第四十話 巨大獣ベルゴン 戦いの末に 9
デラヤ・ヴァイデスの中から出てきたのは、アクラデスの乗っていない巨大獣ベルゴンだった。
「何故なのだ!? アレは我以外には見つけられない場所に置いておいたはず、それを何故あのミシマのブキミーダが??」
――三島のブキミーダーーこの言い方わかりやすいな。
「アクラデス様、アレは貴女の物なのですか?」
「そうなのだ、我とダンダルは地球侵略の拠点制圧用の巨大獣をそれぞれ用意しておったのだ。だがまあダンダルのアホは先にそれを地球に持って行ってガッダインにぶっ壊されてしまったのだ!」
そういえば確かにダンダル用の拠点制圧用の巨大獣が見当たらないと思ったら、あの十六話の巨大獣アジャール、本来はそんな立ち位置だったんだな。
「姉者、そんな事言わないでくれよおッ」
「やかましいのだ、お前のアホさ加減は全員が知っておくべきなのだ!」
この二人、仲が良いのか悪いのか……。
コーネリアはダンダルを見てクスクス笑っている。
そんなコーネリアを見たダンダルが何とも恥ずかしそうな顔をしていた。
「今はそんな事を言っている場合ではなさそうだ。バルガルよ、アレは見覚えは無いのか?」
「シャールケン様、吾輩が覚えている限りは、あのような物はまだなかったかと思われます」
「まあそれもそうなのだ、アレは我がデラヤ・ヴァイデスに就任する際にダバール星から持ってきた物なのだ。だから本来は我以外誰も持ち出せないはずなのだ」
まあ、三島のブキミーダは、デラヤ・ヴァイデスのセキュリティロックのマスターを上書きする事でアクラデスの秘密の隠し部屋もロックを解除してしまったのだろう。
「おっちゃん! オレ達がいくぜっ!」
「誰がおっちゃんじゃぞい! まあいい、龍也、ガッダインチームのみんな、出撃じゃぞい!」
そして5台のダインマシンがマグネコンドルから出撃した。
ガッダイン5は分離が可能なのでマグネコンドルにコンパクトに収納が可能だ。
これは玩具のマグネコンドルでもダインマシン収納が可能だったので物理的に不可能ではない。
「「「「「レッツ・ガッダイーィーン!」」」」」
ガッダイン5が合体し、巨大獣ベルゴンと向き合っている。
どうやら巨大獣ベルゴンは人工知能を搭載して動かしているようだ。
本来の四十話の戦いぶりに比べてかなり強い!
「ど、どういう事なのだ? あの性能、我の想定よりもよほど強く感じるのだ」
まあ運動神経の無いアクラデスが自身の動きを最上位にしたところで、常人より少し秀でた程度の操縦技術にしかならないだろう。
だがいま三島のブキミーダが搭載した人工知能は恐らく戦闘のエキスパートの動きをトレースした人工知能が搭載されている。
――こいつはハッキリ言って本編よりよほど強い!――
「んにゃろぉー! チョコマカ動きやがって! くらえっ超電磁プロペラァー!」
巨大獣ベルゴンはガッダイン5の超電磁プロペラを右手のシールドソードで切り払った。
「げっ! なんてヤツだよっ!? こうなったら、マグネティックランサーだ!」
ガッダイン5のマグネティックランサーと巨大獣ベルゴンのシールドソードがぶつかり合って火花を散らした。
「くそっ! ここまで手こずるなんてっ」
「龍也さん、アイツの動きを見てください。なんか綺麗すぎませんか?」
「キレイすぎる? どういう事だよ?」
どうやら竹千代はあの巨大獣の動きの弱点がわかったようだ。
「ガッダインチーム! 我も分かったのだ、アイツは、動きがパターン化していてどんな攻撃が来たらどう返すといった思考ルーチンで動いているのだ。だからアイツを倒すにはバカになれば良いのだ!」
「バカになる!? アクラデスさんよ、どういう事だよ?」
「龍也さん、つまり、相手の思考ルーチンでは計算できない攻撃をしろって事です!
「流石はタケチヨなのだ! 我の言う事をきちんと理解しているのだ!」
どうやらガッダインチームの反撃が始まるようだ。




