第三十七話 巨大獣ゾーゲン シャールケン最後の戦い 4
俺が鳥型ドローンで見た光景は衝撃的なものだった!
なんと、あのシャールケンがブレインロイドに働かされていたのだ。
「ブレッ! ブレッ! ブレッ!!」
何ということだ、南方の島はブレイン軍団に支配されてしまったのか!?
いや、どうも様子が違う。
あれはどうもブレインロイドを使って何かをやらせているようだ。
島の人間達全員を使い、ブレインロイドは何かの作業をやらせていた。
どうやら何か巨大な物を作らせているようだ。
シャールケンも足枷をされ、その一人として働かされている。
どうやらこの島全体を見ると、ブレインロイド達はここに巨大基地を建設させようとしているようだ。
――まさか!? ここの島を乗っ取ったのはアイツか?――
確かにアイツならこの場所の事を知っているし、ブレインロイドを使える……。
しかしまさか、こんな手段に出てくるとは。
三島長官の姿をしたブキミーダ、アイツはこの島の場所の事も知っているし、リヒテンシュタインの海底基地を失い、新たな基地を必要としている。
その上ブレインロイドを作る事、運用する事が出来、それに命令を与えるプログラムも仕込む事が出来る。
まさか、アイツがこんなに早く動き出すとは。
俺達は機動要塞ドグローンで南方の島を目指した。
鳥型ドローンでは、ティティナとシャールケンの会話が拾えた。
「すまない、オレのせいでこんな事になるとは……」
だがティティナは寂しそうに小さな笑みを見せた。
言葉が通じなくても気持ちは伝わる、そう言っているようだ。
どうやら基地を作らせている三島長官の姿のブキミーダは、巨大獣ゾーゲンをここで建造するようだ。
さて、ガッダイン5大百科の巨大獣図鑑によると……。
――巨大獣ゾーゲン――
全長60メートル、重量1580トン
両手に巨大な剣を取り付けた巨大獣で近接戦闘に特化している。
南方の島に出現し、住民を手当たり次第に虐殺し、嵐で残った建物も破壊し尽くした。
激怒したシャールケンがグレートシャールケンで出撃し、グレートファイヤーヘアーで燃やし尽くされた後、首をはねられ、全身を滅多切りにされて爆発した。
デザイン的には王者エメラインの復活獣バズゴゴンの焼き直しのようなデザインで、両手の剣が特徴的。
遠距離攻撃の手段は持たず、近接攻撃しか出来なかった。
――まあ、何というか……人を殺す為の機械、といった存在だろうか。
それ以外に特化した能力も無く、強さ的にはグレートシャールケンの足元にも及ばない。
実際【ロボットシミュレーションゲーム】で出てきた際にはバズゴゴンといい勝負の射程1でまさにサンドバックといえる。
だがコイツが島に入った時点で条件フラグが消滅する為、海中Aの機体で戦わないと無駄に装甲が高い状態になり、また……ターン制限が過ぎると今度は津波で島が消滅する。
だから倒すのがかなり厄介な敵になっていてゲームバランス的にはかなりの高難易度になっていた。
急いで島に到着しないと、あの巨大獣ゾーゲンが完成してしまえばアイツは島民虐殺を開始する!
「あ、あの……ミシマさま。あのロボット、ツクったらホントにワシら、カイホウしてモラえるんですか?」
たどたどしい日本語で長老が三島長官の姿のブキミーダに質問していた。
長老が日本語を話せるという事は、どうやらこの島は第二次世界大戦の頃に旧日本軍が訪れたのかもしれないな。
「くどい、キサマらはワシの言う通りに動けばいいのだ! 完成したら解放してやるといっておるだろうが!」
アイツが約束を守るわけが無い。
どうせ巨大獣ゾーゲンが完成したら、住民達を解放と称して虐殺を開始するだけだ。
もう少しで島に到着する、それまでどうにか持ちこたえてくれ!!
「ブキミーダ様、アタシとスタンリーが先に出るわ!」
「エリザさん、良いんですか?」
「ええ、アタシ達はブキミーダ様に命を助けてもらいました、その分人助けをしないと! これがまさに、ナサケハヒトノタメナラズ、です!」




