第三十八話 巨大獣ギョガゴゴ 崩れ行く奇岩島 11
どれくらいの範囲まであの洗脳電波発生装置が影響しているのかまでは分からないが、奇岩島全域は完全に三島長官の姿のブキミーダに掌握されてしまっている。
あのバルガル将軍も洗脳済みという事は、下手にあの島に入れば巨大獣バルバルとガチで戦う事になる。
この状況下でそれは未曽有の被害を出すのとほぼ同じだ。
何故なら洗脳された連中は命を惜しむことなく捨て石として自爆するだろうし、巻き添えになったとしても怯える事もなくその場所から動かない。
アイツ、まったく厄介な事をしてくれたもんだ。
それに今下手に俺達やガッダインチームが島に入ろうとしたとしても、あの電波の影響でガッダイン5やマグネコンドルが俺達の敵になったらもう一貫の終わりだ。
そうなるとガッダイン5もエルベΩ1もマグネコンドルも機動要塞ドグローンも巨大獣ジャガジャガもどれも手が出せない……。
だからと言ってもしあの奇岩島基地が完全に三島長官の姿のブキミーダの手に落ちたら今度こそその洗脳電波のアンテナを拡張されて世界全部がアイツのモノにされてしまう……。
――マジでどうすればいいんだ! このピンチを救えるのは、人間のように洗脳電波を喰らわない存在が必要だ!――
機獣戦隊ダイブマンでもトロンP6は女性型サポートアンドロイドだったので、主人公のダイブマン達が大教授ディアスの手下に成り下がっても、一人だけでスーパーダイブロボで戦った。
つまり、あの電波の中でも動く事の出来る、それでいて人間ではない者で、あの巨大獣バルバルに倒されないだけの強さの存在……それが必要だ。
だがそんな都合のいい奴が……いた!!
鉄巨人イチナナ! 彼なら奇岩島基地の洗脳アンテナを破壊し、みんなを助け出す事が出来る!
だが、その鉄巨人イチナナは今どこにいるのだろうか……。
方法が分かっても呼ぶ事が出来なければ、何の意味も無い。
しかし……奇跡は起きた!
いや、偶然が重なったのだ!
「ご主人様、遠くから飛んでくる何かが見えますよー」
「何だって!? 敵じゃないのか!」
「えーと、識別番号的には……わかりません」
わからなくてもいい、あのシルエット……アレは間違いなく番組後半スタイルの戦闘飛行イチナナだ!
隣には同じく翼を広げた鉄巨人イチハチの姿も見える!
だが、なぜ彼等がここに?
「こちら、マグネコンドル、こちら、マグネコンドル……鉄巨人イチナナ、応答せよ!」
「ラージャー、イチナナ、トンデキタ」
どうやら鉄巨人イチナナは飛行モードでここまで来たようだ。
「鉄巨人イチナナ、どうしてここが分かったんだ?」
「オオキナバクハツ、ハンノウアッタ。イチナナ、ソノチイキカクニンスルタメ、オトウトイチハチト、イッショニトンデキタ……」
そうか、俺達が破滅ミサイル水爆砲で海底にあったリヒテンシュタイン基地を破壊したので、そのエネルギー波を感知した鉄巨人イチナナが空を飛んで確認しに来たわけか!
「兄サン、飛行スルエネルギー反応ハ、コノ飛行機ダッタヨウダネ」
「ソウダゾ、イチハチ。カレラハワレワレノテキデハナイ」
どうやら鉄巨人イチナナとアインアハトは戦いの中でお互いを理解し、和解できたようだ。
「兄サン、今ハボク達ガ戦ッテイル場合ジャナイ。地球ヲ奪オウトスル三島、アレガボク達ノ敵ナンダネ!」
アインアハトは今はブレイン軍団と地球人が争っている場合ではないと判断し、一時的に鉄巨人イチハチとして協力したようだ。
だがこれで奇岩島を取り返せる!
鉄巨人イチナナ、鉄巨人イチハチならあの洗脳電波発生装置を無視して行動が可能だ!
だが問題はその中にいるフジ子とサブロウだな、一度彼女達と話をした方が良さそうだ。
俺は鉄巨人イチナナの中のフジ子・ヘミングウェイに通信を試みた。




