシャールケンの言っていた切り札の話が気になったようだ。
「ミザーリン、デラヤ・ヴァイデスには今のお前に必要なものがある、立ち入り禁止のD区画、お前なら侵入できるだろう。その中にお前に渡す物があるのだ」
「わかりました。D区画ですね、シャールケン様!」
「あ、待て! ミザーリン」
ミザーリンはシャールケンの話が終わる前に飛び出してしまった。
オイオイどうするんだよ、コレじゃあ起動用のパスワードわからないままだぞ……。
まあ実は、俺は本編を見ていたのでこのパスワードを知っているんだけどな。
だからそれほど焦るほどの事で無い。
ミザーリンはコーネリアに乗せてもらい、エルベΩ1でデラヤ・ヴァイデスに向かった。
「ミザーリン、無事でいてくれよ、それまでの時間稼ぎはしてやる!」
シャールケンもマグネコンドルのロボットデッキに向かった。
そこには修理されたグレートシャールケンと、巨大獣バルバルの姿があった。
「シャールケン様、お供致します」
「バルガル、お前も来てくれるのか」
「はい、この戦い、全員が力を合わせなければ勝てません」
「感謝する」
バルガル将軍は軽く微笑むとシャールケンと握手をした。
「お前も死ぬんじゃ無いぞ、新たなダバール星の未来、オレ達で作るのだ!」
「はい、シャールケン様。ハリール様の忘れ形見、あの方を女帝にする為、吾輩は命を賭けて戦い抜きます!」
「ハリール伯父上の娘か、まさか地球人との間にいたとはな。そうだな、あのお方をダバール星に連れて行くため、あの奸物を食い止めなくては!」
バルガル将軍とシャールケンはマグネコンドルを出撃した。
「へっ、シャールケン。まさかお前と一緒に戦う日が来るとはな!」
「タツヤよ、その機体にはハリール伯父上の忘れ形見チグサ様が乗っておられる。決して傷つけてはならぬぞ!」
「へへっ、わかってるよ。千草はオレ達の大事な仲間だ! 傷つけさせはしないぜ!」
「頼むぞ、オレのライバルよ!」
ガッダイン5とグレートシャールケンが一緒に戦う、コレは【ロボットシミュレーションゲーム】で初めて実現した夢のタッグバトルだった。
「タツヤよ、オレ達の目的は戦う事ではない、ミザーリンがデラヤ・ヴァイデスに潜入する為の時間稼ぎだ!」
「へっ、わかってるよ! とにかく時間稼ぎすればいいんだろ」
「そうだ! お前達も決して死ぬなよ」
グレートシャールケンとガッダイン5と巨大獣バルバルがラゲンツォの前に到着した。
「ケカカカカカカカッ! のこのこ死ににきよったか! まあいい、一つだけお前達に生き残るチャンスをやろう、その中にいるチグサを渡せ。そうすればお前達の命だけは助けてやろう!」
「へっ! お断りだぜ!」
「その通りだ、どうせ薄汚いキサマの事だ。チグサ様を渡したらその後オレ達を後ろから狙い撃ちするだけだろうが!」
「吾輩はキサマだけは宇宙で一番信用しておらん! キサマの言う事には従わんぞ!」
ガッダインチーム、シャールケン、バルガル将軍は全員が三島のブキミーダに拒否を叩きつけた。
「調子に乗らせれば好き放題いいよって! そこまで死にたければ惨たらしく殺してやろう!」
ラゲンツォを手に入れた三島のブキミーダは今までの鬱憤を晴らすかの如く、手に入れた最強の力を誇示しようとしている。
「ふむ、そろそろ機体も温まってきたか、それでは圧倒的な力というものを見せてやろう!」
ラゲンツォ(仮)の目が赤く光った!
アレはヒートレーザーだ!
摂氏数万度の真っ赤なレーザーがラゲンツォの目から放たれた。
だが、そのレーザーはガッダイン5やグレートシャールケンではない全く別方向のアステロイドベルトに当たり、小惑星群は消失した。
「何故じゃ!? なぜ目の前の敵に当たらんのだ!!??」
どうやら三島のブキミーダはラゲンツォを使いこなせていないようだ。




