第三十八話 巨大獣ギョガゴゴ 崩れ行く奇岩島 1
龍也とシャールケンの二人は、医務室送りになり、二人そろって治療される事になった。
まあ、命に別状は無さそうなので、二人共じっくり反省してもらいたいものだ。
俺達はダバール星人とマグネコンドルクルーのどちらもが協力する事で、この南方の島の現地人を全員助け出した。
「ワシ、チョウロウ。スコしニポンゴわかる。あなたがた、ワシら、タスけてくれた。レイをイう」
どうやら島の長老は第二次世界大戦時の旧日本軍に日本語を教えてもらったらしい。
彼はたどたどしい日本語で代々木博士と俺達にお礼を言った。
「これはぼくの発明品を使ったら良さそうな感じだ」
「ベルクシュタイン博士、それは一体?」
ベルクシュタイン博士の用意した物は、何やら一種のボイスレコーダーのように見えた。
「これは録音が可能な翻訳機。これさえあれば人間相手なら大体の言語を翻訳可能だ」
流石は昔のロボアニメ、ご都合主義の塊と言えるようなこの翻訳機があれば現地人とも会話が出来る。
まあ、何故か俺達が日本語で会話が出来ているのは……この世界の不思議としておこう。
別に俺達は翻訳の必要なゼクトラン語を話しているわけでは無いのだから……。
長老の娘ティティナが心配そうな顔で医療室のシャールケンを見守っていた。
彼女はベルクシュタインの翻訳機で意識を失っている彼に必死で話しかけているようだ。
「貴方、ウチの恩人、お願い、元気なってな」
……精度がどこまでかはわからんが、ティティナの言葉はインチキ関西弁みたく翻訳されているようだ……。
彼女はシャールケンが起きるまで、ずっと看病をし続けている。
その様子をミザーリンは温かい目で見守っていた。
どうやら、彼女にとってシャールケンは憧れのアイドルや王子から一歩離れた存在になったのだろうか……。
「ご主人様ー、よかったですー、誰も死なずに済みました」
「そうだね、マーヤちゃん」
マーヤが目をウルウルさせながらティティナを見ているようだ。
マーヤちゃん、彼女ひょっとして最近俺に感化されてきている?
どう見ても本来のつり目のキリっとした彼女の表情が、最近は面白顔の百面相の方がよく見る表情になっている。
周囲の態度もマーヤちゃんがそんな天ボケキャラだって認識に変わっているくらいだし、最近はもうフロートタイプより、しっかり足の有る彼女の方が板についている。
さて、それはさておき……あの三島長官の姿のブキミーダがメチャクチャにしたこの島をどうにか復旧させてあげないと。
俺達は巨大獣を使い、島のあちこちに捕らえられていた住民達を助け出した。
その後、アイツに強引に作らされていた建設途中の秘密基地は地元住民の大嵐の際の避難所にされる事になり、普段はここを捕れた魚の加工工場として住民達に新たな仕事場を提供する事になった。
まあこれだけ大型の建造物なら嵐や津波からも十分身を守れるだろう。
今実際に本編で襲って来た大嵐が近づこうとしている。
「代々木博士、この島に大嵐が近づこうとしています、住民たちの避難をお願いします!」
「何、ブキミーダさん、それは本当か。うーむ、わかった、すぐに避難指示をするぞい」
大嵐が来る事を伝えた俺達は、マグネコンドル、機動要塞ドグローン、そして建設途中だった大型基地に島民たちを全員分散させて避難させた。
時期的に本編ではシャールケンがグレートシャールケンの残ったエネルギーでグレートファイヤーヘアーの熱を使い、津波を蒸発させていた頃だ。
大嵐と津波は島全体を襲ったが、マグネコンドルやドグローン、大型基地に避難した島民達は誰一人として犠牲者を出す事も無く、また食料も全部移動させたので食料不足に陥る二次被害も避ける事が出来た。
「貴方がたはワシらの命の恩人です、是非ともワシらの島で宴に参加してください」
翻訳機を使い聞いた会話で、島の長老が俺達ダバール星人とマグネコンドルのクルー全員に宴を催してくれる事が伝えられた。




