第三十五話 巨大獣ダボボズ 男三島の心意気 8
とりあえず、地球防衛軍、ブレイン軍団の双方にセキュリティロックの事を伝えたので、三島長官の姿のブキミーダがこれ以上好き放題に物資やデータを持ち出す事は出来なくなったはずだ。
だが、今までにどれだけの物を勝手に持っていかれてしまっているか、そこまではまだ何とも言えない、既に偽ガッダイン5を作るだけの材料を奪われてしまっているかも知れないからだ。
困った困った困った。
だが今の北原未来要塞ベースはお祭り騒ぎだ。
コーネリアの快気祝いとして全員でどんちゃん騒ぎしているところだ。
玄太郎とエリザとスタンリーはコーネリアとベルクシュタイン博士にお祝いの絵をプレゼントしてあげていた。
絵を見たコーネリアはとても喜んでお返しに歌っていた。
その歌を聞いたダンダルとマーヤちゃんが一緒になって歌おうとしたもんだから全員が必死で止めようとしていたのだが……。
「ダンダルさんもマーヤさんも声は良いんです、でも歌い方とかリズムの取り方が良くないのでそれが活かせてないんです。ですから私が上のパートを、お二人は別のパートを合わせてみてもらえますか?」
と言ったもんだから、試しにやってみたところ……奇跡の音色!?
あの二人の壊滅的な歌がコーネリアの歌と合わさり聴くに値するだけのモノ、いや……下手すれば十分お金が取れるだけのモノになっていた。
歌が終わった時、全員が拍手喝采したくらいだ。
どうやらこのコーネリア、歌と音楽の女神に祝福されて生まれてきたのかもしれない……。
しかし、地球人、ダバール星人の双方がこれだけ意気投合して盛り上がれたのって、ある意味あのウルフ博士やブキミーダがいらん事をしたからとも言えるのが痛し痒しだ。
共通の敵がいるという事は敵対する者同士が共闘するのに一番いい方法だとは言える。
今なんてアクラデスとダンダルとベルクシュタイン博士の三人が良い感じに酔っぱらって楽しそうに話している。
……なんというか、この三人組の掛け合いコントのような声を聞いているとどう聞いても――タイムドカンやヤッテヤルマンの美女、鼻のでかい痩せ男、ゴリラマッチョの三人悪トリオ――の声にしか聞こえない……。
まあこのどんちゃん騒ぎで全員が仲良くなれたのは非常に良かった。
だが……明日からは気持ちを入れ替えないと、ダバール星の人工太陽暴走による壊滅の危機は更に進み、地球では三島長官の姿のブキミーダが何をやらかすか分からない。
とりあえずは明日の防衛軍やブレイン軍団の結果報告待ちだろうな。
コーネリアの快気祝いのどんちゃん騒ぎは夜遅くまで続き、全員が北原未来要塞ベースの食堂部分で床に転がって寝てたりソファーで寝てしまったりしていた。
――次の日、朝早い時間に代々木博士宛てに電話が入ってきた。
「はい、代々木ですぞい」
「あー、代々木博士ですかー。わっしです、荒川ですー。昨日の件ですがー」
「はい、セキュリティーロックの件ですな、それで……どうなりました?」
「うー、困った事になってしまいましたー。地球防衛軍の習志野駐屯地の倉庫が空っぽなんですわー。今現場にいる岳田大佐から連絡が入りましてー」
やられた! アイツ……俺達が動く前に先に防衛軍の資材をゴッソリと奪っていったらしい。
アイツ……ブレイン軍団からガスタンクマシーンを奪った理由が分かった。
あの中身のガスを抜いてしまえば空っぽの中に大量の資材を奪って詰め込む事が出来るからか!
敵ながらあっぱれというべきか……さて、ブレイン軍団の基地の方はどうなっているのか、それも確認しなくては。
俺は巨大頭脳ブレイン総統の電波チャンネルに無線亜空間通信機のチャンネルを合わせた。
――ごきげんよう、ブキミーダ君。君の連絡が来るのを待っていたよ……。――




