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第三十九話 巨大獣バルバル バルガル将軍、散る 9

「おっと、待ちんしゃいね」

「かーちゃん、一体何ですと。ひょっとしてキレーダさんを止めるのか?」

「早合点するんじゃ無いよ、誰も止めやせんよ。むしろオラもついていくのはダメかと聞きたかったんじゃ」


 なんと、キレーダさんだけでなく巴さんもこの最終決戦について来ようというのだ。

 まあ、彼女は女三太郎といわれたほどの柔道家なのでそんじょそこらの兵士程度なら相手にもならないから戦力外とは言えないが……。


「代々木博士さん、ダメですか? オラも玄太郎のそばにおりたいんですわ」

「うーむ、まあ人数的には問題ないですか、本当にいいんですか? 下手すればもう戻れないかもしれませんぞい」

「何、可愛い息子と娘がおればワシはそこがどこでも構わんですたい!」

「わかりました、乗船を許可します」


 キレーダさんがマグネコンドルに乗ると、そこにはブリーフィングルームで椅子に座るアクラデスとシャールケンの姿があった。


「キレーダ、あえて何もいうまい。オレも戦線を離脱していた時がある」

「キレーダ、我はお前の意思を否定しないのだ。お前は、お前の選んだ道を進めば良いのだ。よって、この件に関しては一切の処罰はしない、その代わりお前も地球とダバール星の未来のためにしっかりと働くのだ!」


 本編からではとても考えられないような二人の台詞だ。


 本編のシャールケンなら、——恥を知れ! 自害しろ!——と言うだろうし、アクラデスなら、——裏切り者には死の粛清が必要なのだ。一族郎党全てお前のせいで処刑される、お前はその後悔を噛み締めてから処刑されるのだ!——


 と、恐ろしい事を言っていただろう。


 だが今は三島長官の姿のブキミーダ、デスカンダル皇帝という共通の敵がいる。

 地球の全勢力を挙げて今ダバール星に向かい、その敵を倒す。

 その目的の為に今は呉越同舟、ダバール星人と地球人は同じ船に乗っているのだ。


「シャールケン様、アクラデス様……本当に、ありがとうございます」


 キレーダはうっすらと涙を浮かべていた。

 玄太郎はそんな彼女の方にそっと手を差し伸べ、彼女は玄太郎に寄りかかった。


 そんなキレーダを見たシャールケンとアクラデスが微笑んでいる。

 そうか、彼等彼女等にも大切な守るべき存在が出来たのだな。


「さて、準備が済み次第出発するぞい!」

「ヨヨギ博士、すまない、少し寄って欲しいところがある!」


 シャールケンが代々木博士に頼み込んだ。


「わかったぞい、ただしそんなに長い時間はかけれんぞい」

「感謝する」


 シャールケンの頼みを聞き、マグネコンドルが到着したのは南方の島だった。


「オオ、ヨヨギハカセ、よくキた。イいサケある、またノもう」

「長老さんすまんぞい、儂はこの戦いが終わるまで断酒したんじゃぞい」

「ソウカ、ザンネンだ」


 島の長老は酒瓶を残念そうに抱えていた。

 代々木も恨めしそうに酒を見ていたが、グッと我慢して堪えていたようだ。


 まあ、あの酒を見たらそりゃあ飲みたくなるだろうけど、前回やらかしすぎてたからな。

 その酒はダンダルが取り上げて一気に飲んでしまった。


「あ、そ、それは……」

「なんだ、いらないものじゃなかったのかッ? そう思ったから貰ったんだがなッ。お前の物は小生の物、小生の物は小生の物だッ」


 長老はダンダルの迫力に黙るだけだった。

 やはりこの二人の組み合わせ、どう見ても居候ロボのいる作品のガキ大将と嫌味な金持ちの悪友の二人組の声にしか聞こえないな。


 一方のシャールケンは、長老の娘のティティナと翻訳機を介して話をしていた。

 どうやら翻訳の具合でティティナの声はインチキ関西弁みたいになっている。


「アンタ、ウチ……心配や、気をつけて行ってきてや。そんで、いつかここでウチと暮らしてーな。ずっと、帰ってくるの待っとるからな」

「わかった、約束はできないが……努力はする。ティティナ、オレは決して負けない! アイツは必ず倒す!」


 この時間軸で生き残ったシャールケンは人間的に大きく成長できたのかも知れないな。

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