第三十六話 巨大獣バゲゲゾ 追い詰められたブキミーダ 8
三島長官の姿のブキミーダの企んだ破滅ミサイル水爆砲による北原未来要塞ベースと機動要塞ドグローン破壊作戦は、ガッダイン5とエルベΩ1の冷凍作戦で失敗してしまった。
そしてアイツは捨て台詞で地球もダバール星もブレイン軍団も全てメチャクチャにしてやると言っていたが、その根拠になるのがかつて存在したリヒテンシュタインのロボット軍団基地だと言える。
太平洋の海底にあるこの基地は相模湾から直線距離で真っすぐ約千数百キロ先のドラゴンズトライアングル内に存在する。
今からブキミーダがあのミキサーマシーンで向かうより先にこの破滅ミサイル水爆砲を発射すれば、リヒテンシュタインのロボット軍団基地は海の藻屑だ。
さて、その為にはあのビスマルクWOを使うのが良さそうだな。
「エリザさん、スタンリーさん。海底に凍り付いたビスマルクWOがあるはずなので、ドグローンまで持って来てもらえますか!?」
「ええ、わかったわ。ちょっと待ってて」
とりあえずあのビスマルクWOを使い、破滅ミサイル水爆砲を運ばせる事を俺は考えた。
本来なら巨大獣バゲゲゾにやらせようと思った事だが、今から巨大獣を作っている時間は無い。
だが、あのビスマルクWOにデビル回路を取り付ける事なら今でもすぐに可能だ。
デビル回路を取り付けた海軍ロボットのビスマルクWOをエンゼルの笛で操れば、破滅ミサイル水爆砲を抱えたままリヒテンシュタイン基地まで向かってくれるだろう。
俺は凍り付いたビスマルクWOのメイン部分を解凍し、内部システムにデビル回路を設置した。
メインシステムを初期化した事で、ビスマルクWOは俺達を敵と認識しなくなったようだ。
「よし、成功だ! ビスマルクWO、そのミサイルを抱え、南方のリヒテンシュタイン基地に帰還せよ!」
――!! ハイル・リヒテンシュタイン!――
ビスマルクWOは破滅ミサイル水爆砲を抱え、リヒテンシュタイン基地に帰還した。
幸い、ビスマルクWOにはリヒテンシュタイン基地までの帰還ルートプログラムが積まれていたようだ。
これで少々の誤差があれども発信機動きの止まった場所がリヒテンシュタイン基地となるだろう。
発信機の動きが止まった直後、凍り付いた破滅ミサイル水爆砲もろともビスマルクWOに自爆命令を出せばいいのだ。
リヒテンシュタインのロボット軍団には敵に鹵獲されない為の自爆装置が標準設置されている。
――まさか、あのシステムがこんな事で役に立つとは……。――
流石は海軍ロボットだ。
ビスマルクWOは、あの不具合の出たミキサーマシーンよりもよほど速いスピードで海底を進んでいる。
このスピードなら三島長官の姿をしたブキミーダよりも先にリヒテンシュタイン基地に到着するだろう。
そして二時間後、ビスマルクWOの通信が途絶えた。
どうやらリヒテンシュタイン基地に到着したのだろう。
おそらくは、電波遮断で基地の詳しい場所を調べられたり攻撃されない為の妨害電波を出しているのだろう。
だが、発信機の通信が途絶えたとしても、あのデビル回路を通した遠隔操作は可能だ。
「ビスマルクWO、自爆しろ!」
「ハイル・ビッターッ!!」
――ドゴゴオオオオオオーーンッッ!! ザザッガガガッ……――
ビスマルクWOの通信が途絶えた。
どうやらリヒテンシュタイン基地もろとも海の藻屑になったのだろう。
流石に相模湾からは南方のドラゴンズトライアングル内の海の様子までは見えない。
だが手ごたえはあった。
これでもうアイツは本当に今度こそ打つ手の全てを失ったと言えるだろう……。
これでどうにか安心して北原未来要塞ベースを離れる事が出来そうだ。
「ブキミーダさん、実は少し頼みたい事があるのですぞい」
「え? 代々木博士? 一体どうしましたか??」
どうやら……代々木博士が何か俺に頼みたい事があるようだ。




