第三十七話 巨大獣ゾーゲン シャールケン最後の戦い 3
本来の三十七話は神回だったが救いのない話でもあった。
だから【ロボットシミュレーションゲーム】での――シャールケン最後の戦い――のマップでは南方の島に巨大獣ゾーゲンが出現したと同時に足の速い飛行可能ユニットを飛ばしてワンターンキルで倒す必要があった。
ここで巨大獣ゾーゲンを倒す事でようやく劇ムズフラグのシャールケンの説得が可能になるわけだ。
つまり、ここまでにシャールケン説得に必須な条件が――北原みどりの生存、ケン坊の生存、エリーザの生存、女戦士エリザの生存(エリーザとは同名の別人)、そして……南方の島に巨大獣ゾーゲンを立ち入らせない事。――
ここまでやってようやくグレートシャールケンが仲間になるわけだ。
グレートシャールケンを仲間にすると、巨大獣バルバルと巨大獣ベミミも仲間に出来る。
つまり、シャールケン生存による説得は、バルガル将軍とミザーリンの生存にもつながるわけだ。
この際に全て邪魔になるのが原作のブキミーダと機動要塞ドグローンである。
生存条件の全部はその登場マップに出てくる機動要塞ドグローンの撃沈も含まれているので、後半になればなるほどすぐにHPが減って撤退するので難度が高くなってしまう。
だが、あくまでもそれはゲームの話であり、今現在の俺の状況は、三島長官の姿のブキミーダ以外の全ての勢力と友好関係にある。
巨大頭脳ブレイン総統も俺と敵対するつもりは今のところ無さそうだ。
そしてシャールケン生存フラグとも説得フラグとも言えるモノは大半が揃っている。
後は、あの南方の島での住民虐殺を阻止できれば……。
!! それが残っていた!
あの三島長官の姿のブキミーダ、間違いなくリヒテンシュタインの海底基地が壊滅していると知ったら近くにある島に上陸して蹂躙しかねない!
「代々木博士、俺は急いで向かわなければいけない場所があるので、先に一旦戻ります!」
「お、おい。ブキミーダさん、一体どこに行かれるのですぞい!?」
俺は戦士エリザとスタンリーに来てもらうようにお願いし、マーヤちゃんとアクラデス、ダンダルを乗せて機動要塞ドグローンで奇岩島の方に向かうことにした。
エリザとスタンリーはどうにか締め切りギリギリの印刷所に原稿を送った後に合流できた。
もし三島の姿のブキミーダがあの島を見つけてしまえば、間違いなく原作を再現するような悲惨な結末が待っている。
それに今回のグレートシャールケンは補給も出来ていない可能性が高い!
そう考えるとこんなとこで油を売ってる場合では無い。
俺はダバール星人の仲間と巨大獣を乗せ、機動要塞ドグローンで南方のドラゴンズトライアングルを目指した。
確かあの話では一週間でブキミーダが現れた。
だが、今は海底基地に戻ろうとして壊滅していたとしたら、もう既にアイツの手に島が落ちているかも知れない!!
俺は大型の鳥型ドローンを飛ばし、あの南方の島を探す事にした。
頼むからみんな無事でいてくれよ……。
「ブキミーダさん、何やら困った事になってるみたいですな、儂等も準備が終わり次第すぐに駆け付けますぞい」
「代々木博士、ありがとうございます!」
代々木博士は超大型宇宙船マグネコンドルで駆けつけると言ってくれた。
もし本当に来てもらえるなら非常に心強い。
さて、俺達は早く南方の島を目指さなくては!
急がないと三島長官の姿のブキミーダに住民達が皆殺しにされてしまう!!
俺は機動要塞ドグローンに巨大獣ジャガジャガと巨大獣バゲゲゾを積み込み、南方の島に向かった。
頼むからみんなまだ無事でいてくれ!
シャールケン、お前もだ……!
――だが、ドローンで確認した南方の島は俺の予想よりもひどい状況になっていた……。




