第三十六話 巨大獣バゲゲゾ 追い詰められたブキミーダ 3
代々木博士と俺とベルクシュタイン博士の三人が集まり、個室で話し合っている。
「ヘル・ブキミーダ、そのハメツミサイルスイバクホウなる武器は一体どのようなものなのか?」
「まあざっと、ヒロシマの数十倍から数百倍の破壊力と言えば……」
「!! ヒロシマ……流石のぼくでもアレは流石に科学への冒涜だと思っている」
おや、ベルクシュタイン博士はマッドサイエンティストでもあの兵器は許せないのか。
「そうじゃのう、アレは科学者にとっては忌むべき存在じゃぞい」
「いや、あの程度の破壊力で殺傷兵器として使った事が許せない! それだけの技術があれば当時でも宇宙にだって行けた。その宇宙からのデブリ降下ならもっと効率的に大規模に威力を拡散できたはず」
ダメだ、この人……天才ってどこかネジが外れているのか??
「それに、核兵器を使えば後で放射能汚染された地域の浄化に多大な時間を要し、また、無駄な人件費を使う事にもなる。スペースデブリ投下なら核汚染にはならずに主要都市のみを壊滅させることも出来る」
この人物、第二次世界大戦中にいなくて良かったわ……こんなのがあのガリア第三帝国に関わっていたら地球終わってた……。
「うーむ、儂にはベルクシュタイン博士の考えが理解出来んぞい。とにかく、その破滅ミサイル水爆砲なる兵器をあの三島長官のブキミーダが使おうとしているというわけじゃな」
「ヘル・ヨヨギ、ぼくには意味がわからないのですが、ヘル・ブキミーダは今ここに居るのではないのですか??」
外国人に転生とか転移とか魂と言っても理解できるのだろうか?
仕方ないので俺は軽くだけベルクシュタイン博士に今の俺の状況を説明した。
つまり、今ここに居るブキミーダの中身の人物は別人で、あの三島長官の中にいる人物も別人だという程度の説明だ。
「オー、人格入れ替え、これぞまさにSF! ファンタスティックで面白い! つまり、あのヘル・ミシマの中に本当のブキミーダがいるのか」
まあその理解で良いかな、下手にこの話をしていると日が暮れてしまい、時間がどんどん無くなる。
「だが、いくらあのエルベΩ1の音波兵器でも……分子分解する前にその破滅ミサイル水爆砲が爆発してしまえばひとたまりも無い」
「だからと言って空に飛ばそうとして空中で大爆発を起こせば、それこそ核の冬か異常気象による地球の天変地異が起こってしまうぞい。そうなると電子機器も使えなくなるし、核の冬のせいで再び氷河期が起きてしまうぞい……」
そうなると最悪のパターンなので、空中に飛ばして爆発させる案も没だ。
「いっそのこと海に捨ててしまえばどうだろうか? 氷漬けにして海の底の日本海溝に捨ててしまえば爆発前に腐食して海の藻屑になるかと」
俺のアイデアが一番ふざけているかも知れないが、確実な方法ではある。
問題はどうやって冷凍させるかだ。
「ブキミーダさん、確かにそれが一番確実かもしれんですぞい。しかしどうやってそんな兵器を凍結させるというのですか?」
「うーん、合体技、というわけにはいかんですか?」
「合体技?」
――合体技――
【ロボットシミュレーションゲーム】ではよく見かけるロマンの塊。
作品を超えた、あるいは作中では敵味方だった者同士が一緒に力を合わせて戦う時に出す必殺技同士を合わせた物。
つまり、超電磁ストームの左手のブリザードストームだけを使い、それをエルベΩ1の音波兵器と合わせる事でブリザードストームの威力を倍増させ、破滅ミサイル水爆砲を凍結させるという方法だ。
言うならば、クーラーを使って起こした冷たい風をさらに超大型扇風機で威力を倍増させるようなやり方と言えばいいだろうか。
この方法ならあの悪魔の兵器破滅ミサイル水爆砲を止める事が出来るはず。




