第三十五話 巨大獣ダボボズ 男三島の心意気 7
元の話が偽物騒動だっただけに、今回俺がわざわざ巨大獣を作る必要は無い。
むしろ三島の姿のブキミーダが巨大獣を作り偽ガッダイン5を用意する可能性の方が高い。
偽物騒動といえば――王者エメライン――に出てきた殺し屋復活獣ギルラインがエメラインのフリをして街で暴れていたなー。
他にも偽物ロボネタは古今東西のロボアニメで結構色々あったかもしれない。
ダーク○○とか、ブラック〇〇とか、シャドウ〇〇とか……。
でもだいたい偽物って黒い色ってのが多いのは、子供に見て分かりやすくする為なのだろうか?
偽鬼面ライダーのマフラーも赤ではなく黄色だったし……。
その点、巨大獣ダボボズの偽装した偽ガッダイン5はよく出来ていた。
身長も同じで体型的にもほぼ同じ。
下手にキバとか角とかつけたりしての、いかにもな偽物でござい、をやらなかったので、防衛軍もどちらがどちらか迷って攻撃できなかったりしたくらいだ。
さて、その巨大獣ダボボズだが、ガッダイン5大百科の巨大獣図鑑によると……。
――巨大獣ダボボズ――
全長55メートル、重量1570トン
全身が細めのバラバラになるパーツで作られた巨大獣。
その周りに防衛軍の基地から強奪した地球製の金属で偽装されている。
見た目はヒョロヒョロの骸骨にガッダイン5の外側を被せた形になっていて、攻撃武器も手からの火炎や伸びるワイヤーなど、ガッダイン5に見せかけている。
マグネティックランサーに当てはまる槍は持っておらず、その代わりに腕パーツを伸ばして攻撃が可能。
ガッダイン5の偽物として街で暴れるが、その後本物が到着し、対決する事になる。
竹千代が偽物をおびき寄せたのは、あえて防衛軍の極東司令部基地に本物のガッダイン5が攻撃を仕掛ける形にした事だった。
市民活動家に成りすましたミザーリンはこの作戦に踊らされ、ガッダイン5が防衛軍基地を襲っているとマスコミに通報して報道する。
これ幸いにと現れた偽物が防衛軍極東司令部基地に攻撃を仕掛けたところで、あえて分離しておいたダインマシンが偽物に攻撃を開始し、ここでガッダイン5に合体した。
つまり、本物のガッダイン5は分離が出来るが、偽物は分離が出来ないと一般人に見せつけた上でビッグミサイルスパイラルにより無人の防衛軍極東司令部基地の貯蔵庫を爆発させ、巻き添えで巨大獣ダボボズの偽装を吹き飛ばす。
正体の露呈してしまった巨大獣ダボボズは再び偽装する事も出来ず、マグネティックランサーで全身を切り刻まれ、超電磁ストームによって空中に固定され、超電磁クロスフィニッシュでとどめを刺されて爆発した。
――つまり、竹千代が本物と偽物の決定的な違いとして一般人に見せたものは、本物のガッダイン5は分離が出来るが偽物は分離して再び合体するという事が出来ないというものだったのだ。
流石は天才少年竹千代というべきか。
この竹千代の作戦に対し、奇岩島基地司令であるアクラデス執政官は笑っていた。
それは彼女と対等に知恵比べで対決できる知恵や機転の持ち主が地球人にもいると実感できたからだ。
だが、実際に作戦に携わっていたブキミーダは相当悔しがっていた。
何故ならこの作戦に絶対の自信があった彼は、自らの作戦を上回るガッダインチームの行動によって完全に出し抜かれてしまったからだ。
この作戦に失敗したブキミーダは、この後どんどん転落していく……。
ブキミーダはこの後ミザーリンやバルガルを出し抜く形で出撃し、最大級の大ポカをやらかして次の話で機動要塞ドグローンを撃沈させる事になる。
まあ原作でも色々やらかしまくったブキミーダが落ちぶれるきっかけになったのがこの次の話だったのだ。
だが今のこの時間軸でも、人格者のはずの三島長官の姿になっても落ちぶれていったわけだから、やはり人間中身が肝心だと言えるだろう。




