第三十七話 巨大獣ゾーゲン シャールケン最後の戦い 2
ガッダイン5大百科によると、本来の三十七話はこんな話だった。
ドラゴンズトライアングル内でガッダイン5とグレートシャールケンで戦ったシャールケンだったが、海に落下し、そのまま潮に流されてしまった。
そしてどこかの島に辿り着いたシャールケンは島に住む少女ティティナに助けられ、命を救われた。
意識を取り戻したシャールケンは、肌の色が違う自分を助けた少女を疑問に感じた。
肌の色が違う者同士が分かり合えるわけが無いと思っていたからだ。
だがティティナはニッコリと笑い、シャールケンを助け、彼は歩けるくらいに回復していた。
島の人間も最初はシャールケンの事を怖がっていたが、少女が説得した事で彼を受け入れるようになっていった。
だが、そんなある日、島に大嵐が吹き荒れ、住民達は恐れ慄いていた。
家や木々は強風に吹き飛ばされ、誰もが島の最後を覚悟していた。
だが、この島にグレートシャールケンが流れ着いていた事を知ったシャールケンは、その機体に乗り込み、押し寄せる津波をグレートファイヤーヘアーで蒸発させ、津波を消し去り、住民達の盾となり命を助けた。
その後、神の使いと崇められたシャールケンだったが、自らの生きる意味を考え、自身はやはりダバール星の民の命を救う事こそが使命だと決意し、ここで共に暮らそうと引き留める島民を後にしてグレートシャールケンで島を飛び立つ。
一方、奇岩島目指して飛行していたマグネコンドルは、シャールケンを見つけ、一時的に保護する事となる。
マグネコンドルのクルーとガッダインチーム達に救われたシャールケンは補給をしてもらい、仲間になってほしいと説得される。
だが彼はその言葉を受け入れる事が出来なかった。
何故なら地球人は妹エリーザの仇だからだ。
また、ガッダインチームにとっても、シャールケンは千草の母親、みどりの仇でもある。
お互い歩み寄れない地球人とシャールケンだったが、シャールケンがマグネコンドルから見た物は、ブキミーダの作った巨大獣ゾーゲンに蹂躙される、彼が助けてもらった住民達だった。
怒るシャールケンはグレートシャールケンで出撃した。
その際に口の滑ったブキミーダはつい、エリーザの誅殺がデスカンダル皇帝による指示だったと漏らしてしまい、シャールケンの怒りを買う。
シャールケンは巨大獣ゾーゲンを倒したが、彼を助けてくれた住民は全員が死亡、彼は涙を流しながら笑う。
――あの時引き留める島民に従っていれば、彼等は死ぬ事は無かった!――
全てを失いもう後には引けなくなったシャールケンは、己の最後のプライドをかけてガッダイン5と戦い、激闘の末敗れた。
そして彼の使っていたグレートシャールケンの剣は、住民が全て死亡した島の中心部に巨大な墓標のように高く突き刺さっていた……。
何というか救いは無いがとても重く、そして戦闘シーンも最高の作画で神回というに相応しい話だった。
この回は天才アニメーター、金子伊助、太田勝巳が作画をしているだけに、全話の中でも最終回に匹敵する最高の作画回だったと言える。
また、美少女ティティナは平野隆美が描いていたのでこのセル画もかなりのプレミアがついている。
また、脚本は監督を降板したはずの浜野監督が担当し、それを長富監督が監修した。
つまり、この回はロボでもシナリオでもキャラでも、全部のモノが最高級品だと言える神回中の神回だったのだ。
ガッダイン5大百科の監督インタビューによると、――王者エメラインでウォーゼンを退場させた際のやり方にぼく自身も納得がいかなかったのでダンボット3の仕事の合間を縫ってこの話の脚本だけやらせてほしいと長富くんにお願いしたんだよね。そしたら彼、快く引き受けてくれたってワケ。――
なるほど、それでシャールケンを助けた島は、住民全員死亡の島になってしまったわけだ。




