第三十七話 巨大獣ゾーゲン シャールケン最後の戦い 9
巨大獣ゾーゲンが砕け散り、残ったのはグレートシャールケンだけになった。
「くそっ! また邪魔者か! 忌々しい奴らめ!」
「ブキミーダ、キサマの思い通りにはさせんぞ!」
シャールケンは何か彼の持っていた物をコクピットの穴の開いた場所にはめ込んでいた。
「!?……グォオオ……」
グレートシャールケンの動きが止まった。
一体どうしたというのだろうか?
「何だ! 一体どうなっている!?」
「フハハハハ、このグレートシャールケン、生きて虜囚の辱めを受けぬ為、オレだけが知っている自害の為の装置が仕込まれているのだ! ブキミーダ、キサマに好きにされるくらいならオレは誇りある死を選ぶ!」
なんと、シャールケンはグレートシャールケンを自爆させようとしている。
この自爆装置、本編で最後にガッダイン5と戦い……敗れた際に彼が使った物だ。
この爆発で吹き飛ばされたシャールケンソードが誰もいなくなった島に突き刺さり、多くの者達の墓標となった。
だが、今は彼を自爆させるわけにはいかない!
何が何でもシャールケンを止めなくては!
「ガッダインチーム! 頼む、シャールケンを助けてやってくれ。彼は今自爆装置を押してしまった!」
「何だって!」
「俺はデビル回路を無効化するエンゼルの笛のメロディーを用意する、それまで時間を稼いでくれ!」
「わかったぜ、任せな!」
これでグレートシャールケンを助ける事が出来る。
まずは、エンゼルの笛の音でデビル回路を無効化し、中からガッダイン5がシャールケンを助け出す。
その後に超電磁ブリザードで自爆装置を冷凍してしまえばあの自爆装置は止められる。
グレートシャールケンとガッダイン5の戦いは激化していた。
今だ、エンゼルの笛の音、このリズムを……!
「この歌、何かしら?」
「コーネリア、無理をするな。今は戻って来たばかりだろう」
「いいえ、お父様、今こそわたしの力が必要なんです。わたしの事を助けてくれた人達の為に、この力……尽きるまで私は戦います!」
エルベΩ1が再びマグネコンドルから出撃した。
コーネリアはもうフラフラだ、だがそれでも彼女は俺のエンゼルの笛の音を更に大きな音で響かせた。
「な、何だこの不快なメロディーは!?」
三島長官の姿のブキミーダが耳を抑えている。
どうやらアイツにはこの曲は生理的に受け付けないらしいな。
「な、何だこの曲は……? な、何だと、グレートシャールケンの動きが止まったというのか!?」
どうやら作戦は成功のようだ。
グレートシャールケンのデビル回路はエンゼルの笛の音で焼き切れてしまったようで、身動きの取れるようになったシャールケンはグレートシャールケンを操縦した。
「今だ、ガッダイン5! 超電磁ブリザードでグレートシャールケンを氷漬けにしてくれ!」
「わ、わかったぜ。超電磁……ブリザァアアード!」
ガッダイン5の左手から放たれた超電磁ブリザードがグレートシャールケンに放たれた。
「コーネリアさん、セイレーンストリームであのブリザードを倍加させてくれ!」
「わかりました……わ、セイレーン……ストリィイムッ!」
エルベΩ1のセイレーンストリームがガッダイン5の超電磁ブリザードの威力を跳ね上げ、自爆装置ごとグレートシャールケンを氷漬けにしてしまった。
「シャールケン様、今助けます!」
巨大獣ジャガジャガが凍り付いたグレートシャールケンのコクピット部分に熱を加えて入口を砕き、中からシャールケンを助け出した。
「こちらエリザ、シャールケン様を助け出しました!」
「わかった、エリザ。よくやってくれた!」
助かった、これでシャールケンを自爆から助け出す事が出来た。
シャールケンを助け出した直後、解凍された自爆装置がグレートシャールケンを破壊したのはほんの一瞬の差だった……。




