第四十話 巨大獣ベルゴン 戦いの末に 8
デラヤ・ヴァイデスに捕らえられた人質は無事奪還した。
だが、その中にはシャールケンの妹のエリーザ様はいなかった。
どうやら三島長官の姿のブキミーダは彼女を手土産にダバール星に戻り、デスカンダル皇帝に差し出そうとしているらしい。
――早くアイツを止めなくては!――
バルガル将軍達のおかげで輸送艇の人質は無事、デラヤ・ヴァイデスから脱出する事が出来た。
また、洗脳電波に操られていた彼等だったが、要塞から離れるにつれ、少しずつ正気を取り戻していった。
まあ少し暴れる者もいたが、それはバルガル将軍や剣崎隊長、トニーにケン坊の姿の三島長官といった歴戦の戦士達によって全員あっという間にノックアウトされていた。
流石は地球とダバール星最強集団というべきか……。
マグネコンドルに着く頃には全員が正気に戻り、無事人質は全員救出できた。
これで本編三十九話の悲劇を免れる事が出来たと言えるだろう……。
まあ本編三十九話は冒頭に巨大獣バルバルが登場した以外は全部再生巨大獣しか出てこなかったので、特筆する事も無さそうだ。
また、アクラデスがここにいるので四十話の巨大獣が出て来る事も無いだろう……。
本編四十話の巨大獣ベルゴンはアクラデスが自らを生体パーツとし、ガッダイン5に己の存在意義をかけて最後に戦った巨大獣だ。
一応説明するとして、ガッダイン5大百科に載っていた巨大獣図鑑によると……。
――巨大獣ベルゴン――
全長57メートル、重量1310トン
アクラデスが密かに作り上げ、デラヤ・ヴァイデスに隠しておいた巨大獣。
自らがクローン人間だという事を知り、更にデスカンダル皇帝の母体にされる事を拒否した彼女が人間の姿を捨て去り、彼女自身を生体パーツとして組み込んだ悲劇の巨大獣。
巨大な弓を左手に持ち、右手に剣を装備した姿。
まあ何と言うか王者エメラインをもっと中性的なデザインにしたようなスタイルの巨大獣だ。
まあ裏話で、エメラインの没案を使ったとも言われているので似ているのも当然か。
没になった理由が、線が細くてマシンダーAやグレートマシンダーに負けそうだという風に言われたからだったな。
己の存在意義を賭け、ガッダイン5に挑んだアクラデスこと巨大獣ベルゴンだったが……やはり本来の戦いのセンスが無く、ハッキリ言って弱かった。
手も足も出せず――いっそ一思いに殺してくれ、我はもう生きている意味は無いのだ……。――と泣くに泣けない声でガッダインチームに訴えかけ、その想いを受け取ったガッダイン5にマグネティックランサーを突き刺されて最後に――アリガトウ、ワレハ……オロカダッタノダ、ツギニウマレカワルナラ……モット、バカニ……ウマレカワリタイ……ノダ。――といって爆発した。
この言葉の意味が分かったのは、ガッダインチームでは竹千代ただ一人だけだった。
竹千代は作り物の悲しい天才に手を合わせて一人、彼女の冥福を祈った。
まあ彼女が本編では混乱の最中のダバール星から再度デラヤ・ヴァイデスに戻ってきてまで戦っていたのにツッコミが入っていたが、五十話の話を四十四話にまとめた弊害がここに出てしまったと考えれば良いだろう。
なお、この時系列の矛盾は、【ロボットシミュレーションゲーム】ではきちんと他作品との折り合いをつける事でデラヤ・ヴァイデスにいながらにしてクローン工場がダバール星ではなくこの要塞に有った事になっていて話の矛盾が解消されていたりする。
また、デラヤ・ヴァイデスを既に破壊しているルートの場合、ダバール星にこの巨大獣ベルゴンを用意している場合も有った。
まあ、どちらにせよ……出てこないなら特にそこまで考える必要も無いか。
――そう思っていた俺だったが!――
「くそっ、キサマら、コレで血祭りにしてやる!」
なんと、三島長官の姿のブキミーダがデラヤ・ヴァイデスから巨大獣ベルゴンを出撃させてきた!




