第三十八話 巨大獣ギョガゴゴ 崩れ行く奇岩島 6
タイタン部隊は本来凄腕の潜伏に特化した特殊部隊だ。
彼等なら奇岩島基地に戻り、俺達に状況を説明してもらう事も可能だろう。
まあ、この宴に参加できないのは可哀そうだが、今は仕方ない。
「おっと、こんなとこにおられましたか、もう始まっとりますぞい」
どうやら長老が中心になって宴は開催されたらしい。
俺はタイタン部隊とトニーを呼び、潜入任務を依頼する事にした。
「おや、ブキミーダ様、オレ達に何か用でしょうか?」
「トニー、すまないが頼みがあるんだが聞いてもらえるか?」
「勿論です。貴方はオレ達の命の恩人ですから」
まあこの立場をこう利用するのはあまり個人的には好きではないが仕方ない。
「すまない、今この島では全員がお祭り状態だ。だが、あの三島長官は逃げ出し、奇岩島の方に飛んでいったようだ。そこでお前達タイタン部隊は一足先に奇岩島に戻り、どのようになっているのかを伝えてほしい」
「了解です、タイタン部隊、ブキミーダ様の命令に従います!」
俺はトニーに小型のタブレットを手渡した。
「これは? 一体……何ですか?」
「これは俺の作った通信機兼録音機能付きのカメラだ。使い方はここを押せば録画可能、これで通信が出来る」
「これは……凄い!! これならすぐにでも情報を伝える事が出来ます、流石はブキミーダ様!」
い、いや……それ、二十一世紀では普通に一般人も持っている物なんだけどね。
まあトニーが素直に俺を凄いと思っているみたいなのでその流れにしておこう。
「ま、まあな。コレで連絡は可能だろう」
「了解です! それではオレ達はすぐに奇岩島に向かいます」
「まあ待ってくれ、せめて何か食い物くらい食べてから行ってくれ、折角島民が用意してくれたんだ」
トニー達が食事をしている間に俺は彼等が島に行く為の巨大獣バゲゲゾを調整しておこう。
とりあえず夜の海からならあの三島長官の姿のブキミーダに気付かれる事も無く奇岩島に戻る事も出来るだろう。
奇岩島か……。
そういえば本来のガッダイン5の三十八話はこんな話だったな。
――住民が全員死亡した南方の島を発進したマグネコンドルは、ダバール星人の地球侵略拠点である奇岩島を目指した。
シャールケン亡き後、この奇岩島を指揮していたのはアクラデス執政官とダンダル軍務卿だった。
敗色濃厚と見たブキミーダはさっさと荷物をまとめ、奇岩島基地から一足早く大型宇宙船でデラヤ・ヴァイデスに帰還、バルガル将軍とミザーリンはアクラデスとダンダルの命令に従い、マグネコンドルを迎え撃つ為に奇岩島基地の全勢力を集結させた。
激しい攻防戦の末、バルガル将軍は巨大獣バルバルで出撃、ミザーリンは基地の中で地球人の捕虜を一か所に集めていた。
ミザーリンが地球人の捕虜を一か所に集めた理由は、地球人に捕虜を取り返させない為にデラヤ・ヴァイデスに連れて行く目的だった。
だが、その大型宇宙船は一足先にブキミーダに使われてしまい、彼女等は地球に取り残される事になってしまった。
もう退く事すらできなくなった彼女等は奇岩島基地でマグネコンドルを迎え撃つ事になる。
地球人を人質にガッダイン5と戦うバルガル将軍とミザーリン、そしてアクラデスとダンダルは地球の中で奇岩島基地以外の別基地に一旦退避する事になる。
敗軍の将になったバルガル将軍は巨大獣バルバルで、ミザーリンは巨大獣ギョガゴゴに乗り、ガッダイン5と戦う事になる。
巨大獣ギョガゴゴに乗ったミザーリンはアクラデスの命令で地球人の人質を新たな基地に移送する事になり、殿はバルガル将軍が引き受ける事になった。
地球人の人質を輸送機に移送し終えたミザーリンは輸送機を操縦する為に巨大獣ギョガゴゴから降り、自動操縦に切り替える。
そして巨大獣ギョガゴゴは自爆装置で奇岩島基地を破壊し、マグネコンドルを道ずれにしようとした。




