第三十九話 巨大獣バルバル バルガル将軍、散る 3
――やられたっ!――
三島長官の姿のブキミーダはオレの部屋に置いていた大型コンピューターやテレビ等をメチャクチャに破壊していた。
そして肝心のハードディスクは持ち去られたようだ。
あの野郎、俺のコンピューターデータ根こそぎ持って行きやがった!!
かろうじて生きているのは電源と一部プログラムだけだ。
だがそれもモニターが死んでいるので、他の部屋にあったテレビをどうにかつなぎ直してモニター代わりにして使ってかろうじて動いている。
マーヤちゃんはテレビが壊れてしまった事で大泣きしていて、エリザとスタンリーがどうにか撮り貯めしておいたビデオを見てようやく機嫌が直ったようだ。
しかしアイツ……まさか俺のパソコンのデータ全部持って行くとは、コレで今までの巨大獣のデータが全部持っていかれてしまったわけだ。
――って! 全部持っていかれたって事は、あのラゲンツォ(仮)のデータまで!
最悪の結果だ!
あんな物アイツに使われたら、マジで最低最悪の巨大獣にされかねない……!
頭を悩ませていた俺の元に、何者かの通信が半壊したコンピューターに届いた。
――やあ、御機嫌よう。ブキミーダ君。とんだ災難だったようだね。――
この声、間違いない! この声は巨大頭脳ブレイン総統だ!
「マスター・ブレイン、貴方なのですね」
――そうだ、わたしだ。安心したまえ。今のわたしは君達と争う気は無い。――
それなら良いんだが、今はブレイン総統の相手をしている場合では無い。
俺のコンピューターデータを根こそぎ三島長官の姿のブキミーダに奪われた上、元のデータは破壊され尽くしているのだ……。
「ブキミーダ君、今君が何を考えているか当ててみようか?」
いや、今俺はブレイン総統とクイズ合戦をしている場合では無い。
「いや、そんな場合では無いんだが……」
――いや、確実に君の気に入る話なんだがな。君のコンピューターの中身、見せてもらったよ。非常に興味深い内容だった。特に……あのラゲンツォというロボット。アレならアインゼプトにも勝てるだろう。――
ウボァーッ!!
やはり見られてしまっていた、ブキミーダだけでなく、ブレイン総統にもあの俺の黒歴史が見られてしまうなんて……。
――どうしたんだい? 何だか不服そうだが、あんな素晴らしいロボットの設計図、ウルフ君やミシマにはとても無理だろうね。アレはどう見ても時代の数十年先を行っているデザインだ。――
流石は世界最高峰の超高性能大型コンピューターというべきか……。
――そうそう、話がずれてしまったが、本題に入ろう。君のコンピューターのデータ、全部ミシマに奪われた上、完全破壊されてしまったのだろう? それで君は途方に暮れていたわけだ。――
ハイハイその通りですよ。
そんな風に傷口に塩を塗り込むつもりなのかコイツは?
――そこでだ、わたしが君達への友好の印に最高のプレゼントを用意しようと思っているのだが、受け取っては貰えるかな?――
最高のプレゼント? 一体何の事だ?
「マスター・ブレイン。最高のプレゼントとは一体?」
――おや、この話の流れで読めなかったのかな、それは失礼。君のコンピューターのデータは全てわたしのメインシステムにバックアップが残っているとしたら……どうするかね?――
最高のプレゼントってそれの事か!
「そ、それはありがたいんだが、一体何故俺にそこまでしてくれるのですか?」
――純粋に君に興味があるのだよ、そして君達は地球環境を破壊しようという目的が無い。つまりわたしの敵になる要素が無いという事だよ。――
「そ、そう言ってもらえるとありがたいのだが、何か裏があるような気がして……」
――おや、君はただのお人好しではなさそうだな。そうだな、裏は無いがわたしは是非とも知りたい事が有るのだ。――
「知りたい事?」
――率直に聞こう、君は……本当は一体誰なのかな?――




