第三十六話 巨大獣バゲゲゾ 追い詰められたブキミーダ 1
偽ガッダイン5こと巨大獣ダボボズは立川の空に爆散した。
「ガッダインチーム。それにエリザさんとスタンリーさん。コーネリアさんもよくやってくれた、早く基地に帰還するんじゃぞい」
「おう、わかったぜおっちゃん」
「「了解しました!」」
「わかりましたわ」
全員特に怪我も無く済んで良かった。
――だが、むしろこの後が大変だ。
俺と代々木博士は防衛軍の岳田大佐に基地からの避難をすぐに指示した。
「何ですと!? 細菌爆弾? そんなものどうすれば……!」
「私に任せてください、でも……どうなっても怒らないでもらえますか?」
「まあ、わかりました。コーネリアさん。貴女にお任せしましょう」
コーネリアが、細菌爆弾があるという立川駐屯地のスタッフを全員避難させるように言ったので、岳田副長官の迅速な指示の元、隊員達は全員がその場を離れた。
「行きます、セイレーン・シュルスリート!」
コーネリアの歌声が辺りに響く。
その歌は……駐屯地の建物を瞬く間に光の粒にしてしまった。
そうか! 細菌爆弾を分子分解してしまう事で無力化するという事か!
この発想はなかなか思いつくものじゃない。
コーネリアの歌は細菌爆弾と思わしきものが見つけられた一画を分子分解し、ブレイン軍団の細菌爆弾は光の粒子となり消え去った……。
「いやはや何という素晴らしい力だ、この力……ガッダイン5にも負けていませんな」
「当然ですわ。お父様は世界一の科学者なのですから!」
まあ実際ベルクシュタイン博士は代々木博士、ヘンリー・ストークス博士、ゲオルグ・ヘミングウェイ教授に匹敵する世界最高峰の科学者だ。
この力が敵に回らなくて本当に良かったと言える。
今度こそ安全になった立川駐屯地だったが、一画が完全な更地になってしまった事で、隊員達が困惑していた。
まあこの件で頭を悩ませる事になるのはあの荒川長官や岳田大佐だが、命が助かっただけマシだと思ってもらおう。
そして立川の空を飛び、エルベΩ1の背中に乗せた巨大獣ジャガジャガとガッダイン5は相模湾の北原未来要塞ベース目指して帰還した。
ちょっと帰る時間が遅くなり、見たい番組を見ようとしていた戦士エリザは、番組がもうエンディングの頃に到着し、泣いていた……。
いやそれ程泣くほどの事なのか……? まあ俺も子供の頃ガッダイン5が見れなかった時は泣いていたので人の事言えないか……。
まあ無事に戦闘が終わった事で俺はほっとしていたが、結局三島長官の姿のブキミーダには逃げられてしまった。
だがブレイン軍団、地球防衛軍、そして俺達ダバール星の全ての基地のセキュリティロックが厳重になった事でこれ以上三島長官の姿のブキミーダが暗躍するのは難しいだろう。
まあ何というか、原作と同じくらいの話数で追い詰められる事になるとは……。
そういえば三十六話は――巨大獣バゲゲゾ 追い詰められたブキミーダ――ってタイトルだったな。
この話でダバール星でも孤立してしまったブキミーダは単独で出撃し、北原未来要塞ベースが大型宇宙船だという結論に辿り着き、機動要塞ドグローンで北原未来要塞ベースに体当たりをして破壊しようとする。
その頃、北原未来要塞ベースは最終テストを終わらせ、浮上可能になる。
だが浮上するはずだったエネルギーを全部前面のマグナブラスターに集中させる事で北原未来要塞ベースを体当たりで破壊しようとした機動要塞ドグローンを返り討ちにし、機動要塞ドグローンは大破。
結局そのまま轟沈してしまい、ブキミーダはマーヤに操縦させたグローン円盤で脱出するも、奇岩島に戻った直後にアクラデス執政官に徹底的に怒られ、特別牢に閉じ込められる、といった話だ。
物語も佳境に入ってきたという感じで、今まで地球侵略拠点として毎回出てきていた機動要塞ドグローンはこの話で見納めになる。




