第三十九話 巨大獣バルバル バルガル将軍、散る 1
奇岩島基地の洗脳電波発生装置を鉄巨人イチナナ達が破壊してくれたので、俺達はようやく大型宇宙船マグネコンドルと機動要塞ドグローンで奇岩島基地に上陸する事が出来た。
どうやらバルガル将軍達は自分達が洗脳されていた事に気がついていなかったらしい。
トニーとタイタン部隊は途中までは覚えていたらしいが、やはり洗脳された後は記憶に無かったようだ。
他の地球人の捕虜やダバール星人の兵士達も全員操られ、記憶が無かったらしい。
話を聞くと、唯一の例外は戦士ボボンガだったようだ。
彼は一人牢屋に閉じ込められていた。
どうやら何かイレギュラーがあったようで、彼だけは洗脳電波を受け付けなかったらしい。
そして様子がおかしい事を通報され、数十人の兵士達を相手に立ち回り最後には麻酔弾で眠らされて牢に閉じ込められたようだ。
「おお、ボボンガ、無事だったか!」
「バルガルサマ、ヨカッタ、モトニモドッタ」
俺達は奇岩島基地の様子を確認した。
すると、ここには作りかけの何本もの破滅ミサイル水爆砲と、俺達の破壊した洗脳電波発生装置が見つかった。
どうやら三島長官の姿のブキミーダは、この奇岩島基地を拠点に地球を掌握しようとしていたようだ。
だが、鉄巨人イチハチがその洗脳電波発生装置を破壊した事で洗脳が解け、アイツの目論見は外れたわけだ。
しかしアイツは原作と同じように荷物をまとめてさっさと宇宙船に乗り込み、人質を連れて地球を脱出してしまった。
幸い北原みどり博士は定員オーバーだったのか人質には入っていなかったが、エリーザ様は連れて行かれたようだ。
アイツはデスカンダル皇帝の所に千草を連れて行けなかった代わりにエリーザ様を差し出して自己保身を狙っているのだろう。
おそらくアイツは、今頃デラヤ・ヴァイデスに向かっているはずだ。
これは先手を取られてしまったかもしれない。
アイツはデラヤヴァイデスに戻り、宇宙船で一足早くダバール星に戻り、エリーザ様を差し出そうとするだろう。
――そんな事を許したらせっかくガッダインチームの仲間になってくれたシャールケンが大激怒する。
ここはすぐにでもここを発進して三島長官の姿のブキミーダを追いかけなくては!
だが、この奇岩島……地球人の捕虜達がまだかなり残っていて、彼等の行き先を確保しなくては俺達は彼等彼女等を全員ダバール星に連れて行くわけにもいかない。
困った困った困った、さて……どうやってこの捕虜達を奇岩島から脱出させるか……。
俺は仕方なく代々木博士に相談してみた。
「うーむ、そうじゃのう。これだけの人数を受け入れる準備が地球側に出来ているかどうかが問題じゃぞい。これだけの人数がまだ残っているとすると、食料の確保等も必要になるからのう」
そうなんだよな、俺達にはそういった政治力的な物は正直欠けている。
ダバール星人側も実力主義で捕虜はあくまでも軍人として使えるかどうかが基準だ。
こんな何の役にも立たないといっては失礼だが、一般人の人質を引き受ける度量が防衛軍にあるとはとても思えないが……。
「そうじゃのう、ダメ元で荒川長官に連絡してみるかのう……」
代々木博士は防衛軍の荒川長官に連絡を取ってくれた。
「あー、わっしが荒川ですがー」
「荒川長官、頼みがあるんじゃぞい。奇岩島基地をダバール星人とあの裏切者の三島元長官から取り戻したのじゃが、今捕虜が大勢いて困っておるのじゃぞい……もし良ければなんじゃが、この捕虜を防衛軍で引き受けてもはもらえんですか……」
「うー、捕虜の一般人の人達ねー。わかりました」
「え!? 荒川長官! 今何といいましたか!」
――信じられない、荒川長官は断る事も無く、すぐに捕虜を引き受けると即答したのだ。
「あー、だから捕虜にされていた地球人全員引き受けると言いましたがー。何かまだ足りない事が有りますかー?」
間違いない、荒川長官は捕虜の地球人を受け入れると確実に言っていたのだ!




