第三十七話 巨大獣ゾーゲン シャールケン最後の戦い 5
――まあ実際エリザとスタンリーの命を助けたのは俺だからな。
だから彼女達はその俺の気持ちを酌み取って人助けの為に出撃しようとしてくれている。
「巨大獣ジャガジャガ! 出るわ!」
巨大獣ジャガジャガが空中を回転しながら島に向かって機動要塞ドグローンから飛び降りた。
また、トニーは残っていた巨大獣バゲゲゾに乗り、海から救出作戦を手伝ってくれるようだ。
まあミザーリンよりは彼の方がロボット操縦技術は上だ。
アクラデスとダンダルは島の様子を確認する作業を一緒に手伝ってくれている。
ここでコーネリアのエルベΩ1があれば空戦特化の機体なので有利に進むが、彼女達は今ガッダインチームとマグネコンドルでこちらに向かっている。
マグネコンドルの到着まではもう少しかかりそうだ……。
だから今はここに居るダバール星人達であの島の住人を助けないといけない。
巨大獣ジャガジャガは回転しながら島に到着、辺りのブレインロイドを吹き飛ばした。
「ΨΣΨΔ!?」
ブレインロイドが驚いている。
まあいきなり上から巨大ロボが降ってきたわけだ。
「行くわよ、スタンリー」
「エリザ、キミこそ締め切り前の缶詰めで腕は鈍ってないだろうな?」
「大丈夫よ!」
エリザとスタンリーの二人は抜群のコンビネーションで三島の姿のブキミーダが作らせていた基地を破壊し始めた。
「アナタ達、ここは危険よ! 早く逃げなさい!」
巨大獣ジャガジャガの前に等身大のブレインロイドは全く歯が立たなかった。
踏み潰され壊されるモノ、牙で噛み砕かれるモノ、そして爪で引き裂かれるモノ……。
ブレインロイドは次々と鉄クズのスクラップになっていった。
「な、何故だ!? 何故巨大獣がこの島に……! まさか、海底基地を潰したのもあのワシの姿をしたヤツなのか!?」
三島長官の姿のブキミーダが狼狽えている。
どうやらここには誰も来るわけが無いと思っていたのだろう。
どうせアイツの事だ、この島を自分の軍事拠点にして住民を圧制で虐げてブレインロイドを使い住民達にロボットを作らせてここから奇岩島やマグネコンドルと戦おうとしたのだろう。
だがその目論見は原作の展開を知る俺が許さん!
「な、何だ……一体どうなっているのだ? 何故アイツらがオレ達を助けようと……? オレがここにいる事なんて、誰も知らないはずなのに……」
シャールケンはワケが分からないようだ。
まあそれもそうだろう、水没して流された先の島で原住民に助けられた上、その島に攻め込んできた三島長官の姿のアイツ、そして今度はその島を助ける為にダバール星人が現れたわけだから……。
だがこの台詞、俺は聞き覚えがある。
何故ならこの台詞、【ロボットシミュレーションゲーム】でのシャールケンを説得できるマップの中での彼の台詞だったからだ。
この後の展開まで全く同じだとは思わないが、これでガッダインチームがシャールケンを説得する事が可能になるだろう。
そう思っていた俺だったが、三島長官の姿のブキミーダは想定外の行動に出てきた。
なんと、彼はブレインロイドに命じ、ティティナを攫わせたのだ。
「シャールケン、キサマに命令する。この娘の命が惜しければグレートシャールケンに乗って戦え。そうすればこの娘の命は助けてやろう」
「な、何だと!? キサマ、この卑怯者め!」
「おやおや、ダバール星人のエリートであるシャールケン様がどうしてこんな土人の娘一人の事を気にするのかな? ケカカカカカカッ!」
シャールケンは何もできず、その場に立ち尽くしていた。
「そうそう、キサマに良いものを見せてやろう、さあ見るがいい。この島の住民が虐殺される様をな!」
巨大獣ゾーゲンが動きだし、その巨大な両腕の剣を振るいあげた。
「さあ! 楽しい虐殺ショーの始まりだっ!!」




