第四十一話 巨大獣ベミミ ミザーリン愛に死す 1
巨大獣ベルゴンを倒し、俺達は巨大要塞デラヤ・ヴァイデスに向かった。
確か本編の四十一話でもマグネコンドルがデラヤ・ヴァイデスに入り、そこの中でミザーリンと最後の対決をしたんだよな……。
ガッダイン5大百科に載っていた本編の四十一話は、こんな話だった。
——シャールケンが死に、バルガル将軍が死に、そしてさらにダンダルとアクラデスも死んだ。
ダバール星人で残った幹部はついにミザーリンとブキミーダだけになってしまった。
だがブキミーダはダバール星本星に逃げ帰り、デラヤ・ヴァイデスに残ったのはミザーリンと僅かな戦力だけだった。
弟を失い、愛するシャールケンも失ったミザーリンにはもう残されたものは何一つ無かった……。
失意の中、かつてのシャールケンの部屋に向かったミザーリンは彼の部屋の机で自分宛の手紙を見つける。
——ミザーリンよ、余の忠実な家来はバルガル将軍とお前だけだ。
余は地球に向かわなくてはいけなくなってしまった。
いつここに戻れるかはわからぬが、お前の忠心に答えてやりたい。
バルガル将軍にはすでに専用機があるが、お前にはまだ専用機が存在しない。
そこでお前用に作った専用機をこのデラヤ・ヴァイデスに置いておく。
いつか地球から戻れた時、お前にこれをプレゼントしよう! お前に相応しい美しい機体を作っておいた、是非喜んでもらいたいものだ。
余は必ず地球を制圧する。その日にはこのプレゼントをお前に渡そうと思う、それまで……待っていてほしい。——
シャールケンの渡せなかった手紙を握りしめてクシャクシャにしたミザーリンは、手紙と一緒に添えられていたパスワードを元にデラヤ・ヴァイデスの奥に隠されていた巨大獣ベミミを見つける。
そしてミザーリンは巨大獣ベミミに乗り、デラヤ・ヴァイデスの動力炉に現れたガッダイン5と戦い、最後には敗れ……——どうせ死ぬならばお前達も地球人も全員道連れだ! 地獄の魔女としてお前達に恐怖を与えながら死んでやる!!——と叫び、デラヤ・ヴァイデスの動力炉に身を投じて大爆発を起こす。
かろうじて崩壊を始めたデラヤ・ヴァイデスを脱出したガッダインチームは砕けながら地球に落下して地球を滅ぼしかねないデラヤ・ヴァイデスの動力炉目指して超電磁クロスフィニッシュを決め、大気圏突入前にデラヤ・ヴァイデスを爆発させた。
それでも地球に落下しそうな破片はマグネコンドルのマグナブラスターで消滅させ、ついに地球圏におけるダバール星人の攻略拠点は完全に姿を消した。——
これが本編の四十一話だ。
この話、金子伊助氏が作画監督をやっていただけに迫力が桁違いで、崩壊するデラヤ・ヴァイデスを描いてもらう為にわざわざ彼に絵コンテと原画を依頼したくらいだそうだ。
また、板垣サーカスと呼ばれるミサイルの軌道や爆発に定評の板垣二郎氏も新人として作画を担当していて、あの一枚張りでスライドしか出なかったデラヤ・ヴァイデスを見事に崩壊させたのでこの話は神回と言われている。
まあこの時間軸ではそんなデラヤ・ヴァイデスの崩壊なんて事は無いだろう。
何故ならそのデラヤ・ヴァイデスを崩壊させるはずのミザーリンは地球人と和解し、彼女の大切な弟のトニーとシャールケン、どちらも生きているからだ。
また、今の時間軸で彼女が好意を持っているのはシャールケンではなくガッダインチームの青木流だと言える。
だから俺達はあのデラヤ・ヴァイデスを破壊する理由も無ければ、戦う事もない。
——だが何かやはり気になる。——
デラヤ・ヴァイデスを防衛する為に本編で出てきた再生巨大獣が姿を見せないのだ……。
何か嫌な予感がする。
俺は何気に旧日本軍の戦艦大和の建造時の事を、思い出していた。
確か、あの大和は架空の駆逐艦3隻、潜水艦2隻の予算で組まれて作られていたはず……。
つまり、存在するはずの巨大獣が姿を見せない、これはまさか!!??




