第三十九話 巨大獣バルバル バルガル将軍、散る 7
俺達はマグネコンドルの艦橋に到着した。
そこにはすでに、ガッダインチーム、代々木博士、ケン坊の姿の三島長官、ベルクシュタイン博士、コーネリア、シャールケン、アクラデス、ダンダル、トニー、エリザとスタンリー、地球人とダバール星人の主要メンバーが全員揃っていた。
「おお、まっておったぞい。おや? それは何ですかな?」
「代々木博士、彼は巨大頭脳ブレイン総統の分身ロボットです。彼も俺達に協力してくれると言っています」
流石にこの事にその場にいた全員が驚いた。
まあそれもそうだろう、今まで自分達と敵対していた敵軍団のボスがいきなり仲間になると言っていたのだから。
だがここにいる全員でそれを否定する者はいなかった。
三島長官の姿のブキミーダとデスカンダル皇帝そこが今の俺達の敵だと全員が認識していたからだ。
つまり、呉越同舟というべきだろう。
三島長官の姿のブキミーダは、地球人、ダバール星人、そして地球環境を守ろうとするブレイン軍団の共通の敵だ。
これで俺達には地球上に敵はいなくなった。
まだウルフ博士が残っているかもしれないが、ブレイン総統の監視下でさらに三島長官の姿のブキミーダもいなければ彼だけで何かできるわけがない。
つまりは今回は放っておいても良い相手だと言える。
それよりも、今の俺達がするべき事は、この奇岩島基地から地球人の捕虜を日本の地球防衛軍極東司令部に連れていく事だ。
幸い荒川長官が捕虜の受け入れの手筈を整えてくれているらしい。
マグネコンドルとドグローンを合わせれば4000人弱は乗せる事も可能だ。
本音としてはすぐにデラヤ・ヴァイデスに戻った方が良いのだが、この捕虜の事を蔑ろにするわけにもいかない。
だからあくまでも宇宙に戻るとするなら、この捕虜移送を終わらせてからになるだろう。
まあこの時間軸では巨大獣ギョガゴゴに防衛軍の大型飛行機は何も撃墜されていない。
それなので爆撃機や輸送機を使えば千人弱は輸送可能だ。
まあ今日一日あれば、捕虜の極東司令部輸送は十分可能だろう。
あの方面基地の規模からすれば、数千人から数万人は余裕で受け入れられる。
実際年一度かの航空祭には数万人以上が見物に集まっても余裕で運用できるくらいだ。
俺達は分担して捕虜を輸送し、1日でほぼ三往復ほどで奇岩島基地からほとんどの捕虜を輸送した。
中にはこの南方の基地が気に入ってここに残るという人もいたが、そういう人達は彼らの意思を尊重する事にした。
まあ、日本に行っても居場所が無いならまだ住み慣れたここの方が暖かくて環境が良いという人もいるのだろう。
ダバール星人の兵士達にも長い間地球人と接してして、情の湧いた人達もいるようだ。
そんな彼らは反対に地球人の捕虜と一緒に極東司令部に行くという者もいた。
現在の奇岩島基地の司令官であるアクラデス執政官、ダンダル軍務卿、そして元司令官であるシャールケンも全員がそれを認めていた。
——そうか、今の彼等彼女等は、全員何かしらの形で地球人に愛着があるんだな。だから一般兵士が地球人と一緒になると言っても全員許可を出すくらいの理解度になっているわけか。——
シャールケンは南方の島の少女ティティナ。
アクラデスは妹みたいな存在になった千草。
ダンダルはコーネリア。
前の時間軸ではティティナ以外は全部お互いを理解し合う接点を持つことも無い相手だった。
しかし今は地球人とダバール星人の間には深い絆が結ばれている。
この時間軸でならあの三島長官のブキミーダとデスカンダル皇帝さえ倒せれば、お互いが理解し合って平和な関係を築く事もできるだろう。
その為には1日も早くダバール星に向かい、デスカンダル皇帝を倒し、暴走する人工太陽からダバール星人を助けなくてはいけないのだ!




